2016/06/07
スマホに欠かせない『フリック入力』について トリビア&便利ワザも
10代の63%がフリック入力
フリック入力という言葉を初めて聞いたという人でも、日々、スマホでLINEやFacebookでメッセージを打つときには、そのフリック入力をしていたりするはず。あれですよ、あれ。「あ」のキーにタッチすると周囲に「い」「う」「え」「お」と花びら状に出現、指を払った方向の文字が入力される、あれがフリック入力。なお、「フリック(flick)」とは英語で「指でさっとこする」といった意味。
2015年に株式会社ジャストシステムが行った調査によれば、スマホ利用者のうち、およそ46%がフリック入力を使用。世代別で見ると、15〜19歳がもっとも多く、63%がフリック入力。もっとも少ないのは30代の約40%。これは30代がガラケー世代(彼らが10代後半から20代前半の頃はスマホがなかった)で、トグル入力に慣れ親しんでいるからではないか、とのこと。
高速入力できるのが人気の理由
トグル入力(ケータイ入力とも呼ばれる)とは、たとえば、「え」を打ちたいときは「あ」のキーを4回、「お」を打ちたいときは5回タップするという、まさにスマホ以前の携帯電話で使われていた方式。もちろん、今のスマホでもトグル入力はできる。ほかの入力方式としては、QWERTYキーボードを使ったローマ字入力がある。
フリック入力の人気が高いのは、なんといってもその入力速度の速さにある。指でタッチして払うというワンストロークで、かな1文字が入力できるからだ。トグル入力では、かな1文字に最大で5回タッチが必要だし、ローマ字入力では、あ行以外のかなは必然的に2回タッチになり(たとえば、「か」なら「k」と「a」)、なによりもスマホのディスプレイではQWERTYキーボードのキーは小さくて打ちづらい。
元祖PDAのNewtonで使われていた方式がご先祖
このフリック入力、いったい、誰が考えたのだろう。1990年代にアップルから発売されていた元祖PDAのNewtonで使用されていた入力方式がご先祖様だというのがいわば通説。日本のサードパーティーがつくった入力方式の「HANABI」や、アメリカで開発された「T-Cube」などが、そのご先祖の皆様。どちらも、キーにタッチして払うというワンストロークで文字を入力でき、フリック入力のまさに元型といえる。ちなみに、Newtonでは指での入力はできず、スタイラスペンで行っていた。
そして2008年に、さらに洗練され、使いやすくなったフリック入力がiPhoneに搭載されるやたちまち人気となり、ほどなくAndroid系スマホでもフリック入力が採用されるようになったというわけである。ちなみに、フリック入力人気はどうも日本だけの特殊事情で、アルファベットのフリック入力もできるのだが、海外ではほとんど使われていないようだ。
フリック入力の便利テク2つ
さて、フリック入力でのちょっとした便利テクを2つばかりご紹介。まず、顔文字の入力の方法だ。iPhoneの場合、キーボードの左下に「^_^」というキーがある。これが顔文字入力のためのキーだ。これを押すと、キーボードの上の予測変換欄に顔文字が表示される。Androidなら「123」キーを長押しすると顔文字入力ができるようになる。
iPhoneの顔文字には、一般的に使われるほとんどの組み合わせが網羅されているが、オリジナルの顔文字も辞書登録できる。[設定]→[一般]→[キーボード]→[ユーザ辞書]と進んで、右上の「+」を押すと、単語登録の画面が出てくる。ここの「単語」欄に、たとえば「--(゚∀゚)--」などと入力する。ここで「よみ」に「☻」と入れると、キーボードの顔文字キーから入力できるようになるのだ。
トグル入力モードに切り替わらないようにするには
次に、たとえば「あああああ」などと連続する文字を素早く入力する方法。デフォルトの設定のままだと、「あ」のキーを連続して押すとトグル入力に切り替わり、「い」になったり、「う」になったりしてしまう。トグル入力にならないようにするには、「あ」のキーを押した後、2秒ほど待ってから入力する必要があり、これまた面倒だった。
これを避けるには、iPhoneの場合は、[設定]→[一般]→[キーボード]と進み、そこで「フリックのみ」をONにすればよい。Android系スマホでは機種によって違ってくるが、ソフトウエアキーボードの設定を「ケータイ+フリック入力」などから「フリック入力」にすればOKだ。これでトグル入力に自動的に切り替わることがなくなる。
フリック入力ができるハードキーボード!?
さて、このフリック入力の長所をハードのキーボードに生かそうと、Googleが「日本語入力物理フリックバージョン」という製品を発表した。フリック入力のソフトキーボードをそのままハードウエアにしたもので、一つひとつのキーが上下左右の方向に押し込めるようになっていて、これがフリックのストロークと同じアクションを実現しているというわけだ。......ただし、この製品の発表は2016年の4月1日に行われたということなので、あしからず(*^_^*)。
文:太田 穣