2015/09/01
デザイン界の最激戦区、『インフォグラフィック』とは?
たとえば、複雑に絡み合ういろいろな路線を単純化して見やすく、かつわかりやすくデザインした地下鉄路線図。あるいは、イラストなどを交えて楽しく伝えようと作成されたカラフルなグラフ。はたまた、テレビの天気予報コーナーの、太陽マークや雨傘マークなどでシンプルかつ直感的に理解できる天気予報図。インフォグラフィックとは、普段、私たちがさまざまな場面で目にしている、そんな情報デザインのことだ。
インフォグラフィックは、情報やデータを、ピクトグラムやイラスト、グラフなどを利用してわかりやすく視覚的に伝えるもの。そういう意味では、数学のグラフとピクトグラムがインフォグラフィックの原点ともいえる。
インフォグラフィックの要素の一つが、このようなピクトグラムだ
ピクトグラムとは、街で目にするトイレのマークや非常口のマーク、車いすのマークなどのような、シンプルな線と形で情報を伝えるシンボルデザイン。日本では1964年の東京オリンピックの際、日本語が理解できない外国人客のために、水泳や体操などの競技種目や、トイレ、公衆電話などの施設案内をピクトグラム化したことから、ピクトグラムが発展し、一般化した。ちなみに、このピクトグラムデザインに参加した多くのデザイナーたちは、このとき、著作権を放棄 する書類に署名したという。自分たちがデザインしたピクトグラムを、世界中の人に自由に使ってほしいという願いからであった。
インフォグラフィックの代表が地下鉄などの路線図
このピクトグラムとグラフ的表現の合体が、インフォグラフィックの基礎となるわけだが、あとは手掛けるデザイナーの才能とユーモア感覚次第。インフォグラフィックの作品を紹介するWebサイトも数多く存在している。お薦めは、日本なら「infogra.me」。海外のサイトでは「Cool Infographics」。インフォグラフィックの世界の多様なアイデアや優れたデザインは見ていて飽かせない。
スマートフォンの小さなディスプレイの中でも、わかりやすくシンプルに情報を伝えなければいけない現代。ネット世界においても、インフォグラフィックの手法とスキルはますます必要とされている。多くの優れたクリエイターたちが、無限の可能性をもったWebデザインのフィールドに参集するのは、そんな理由からでもある。
文:太田 穣