2015/11/17

実名に疲れたあなたに 『匿名・クローズド型SNS』とは

やっぱり仮面がほしい!?

Facebookの日本のユーザー数はおよそ2,400万人で、月間アクティブ率(1カ月に1回以上利用するユーザーの割合)は53%(2014年末時点)。つまり、日本人の5人に1人がFacebookのアカウントを持ち、10人に1人が実際に閲覧したり投稿したりしていることになる。これって、かなりスゴイ数字だ。LINEなどもSNSの一種と考えると、実に多くの日本人が日々、実名SNS漬けといってもよいかもしれない。その一方で、気を使い過ぎたり、誤解や行き違いからトラブルになったりと、SNSにはげんなりという人も多いのでは。

そんな実名SNSにお疲れの人たちにじわりと人気を集め始めているのが、匿名型SNSや、限られた人だけが参加できるクローズド型SNSだ。

匿名型SNSで、世界規模で人気上昇中なのが、アメリカ生まれの「Ello(エロー)」だ。Facebookのように利用者情報が集められることもなく、広告も表示されない。ニックネームだけで、さまざまな参加者と出会い、会話を楽しんだり、情報を共有できたりができる。ユーザインターフェイスもシンプルでオシャレ(メニューなどは日本語化されていないが、日本語での使用は問題ない)。このElloは、アプリとWebの両方で利用できる。

これは「Ello」で、「東京」というワードで投稿に検索をかけたところ。東京に関連したたくさんの投稿が表示されるので、そこに面白そうな投稿者がいたらフォローすればいい。匿名の気安さからか、誰とでも仲よくなれそうな気がするから不思議だ

国産の匿名型SNSでは、"自慢を匿名でつぶやこう"という「ブラッガーツ」や、機能は書き込みと「応援」(「いいね!」のようなもの)だけというシンプルな「ILKA」など、さまざまあるので、探してみるとよいだろう。いずれもiPhoneとAndroidのアプリで提供されている。

これは「ブラッガーツ」の画面で、恋愛のテーマで「自慢」をし合っているところ。ポジティブになれるSNSなのかも

こちらは「ILKA」の画面。独り言のSNS。ひたすら、匿名で独り言を書き続けるのだ

社員限定の匿名SNS!?

さて、この匿名に加えて、クローズド、つまり限定された人だけが参加できるSNSも登場した。中でも注目を浴びているのが、日本発の「Flat」と、アメリカ生まれの「Blind」だ。どちらも、仕組みはほぼ一緒で、同じ会社や業界の人間だけが参加できるソーシャル空間(Flatでは「ルーム」、Blindでは「マイ・カンパニー」と呼ぶ)を作り、そこでコミュニケーションをするというもの。

こちらは「Flat」の画面。同じ会社の社員同士が、産休をテーマとしたスレッドで、匿名で情報交換をしている

ルームやマイカンパニーは誰でも作れる。Flatの場合、まず、あなたが、勤め先のメールアドレスで開設の申請をする。さらに、あなた以外の同じ勤め先の人も申請をして、その申請数が一定の数になったときに、自動的にルームが開設されるのだ。Blindの場合、申請まではFlatと同じだが、開設が認められるかどうか若干の審査があるようである。すでに大企業が多く参加しているBlindなので、少しハードルが高いのかも。FlatもBlindもメールアドレスや実名は一切表示されないので、投稿が誰のものかは絶対に分からないようになっている。いわば、社長と平社員がタメ口で会社の方針について議論するなどということが可能になるわけだ。ネガティブな投稿は一定数の通報があると自動的に削除されるなど、ソーシャル空間を明るく保つ工夫もされている。

こういったクローズド型ソーシャルメディアは、ほかにも、教師向けの「SENSEI NOTE」や「エドニティ」などがあり、今後もさまざまなタイプのものが登場してくるのは間違いないだろう。

文:太田 穣