2015/08/27
『WeChat』は中国人観光客の“爆買い”を加速させる?
新しいモノ好きのスマホユーザーなら、WeChatと聞いて、「ああ、中国版LINEね」とすぐにわかるはず。実はこのWeChat、LINEより数カ月早く中国本土でサービスを開始しているので、LINEのちょっぴり先輩ということになる。2015年現在、登録アカウント数が世界中で11億2,000万人、月間アクティブユーザー数が4億4,000万人と、規模ではLINEを大きくしのぐ。ユーザーの多くは中国人であり、中国国内では「微信(ウェイシン)」という名前でスマホユーザーのマストハブとして君臨する。
LINEとほぼ同等の機能を備えるだけでなく、ビデオチャットができたり、自分の周囲にいるWeChatユーザーを探して知らせるLook Around機能(中国語では「附近的人」)など、むしろLINE以上に機能豊富といえるかもしれない。特に、このLook Around機能は中国の若者たちに大ウケ。何しろ、半径100メートル以内、200メートル以内という距離ごとに、付近にいるWeChatユーザーをリストアップし、しかも顔写真にプロフィール付きで表示されるので、出会い目的に利用する若者も多いのだとか。
そんな面白さいっぱいのWeChatだが、日本での普及はいまひとつで、注目されることもあまりなかった。それが、2015年7月、WeChatの運営会社である中国のテンセントを代理して日本のネットスターズが、スマートフォンを利用した決済サービス「WeChat Payment」を日本に本格導入すると発表したことから、がぜん注目を浴びることとなったのだ。
スマートフォンとタブレットの間で決済がおこなわれているところ(写真提供:株式会社ネットスターズ)
「WeChat Payment」での支払い方法は簡単だ。まず、スマートフォンでWeChatアプリを起動し、ディスプレイに決済用のQRコードを表示させる。店側はiPadなどのタブレットで専用アプリを起動して金額を入力後、客のQRコードを読み取る。これだけで支払い手続き完了。決済はデビッド型なので、客の銀行口座から引き落とされる。店側では自前のタブレット端末を用意するだけなので、導入費用はほとんどかからない。この簡単さが、「WeChat Payment」での決済が中国で増えている理由なのだ。
ちなみに、QRコードを使った決済サービスは日本では珍しいが、中国ではごく当たり前に用いられているそうである。
この「WeChat Payment」日本導入の目的はもうおわかりだろう。増え続ける中国人観光客の皆さんに利用していただこうということ。"爆買い増加"への期待が集まるWeChatなのである。
文:太田 穣