2015/11/26
いつでもどこでも動画が見られる『ストリーミング』の仕組みとは
ストリーミングの仕組み
パソコンはもとより、タブレット端末やスマートフォンを使って外出先で動画を楽しむことは、もはや当たり前。YouTubeやニコニコ動画など、誰もがフツーに利用する時代になった。こんなことを可能にしたのはストリーミング(Streaming)技術のおかげだ。もしもストリーミング技術がなかったら、ライブ配信の視聴なんてきっとできなかっただろう。そんなストリーミングの仕組みを、あらためて整理してみよう。
ストリーミング技術が普及する以前、ファイルはダウンロードしてから再生するのが基本だった。動画ファイルも音楽ファイルもそれなりに重たいから、全データをダウンロードするには時間がかかる。「だったら、ダウンロードしながら再生すればいいんじゃね?」というのがストリーミング技術のコンセプトだ。
ストリーミングには大別して「オンデマンド配信」と「ライブ配信」の2種類がある。オンデマンド配信は、あらかじめサーバーに用意されたファイルにアクセスし、データをダウンロードしながら視聴できるもの。配信中に一時停止や巻き戻し、早送りができる。一方のライブ配信は、リアルタイムでデータが作成されるため、当然、視聴者は巻き戻しなどの操作はできない。オンデマンドがビデオやDVD、ライブはテレビに近い視聴形態だ。
見放題・聴き放題のストリーミング配信サービス
ストリーミングで配信されるデータは、オンデマンド/ライブにかかわらず一時的にファイルをパソコンやスマホに保持する。〈データを入手→再生できるように整えて→映像を再生〉といった流れを順次繰り返している。これはどんな動画配信サイトであっても、基本的に同じ。突然配信が止まり「バッファリング中です」と案内したり、あるいはアイコンがグルグル回ることがあるのも同じだ。
バッファリングとは、再生する映像ファイルをあらかじめ少し余分にためておくこと。そうすれば遅延なくスムーズに再生できる。回線速度が遅ければ、余分なデータを準備するのに時間がかかるため、いつまでたっても再生は進まないことになる。
さて、2014年前後から、日本でも映像や音楽のストリーミング配信サービスが本格化してきた。見たい/聴きたいときにアクセス、さまざまなコンテンツを気軽に楽しめるようになったのだ。毎月一定額さえ支払えば見放題・聴き放題だから、映画・ドラマ好き、音楽好きには最高のサービスといえる。また、データをパソコンやスマホの中に保持しないので、端末の限られた容量を食わずに済む。しかも、いわば映画や音楽のレンタルサービスのようなものだから、自分のものにはならない分、利用料金が安い。ちなみにアメリカ発の映像配信サービスの大手などは、世界中に7000万人近い会員を抱えているそうだ。ストリーミング配信サービスがテレビや音楽販売のあり方を変えてしまう日が、遠からずやって来るのかもしれない。
あなたも今すぐブロードキャスターに!!
さて、動画を見て楽しむだけでなく、自らストリーミング発信することも、ここ数年でずいぶんハードルが下がった。ニコニコ動画は、プレミアム会員になれば、ストリーミング配信用の公式ソフトウェア「Niconico Live Encoder(ニコニコ・ライブ・エンコーダー)」などを使ってPCから自ら生放送できるようになる。また、FC2ライブも、配信ソフト「FC2ライブキャスト」をインストールすることでライブ配信ができる。このICT用語事典で紹介済みのTwitCastingもライブ配信専門サイトだ。
これがニコニコ動画のライブ配信ソフト「Niconico Live Encoder(ニコニコ・ライブ・エンコーダー)」。画質や解像度などいろいろに設定できる
思い立ったら、さあ、あなたも今すぐブロードキャスターに! ストリーミング技術があれば、誰にでも可能なのだ。
文:吉田 努