2015/09/08
便利な『ペアリング』にひそむ落とし穴とは?
ペアリングはペアの現在分詞で、ペアにすること、2つのものを組み合わせることを意味するが、ICT用語でペアリングという場合は、ワイヤレス通信規格のひとつであるBluetoothを使って、機器と機器の接続設定を行うことを指す。たとえば、パソコンとマウスやキーボード、スマートフォン、あるいはスマートフォンとハンズフリー通話用のヘッドセットなどを最初に接続する際に、互いを認証する作業がペアリングだ。一度ペアリングを済ませれば、次からは電源をオンにするだけで自動的につながるから、イメージとしてはバーチャルな接続コードで機器と機器を結ぶことだと思えばわかりやすいかもしれない。それぐらい簡単ということ。
Bluetoothで機器同士を初めて接続しようとすると、こんなふうに「ペアリング」を促される。一度ペアリングをしてしまえば、次からは面倒な手続きもなく自動的に機器同士は接続されるのだ
実際、「接続設定」、「認証」というと身構えるかもしれないが、ペアリングの作業に特段知識や技術は必要ない。まずは、それぞれの機器をペアリングモードにして、たとえばパソコンとマウスなら、パソコン側でマウスを検知するので、それを選択して有効にすればいい。また、スマートフォンとヘッドセットなら、選択する際にパスキー入力画面になるので、ヘッドセットの取扱説明書にあるパスキーをスマートフォン側で入力すればいい。さらにパソコンとスマートフォンなら、片方で任意に設定した4桁以上のパスキーを相手機器の方でも入力すればいい。基本、Bluetoothはワイヤレス接続を意識せず、常時接続を想定した規格であるため、ペアリングも混線せず、手軽に機器同士をつなぐことを重視しているのだ。
とはいえ、その便利さは取りも直さず、セキュリティが甘くなることをも意味する。たとえば、ノートパソコンからスマートフォンに接続してメールをのぞき見することは、ネット上にあるノウハウと悪意があれば難しいことではない。過剰に心配する必要はないが、使わない時は、Bluetooth機能をオフにするぐらいの対策はとっておいた方がいいだろう。セキュリティーを棚上げしても、通常、Bluetoothをオフにすることは、バッテリーを無駄に消耗しないためにもマストの習慣とすべきである。
文:高倉功次郎