2016/05/11
恐怖! プライバシーが漏れて話題になった『クローンスマホ』とは
この地上に、自分のものとうりふたつのスマホが存在したら......
芸能界のスキャンダルで、その存在が知られるようになったクローンスマホ。新しい機種にバックアップデータを読み込んだあと、古いほうの端末はたいていそのままにしてしまう。で、その古いスマホを引き出しに入れっぱなしにしたりする。この双子の片割れが世に出るはずはない、とすっかり安心しきって......。ところが、この古い端末がなんらかの理由で第三者の手に渡ってしまったのが、あのスキャンダルの発端だといわれている。
古いほうの端末にパスコードがかかっていなかったり、あるいはロックされていても、パスワードを推測されて解除に成功すれば(パートナーや恋人ならパスワードを知っているかもしれない)、当然のごとく、古い端末のありとあらゆる情報を見ることができる。しかも、あなたが新しい端末で行っているSNSでのやり取りも、その古い端末でリアルタイムでモニターできるのだ。
もちろん、新しい端末に乗り換えたからには、古い端末のほうは電話機としてはもう使えない。1つの電話番号は、SIMカードなどのIDカードを通じて、1つの端末にだけ与えられるからだ。だが、PCなどにWi-Fi接続してインターネットにログインさえできれば、古い端末はネット上であたかも新しい端末のようにふるまうことができるのだ。なぜなら、電話機能が失われても、スマホが持っている小さなパソコンのような機能は失われないからだ。そんな状況に陥らないための予防策を紹介しよう。
なにはともあれ、他人に触らせない&触っても使えなくする!
これは基本の「き」だが、まずは端末を放置するのは厳禁。設定の仕方によってはロック画面にSNSの内容が表示され、他人に盗み見される。ロック画面での通知は必ずオフにしておくべし。そして、必ず解除パスコードを設定すること。ロックするなんて面倒くさい! なんていう人は、「どうぞクローンをつくってください」と言っているようなものだ。
アプリケーションにもロックをかける。アップデートも忘れずに
例のスキャンダルでは、LINEの内容が流出したわけだが、LINEアプリを起動する際にもパスコードを要求するように設定できる。これも「いつも使ってるからパスコードなんていらないよ」と思っちゃいけない。万一のことを考え、必ずロックをしておこう。
サービス提供側でも対応を行っている。2016年2月にLINEのアプリアップデートが実施され、「LINE ver5.10.0」からは同じIDから複数の端末で起動することができなくなった。ただし、これはアプリをアップデートしていれば有効になるが、従来のバージョンでは複数端末からの起動は可能なので気をつけておきたい。自分の使っているLINEアプリが、ver5.10.0 以降の最新バージョンかどうか確認しよう。
アナライザーの存在にも注意。データをバックアップするパソコンにも注意
ほかにも、端末の中身を持ち主に無断で見る方法がある。たとえば、アナライザーと呼ばれるソフトだ。これはパソコンにインストールして使うもので、スマホで作成したバックアップデータの解析や復元を目的にしたもの。バックアップデータ自体は持ち主本人ですら中身を見ることはできないが、このソフトを使えばメールの中身、住所録、LINEのメッセージなど、スマホに入っているすべてのデータをパソコンから閲覧することができるのだ。バックアップデータを見るのだから、そこにスマホ本体がある必要はない。
そもそもアナライザーは、自分のスマホのデータを管理するためのソフト。でも、悪意ある人にとっては、他人のスマホ解析ソフトになってしまう。つまり、自分の端末だけでなく、バックアップを取っているパソコンの管理もしっかりしておく必要もある。
これで、クローンスマホの恐怖も他人ごととは思えなくなったのではないだろうか。スマホまわりのスキャンダルには重々お気をつけあれ。
文:吉田 努