2016/09/12
使いこなしてる? 「今この瞬間のオススメアプリ」をオススメしてくれる、Androidの『Nearby』機能
位置情報を使った斬新なサービス
Googleが2016年にリリースしたAndroidの新機能「Nearby」。Android端末の位置情報をもとに、今いる場所で役立つアプリやウェブサイトを提示するものだ。・・・・・・と言われても、それのどこが便利なのか、今ひとつピンとこない。
位置情報をもとに、近所にあるレストランやショップを紹介するアプリなどはずいぶん前からあるし、iPhoneでもアプリを推薦する機能はあった。位置情報を使ったレコメンド機能自体は、そんなに目新しい技術ではない。では一体、なにが違うのか?
Nearbyの真の新しさは、膨大なAndroid用アプリのなかから、「ここで使ったらスゲー便利だよ」というアプリを提示する点だ。この場合は、「ここで」がミソだ。Nearbyの「ここで」は30メートル以内の範囲となる。なぜなら、それがNearby機能とコンビネーションするために必要なビーコンの電波の到達範囲だからだ。つまり、Nearbyはビーコンからの情報をもとに、アプリやサイトをあなたに紹介するのだ。
出かけた先で楽しみ尽くすためのアプリを紹介
では、そのビーコンは誰が設置するものなのか。それは企業だったり、商店だったり、美術館だったり、野球場だったり、つまり、特定のアプリを提供したいと考えている人たちである。実際に数々のサービスがスタートしているアメリカの実例を紹介しよう。
たとえば、空港に行ってユナイテッド航空のカウンターにやって来ると、Nearbyがユナイテッド航空のアプリを紹介してくれる。こいつをインストールすれば、ユナイテッド航空の機内で上映される映画やテレビ番組を搭乗前のゲートで視聴できるようになる。
また、ロサンゼルスの美術館「The Broad」に入館すると、オーディオツアーのアプリが自動的にNearbyで紹介される。ダウンロードすれば、展示を見ながら説明がスマホで聞けるというわけだ。
はたまた、ノートルダム大学のキャンパスに足を踏み入れると、Nearbyが紹介してくれるアプリをインストールすれば、周辺の重要施設を紹介するバーチャルツアーが楽しめる。
――という具合だ。つまり、出かけていったその場所を楽しみ、利用するのに欠かせないアプリサービスが、Nearbyによって提供される。私たちは事前にこのアプリをインストールしておく必要はないし、そもそもアプリのあるかないかを調べる必要もないのだ。これを便利と言わずになんと言う。
続々スタートするNearbyサービス
こういったNearbyを使ったサービスはまだまだ多くはないが、今後、日本でも続々とスタートするはずだ。そのうち、ある場所に行けば、その空間を利用したゲームアプリがNearbyされて、それで見ず知らずの人たちとチームプレイができたり、あるいはショッピングモールに行けば、ショップ紹介や商品検索だけでなく、クジ引きもできるアプリがNearbyされたりと、とにかくさまざまな可能性が考えられる。
Nearbyを利用するうえでユーザーがやることはほとんどない。設定でBluetoothと位置情報、そして「付近のおすすめ情報」をオンにするだけ。あとは街中を歩いているだけで、情報がプッシュされてくる。あなたは画面に表示される通知で興味を持ったらタップすればいい。そう、たったこれだけ。
Nearby機能はユーザーよりも、むしろサービス提供側のメリットが大きいかもしれない。企業はお金をかけてオリジナルアプリを開発・公開しても、存在を知られていなければダウンロードされることがない。「今、ここで使わないともったいないアプリがあるんです!」とNearbyを通してユーザーにアピールできるなら、これほど効果的なPRはないだろう。
ちなみに、この機能は簡単にオン/オフができるので、「歩いているだけで大量の通知を受けてしまいそうで、そんなのイヤだ」という人も心配はご無用。なお、NearbyはAndroid 5.0以降に対応している。
文:吉田 努