2019/09/09

Bluetoothの『バージョン』とは? 5.0から最新5.1への進化ポイントも解説

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Bluetoothロゴ

近年では、イヤホンやスピーカーなど様々なデジタルガジェットや家電に搭載され、多くの人が日常的に使用しているのが近距離の無線通信方式「Bluetooth®」だ。Wi-Fiのように大容量のデータを高速で送ることはできないが、接続が簡単で、消費電力も小さく、しかも手軽に利用できる。

Bluetoothが誕生したのは1999年。このときのバージョンが「Bluetooth 1.0」。その後、何度か大きなバージョンアップを繰り返し、2016年にメジャー・バージョンアップ「Bluetooth 5.0」が発表されたが、これに対応する機器はまだまだ少ない。なお、2019年1月に「Bluetooth 5.1」という新仕様が発表され、こちらが最新バージョンということになる。以下の表は、歴代Bluetoothの主なアップデート内容だ。

Ver. アップデート内容
1999 1.0 一般公開された最初のバージョン
2001 1.1 このバージョンから広く使われ始めたので「普及バージョン」と呼ばれる
2003 1.2 同じ周波数帯(2.4GHz 帯)を利用する無線LANとの電波の干渉を減らし、音質の改善などをはかる
2004 2.0 最大通信速度を3Mbpsに切り替えられるEDR(Enhanced Data Rate)機能を追加
2007 2.1 ペアリングが高速で簡単になる
2009 3.0 最大通信速度が24MbpsになるHS(High Speed)機能をオプションで追加
2009 4.0 省電力に優れたLE(Low Energy)機能を追加
2013 4.1 LEのデータ通信を効率化する機能やLTEとの電波干渉を減らす機能、直接インターネット接続ができる機能などを追加
2014 4.2 LEのデータ通信速度が2.5倍高速化
2016 5.0 データ通信速度が4.0の2倍、通信範囲が4倍、通信容量は8倍に。メッシュネットワークにも対応
2019 5.1 方向探知機能を追加

Bluetooth搭載機器で身近な例といえば、スマートフォンだ。2008年に発表され、日本に初上陸したiPhone 3Gに搭載されていたのはBluetooth 2.0。2017年に発売されたiPhone 8以降はBluetooth 5.0が搭載されている。

少し前のBluetooth機器で、ペアリングの際にPINコードの入力が必要だった記憶はないだろうか。Bluetooth 2.1以降の機器では、入力の必要はなくなっている。Bluetoothの進化とともに、使いやすさも向上しているのだ。

「クラシック」と「LE」の2つの規格

実はBluetoothには、3.0以前の「クラシック」と、4.0以降に搭載されている低電力消費の「LE」という2つの規格が存在している。これらは通信方式も違うので互換性はない

クラシックは、Bluetooth 1.0から3.0までに主に搭載されてきた規格のことを指す。身近なところでは、ヘッドホンやイヤホン、キーボード、マウス、オーディオ機器といったPC周辺機器など近距離のデバイスを繋ぐために利用されている。

一方のLEは、Bluetooth 4.0から新しく搭載された、電力消費を極力抑えた規格のことで、今後飛躍的に増加していくであろうIoT機器の需要に応えていくために開発されたものだ。ボタン電池1個で何年もの動作が可能なので、たとえば、お店や博物館の様々な場所に設置して、不特定多数のスマホといったBluetooth機器に、商品や陳列物の情報などを発信し続ける「ビーコン」といった機器と相性が良い。

現状、Bluetoothは通信方式も使用目的もまったく違う2つの規格が共存しているということになる。Bluetooth 4.0から、LEのみを搭載したものとクラシックとLEの両方を搭載したものがあり、ロゴで見分けられるようになっている。Bluetoothを搭載する製品を開発するメーカーは、この2つの規格のどちらを使用するかを、製品の用途によって決めているのである。

Bluetoothロゴ (左)「Bluetooth」:クラシックのみ対応(Bluetooth 3.0まで)
(中)「Bluetooth SMART」:LEのみ対応
(右)「Bluetooth SMART READY」:クラシック、LE両方対応

5.0のバージョンアップで、通信速度が2倍、通信距離が4倍、通信容量は8倍に

まずは、2016年のBluetooth 5.0発表という大きな節目で、前バージョンの4.2と比較してなにが変わったのかを紹介しよう。バージョン5.0で大きく進化したのはLE規格の性能だ。5.1で追加された機能については、記事の最後で紹介する。

(1)データ通信速度が倍の2Mbpsと高速化

実はバージョン3.0(クラシック)の段階で、Wi-Fiなどに用いられる無線LAN規格(IEEE 802.11)の電波を使う高速化オプション機能が追加され、これを用いると最大速度24Mbpsが実現する。しかしマウスやワイヤレスイヤホンなどに利用が限定されることが多いクラシックでは、この通信速度が活かされる機会は少ない。

そこでバージョン4.0では、通信速度を「1Mbps」に抑えることで低消費電力性を高め、IoTに適したLEへとシフトチェンジしたというわけだ。バージョン5.0ではこの通信速度が2倍の「2Mbps」となった。

(2)通信可能な距離が4倍に広がった

壁などがない見晴らしのよい環境であれば、これまでは最大100mだったのが、400m以上離れていても電波が到達するようになったということ。これはデータ補正の技術を改良して実現したという。つまり、弱い電波でも、エラーを補正して情報を正しく取り出すことで、通信距離を伸ばすことに成功したのだ。 

(3)ブロードキャスト通信容量が8倍に増えた

ブロードキャスト通信容量というのは、ビーコンや電子タグなどに格納される、一方向・不特定多数に発信できる情報の大きさのことだ。つまり、ブロードキャスト通信容量が増えることで、今までより多くの情報を発信できるようになった。

音楽好きな人は、5.0対応のBluetoothイヤホンやBluetoothスピーカーでの音質の向上を期待しているかもしれないが、残念ながらそれはない。というのも、Bluetooth 1.1で用意されたオーディオ用通信プロファイルである「A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)」については基本的に変更がないからだ。ただ、スマホとイヤホンやスピーカーとの距離が多少離れても、音が途切れたりすることは減っているようだ。

5.0のバージョンアップで生活がより便利に

ではIoTに対応したBluetooth 5.0のLE規格は、私たちの生活に具体的にはどんな利便性をもたらしてくれるのだろうか。

おそらく、いちばんわかりやすいのは、5.0で実現された「メッシュネットワーク」だろう。メッシュネットワークとは、複数のBluetoothの対応機器(スマホが親だとしたら、Bluetoothイヤホンのような子にあたる接続先の機器)同士が網の目のようにつながるネットワークのことだ。

Bluetoothメッシュネットワークのイメージ

たとえば、5.0対応のBluetooth照明機器が1階から2階まで、家中の部屋に設置されていたとする。このとき、自分のスマホでいちばん近くにあるBluetoothライトに「家中の電気を消せ」と指令を出せば、このメッシュネットワークを通じて家中のBluetoothライトに命令が伝わり、一斉に電気を消すことが可能だ。

つまり、Bluetoothに接続した機器同士が通信の中継器の役割を果たしてくれるというわけだ。これを利用すれば、遠く離れた部屋にあるBluetooth付きエアコンを、Bluetoothライトのネットワークを通じて、コントロールするなどということも可能になる。

ほかにも、次のようなことが期待できる。

●低電力と広エリア性で、ペットや子ども、高齢者につける見守り用タグの長時間使用が可能となり、しかも屋外なら400メートル以内まで居場所が探知できるようになる。
●ブロードキャスト通信容量が増えることで、お店の棚などにビーコンを設置しておけば、その商品の詳細な情報(たとえば食品なら成分から生産地、賞味期限、オススメの料理法など)をスマホなどで見ることができるようになる。
●スマートウォッチやヘルスケア用のウェアラブル・デバイスが、Bluetooth搭載の体重計や家電などと自動的に連携して情報を収集、管理してくれ、コントロールもできる。
●Bluetoothスピーカーを別の部屋のスマホなどから操作することができる。
●2Mbpsという高速データ通信を生かした高音質コーデック(デジタルデータをアナログデータにする方式)が開発されれば、超高音質なワイヤレスイヤホンの登場が期待できる。

いずれにせよ、こういったことが実現するにはBluetooth 5.0や、IoT機器が現状よりも一般に普及している必要がある。前提として、5.0の恩恵にあずかるには、使用する機器が5.0対応でなければいけないということを覚えておこう。

2019年に発表されたBluetooth 5.1はなにがすごい?

2019年に発表されて話題となっている最新のBluetooth 5.1では、「方向探知機能」が搭載されることとなった。この新機能が、一般ユーザーにはもっとも嬉しい機能かもしれない。アンテナからBluetooth信号の送信角度や受信角度を割り出し、ペアリングされているBluetooth機器がどの方向にあるのかを教えてくれるのだ。

これまでは、機器が遠くにあるのか近くにあるのかは電波の強さから知ることはできたが、方向までは割り出せなかった。それが可能になるということは、鍵や財布など大事なものにBluetoothタグをつけておけば、紛失したときに探しやすくなる。ビジネス面でも、倉庫などで目的のものを見つけ出すのにとても役に立つ。

また、ビーコンなどと組み合わせれば、巨大店舗で自分が探している商品の陳列場所をスマホなどで簡単に見つけ出すこともできるし、ショッピングモールや遊園地では目的の店やアトラクションに迷わずたどり着けるようになる。

バージョンアップによってBluetoothは「より速く、遠くまで、たくさんの情報を届けられる」ようになっている。とはいえ、最新バージョンに対応した機器が一般に普及するには年単位の時間がかかるもの。対応機器が登場するまで首を長くして楽しみに待とう。

文:太田 穣

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