2016/05/12

“電気を可視化”してムダを減らす『スマートメーター』とは

賢くなった電力量計でなにがわかる?

2016年4月から電力自由化がスタートし、大手電力会社だけでなく、さまざまな企業が電気を販売できるようになった。その関連で最近ニュースでもよく取り上げられているのが「スマートメーター」だ。

これまで各家庭の電気使用量は、「電力量計」で計測されていた。家の外壁やマンションのメーターボックスに設置されている、金属の円盤がクルクル回っているアレのことだ。毎月の電気料金はこの円盤の回転数(電気をたくさん使う=回転が速くなる)をもとに算出されていて、毎月、検針スタッフがそのチェックのために各家庭を訪問している。

これがおなじみの現在の平均的な電力量計

スマートメーターとはその電力量計に替わるもので、その名のとおり、多機能で賢いメーターだ。基本的には電力会社が無料で各家庭に設置する。大きな特長は、通信機能を備えている点。各家庭の使用状況を戸別訪問しなくても把握できるため、電力会社の業務コストを大幅に削減できる。

電気のムダ使いがひと目でわかるようになる!

NO クーラー、NO ライフ!! ここ数年、日本の夏は厳しい暑さが続いているが、それにともなって電力の使用量もうなぎ上り。今までの電力量計では月ごとの使用量しか計測できなかったが、スマートメーターでは30分ごとに使用量を計測できる。

多少の出費が必要になるが、自宅にHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)※を導入すれば、スマートメーターからの情報を"見える化"して家庭内での電気使用状況がひと目でわかるようになる。たとえば、うっかりエアコンを動かしたまま出かけても、HEMSから送られてくるメールがこの電気のムダづかいを教えてくれるという具合。
※IT技術を使って自宅内のさまざまな機器をネットワークでつなげて一般家庭のエネルギー管理を行う宅内制御装置

電気の使用量がわかると、さらなる活用法も。遠方に住んでいる高齢の家族の暮らしぶりを電気の使用状況から知ることができる。いつもより使用量が少なかったり多かったりしたら、地域の保健師に連絡が届き、家庭を訪問する行政サービスも将来は可能になるという。

災害時にも有効だ。2011年の東日本大震災では計画停電が実施されたが、当時スマートメーターが実用化されていれば、信号機や病院への電力供給を保ちながら、そのほかへの供給を抑えることができただろうと言われているのだ。

これは海外で使われているスマートメーター

どうやったらスマートメーターを使えるようになる?

ここまで読んで、スマートメーターに興味を持った人はどうすればよいか。スマートメーターへの切り替えは、各地の大手電力会社が2015年度から本格的に進めている。従来の電力量計は法律に基づいて検定有効期間が定められていて、おおむね10年程度で機器を更新している。

というわけで、多くの電力会社は更新タイミングを迎えた電力量計から順次、スマートメーターに切り替えるとしているので、自宅の電力量計の有効期間を調べてみてほしい。それと今後、自宅を戸建に新築する場合や、新築マンションに入居する場合は、新生活スタート時からスマートメーターが導入されている可能性が高い。施工会社や不動産会社に問い合わせてみよう。

「新規参入した電気事業者に切り替えようと思っている」という人は、申し込みをするとスマートメーターへの切り替え工事が行われる。もちろん、auでんきへの乗り換え時にもスマートメーターに切り替わる。

ちなみに工事は超カンタン。既存の電力量計から置き換えるだけなので、30分もあれば済んでしまう。基本的にスマートメーターへの切り替え工事はほとんどの場合が無料だ。電力量計は電力会社の持ちものであって、利用者のものではない。だから費用負担は発生しないのだ。

スマートメーターではじまる、電気との新しい付き合い方

電力自由化によって多くサービスが生まれたが、スマートメーターで自分の電気の使い方を把握できることで、使う側の意識は大きく変わるだろう。auでんきアプリは、スマートフォンでいつでも簡単に電気料金や使用状況を確認することができる。また、似たような家庭の電気使用量を比較して、自分の電気の使い方だってわかってしまう。

これまで電気の使い方を意識するのは毎月の伝票だけだったという人がほとんどのはず。スマートメーターが導入されれば、エネルギーの使い方を意識できる機会が増える。お財布にも環境にも配慮できる、電気との新しい付き合い方が日本でどんどん広がっていくだろう。

文:吉田 努