2016/02/18

スマホでも聴ける! CDの約1,000倍の解像度『ハイレゾ音源』とは

ヘルツとビットで音の良さを表してみると......

ハイレゾとは「High Resolution=高解像度」の略語。ハイレゾ音源とはなるほど、だから素晴らしく解像度の高い音ということになる。何となく、いい音なんだろうなあ、リアルな音なんだろうなあとは思うが、ではいったい、高解像度の音ってどんな音なんだろう?

ハイレゾ音源についてよく言われるのは、歌手の息遣いやプレイヤーの立ち位置までが分かるような、CDにはないリアルな臨場感があるということ。言い換えれば、CDで使われる音源よりも情報量が豊かで、原音に近いということだ。

Hz(ヘルツ)やbit(ビット)という単位を見たことがあると思うが、デジタル化された音の解像度はこの2つの数値で表す。Hzはサンプリング周波数というもので、1秒間にどれくらい細かくデータを記録しているかを示す。CDの場合は44.1kHzで、これはデータを1秒間に44,100回記録しているということを意味する。

bitは量子化ビット数のことで、1回分の記録がどれくらい精密なデータかを表す。では、ハイレゾ音源のサンプリング周波数と量子化ビット数はどれくらいなのだろうか。比べやすいように表にしてみた。

ハイレゾ音源とは、一般的に96kHz以上のサンプリング周波数で、24bitの量子化ビット数のものとされている。サンプリング周波数も量子化ビット数も数値が大きいほうが情報量が多く、音がきめ細かい。つまり高解像度ということになるわけだ。

ちなみに、192kHz、24bitのハイレゾ音源なら、CDの約1,000倍もの解像度、つまり「きめ細かさ」になる。下は、CDとハイレゾ音源(192kHz、24bit)の解像度の違いを分かりやすく図にしたものだ。

ハイレゾ音源のCDは存在しない!?

では、ハイレゾ音源はどうすれば聴くことができるのだろう? まずは、音楽データ配信サービスのサイトからハイレゾ音源の曲データをダウンロードしなきゃいけない。下の表がハイレゾ音源を配信している主なサイトだ。ハイレゾ音源はCDという形では売っていないのだ。

e-onkyo music
HD-Music
HQM STORE
mora
music.jp
OTOTOY

次はなにで聴くかだ。さまざまな方法があるので、下に整理してみた。また、ハイレゾならではの高音質にこだわるなら、アンプやスピーカー、ヘッドフォンもハイレゾ対応のものを選ぶべきだということは頭に入れておこう。

①PCからUSBメモリやWi−Fiでデータを移してハイレゾ対応オーディオ機器で聴く

ハイレゾ対応オーディオ機器によってはWi−Fiでデータを受信できるものもある

②PCとオーディオをつないで聴く

Windowsはツールバーの「音量ボタン」から、Macはアプリケーション「Audio Midi 設定」から、24bit/96kHzなどと、ハイレゾ音源を聴くための設定をする必要がある。また、PCとオーディオ機器を接続するには、デジタル信号をアナログ信号に変換するDAC(デジタル--アナログコンバータ)が必要だ。ハイレゾ音源を再生するための専用アプリケーションも必要

ちなみにiTunesで再生するには、FLACファイルで提供される音声データをApple Loslessのフォーマットに変換しなくてはいけない。変換用のアプリケーションも入手する必要がある。

③ハイレゾ対応ウォークマンなどのポータブルプレーヤーで聴く

スマホでハイレゾ音源を聴くには

もっと手軽に、できれば今すぐハイレゾ音源を聴きたいという人は、スマホでどうぞ。新しいAndroidフォンはハイレゾ音源対応になっているものが多い。その場合は、ハイレゾ再生アプリをインストールするだけで、手持ちのイヤホンでハイレゾが楽しめるのだ。自分の機種が対応しているかどうか、マニュアルやメーカーのサイトで調べてみよう。

ただし、残念ながら、iPhoneはハイレゾ音源には未対応だ。じゃあ、聴くことができないのかというと、実は少し面倒だが方法はある。まずは「ONKYO HF Player(アプリ内で『HD プレーヤーパック』を購入する必要がある)」などのハイレゾ再生アプリをインストールする。次にLightning - USBカメラアダプターなどでDACとiPhoneをつなぐ。そのDACにヘッドフォンやオーディオ機器を接続すればよい。iPhoneに直接イヤホンを差して聴くこともできるが、それだとハイレゾのクオリティーにはならず、CD並みの44.1kHzでの再生になってしまう。ちなみに、この方法はハイレゾ対応していないAndroidフォンでも使える。

というわけで、これからは音楽好きがスマホを選ぶときには、ハイレゾ音源対応か否かが重大ポイントになってくるのかもしれない。 ※これは、ハイレゾ音源とは24bit/96kHz以上のリニアPCMデータ(音声などのアナログデータをデジタルデータに変換したもの)やDSDフォーマットデータのことという日本オーディオ協会の定義に基づいたもの。DSDはSACD(スーパーオーディオCD)向けのデータ形式のこと。一方、電子情報技術産業協会(JEITA)の定義では、ハイレゾ音源とは24bit/48kHzよりも高い解像度のリニアPCMデータということになっている。

文:太田 穣