2019/08/09
| 更新
2021/09/22
RAM、ROM、CPU、有効画素数、クロック周波数? 知っておきたいスマホの機能用語集
価格やデザイン、サイズ、メーカーやブランドの好みなど、スマホを選ぶ際の検討要素はいくつかあるが、なかでもスマホの「機能」は重要な要素だ。
各機能について理解していれば、ハイエンドモデルでなくても自分の使い方に合った機種が選択肢に浮かんでくる。逆に購入してから性能不足がわかって後悔する、ということもなくなるだろう。
では、カタログに書かれている用語、機能比較の数値はなにを表しているのか。OS、CPU、RAM、ROM、有効画素数、F値、バッテリー容量など、今回は機能表に書かれているさまざまな専門用語や数値について、基本的な内容を解説する。
OS
「OS」とは、オペレーティングシステム(Operating System)の略で、PCやスマホを動かすための基本的なソフトウェアのこと。
スマホのOSには、タッチ操作に対応した「モバイルオペレーションシステム」が搭載されており、Google社の「Android」とアップル社の「iOS」が代表例だ。
この項目に「Android」と書かれていればAndroidスマホで、「iOS」と書かれていればiPhoneとなる。Androidであれば2021年9月現在は「Android 12」、iOSであれば「iOS 15」が最新である。またOSは購入後も新機能やセキュリティの強化された新しいOSにアップデートすることができる。(ただし、OSのアップデートを行うと元のバージョンに戻すことはできなくなる。)
最新版のほうができることが多く、またセキュリティも高いので、比較する際の参考にしてほしい。
※機種によってはアップデートができない場合や一部機能が対応しないなど、メーカー独自の変更点が加えられる場合があります。
CPU
スマホやPCの「考える脳」にあたるのが「CPU」だ。セントラルプロセッシングユニット(Central Processing Unit)の略で、中央処理装置という意味になる。マイクロプロセッサ、チップなどとも呼ばれる。このCPUの性能(処理能力)が高いほど、より複雑な作業を、より短時間でこなしてくれるというわけだ。
また、小型の超精密機器にとって、処理速度などに悪影響を与える「熱」をいかに抑えられるかが大きな鍵となっており、特にスマホには、消費電力を抑えつつ高性能なCPUが搭載されている。
ちなみにCPUが「Snapdragon 888 オクタコア」と記載されていれば、「Snapdragon」という名前のCPUを搭載し、型番は「888番」であることを示している。型番の数字は大きいほど高性能だ。
「オクタコア」は、Snapdragon 855が「8つのコア(脳)」を搭載していることを示しており、同時に8つの作業ができることを表している。CPUの性能を見るには、CPUの核となるコアの数を見るのがわかりやすく、一般的にコアの数が多いほどスマホの性能が高い。コアの表記とコア数は以下のようになっている。
クアッドコア | 4個のコア |
---|---|
ヘキサコア | 6個のコア |
オクタコア | 8個のコア |
デカコア | 10個のコア |
ドデカコア | 12個のコア |
ヘキサデカコア | 16個のコア |
また、CPUの計算速度を示す単位が「GHz」という周波数の単位で、この数値が大きければ大きいほどコアの計算速度が高く、高性能ということを示している。
例としてGalaxy S21 5Gの機能表では、CPUの数値が「2.8GHz×1+2.4GHz×3+1.8GHz×4」と記載されており、これは、8つのコアのうち「2.8GHz」が1つ、「2.4GHz」が3つ、「1.8GHz」が4つと、それぞれのコアの処理能力が違うことを表している。
ちなみにCPUはその開発会社や性能によって独自の名前が付けられており、その型番でver.の違いがわかるようになっている。
・Aシリーズ:iPhone
・Snapdragon:Xperiaシリーズ、Galaxyシリーズ、AQUOSシリーズなど
・Exynos:Galaxyシリーズ
・kirin:HUAWEI
【高性能のメリット】
CPUが最新の型番で、計算速度が速く、コア数が多ければ多いほど処理能力が高い。高性能であれば、スマホのスリープ状態からの復帰から、アプリの起動、ネットサーフィンまで、スマホにまつわるすべての作業が素早くスムーズになる。とくに高精細な映像の鑑賞や、最新のゲームのプレイでメリットが大きいため、スマホ選びの参考にしてほしい。
RAM/メモリ
RAMとは、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory)の略で、スマホやPCにおいて、CPUが直接アクセスして演算を実行するときに使うメインメモリ(主記憶装置)のこと。CPUが動作する時に一時的にデータを記憶しておく装置で、一般的に「メモリ」という言葉はこのRAMを指すことが多い。
このRAMの数値が大きければ大きいほど、同時に複数のアプリを立ち上げたり、たくさんのページを同時に閲覧したりと、高速で並行した演算処理が可能となる。
スマホにおけるRAMの数値は、iPhoneだと公式サイトを見ても掲載されていないが、Androidスマホではスペックとして掲載されており、最新モデルでは12GBのものも登場している。
【高性能のメリット】
SNSや動画、ゲームなど、同時にたくさんのアプリを開いても動作遅延が起きにくく、快適にスマホを使うことができる。
ROM/容量/ストレージ
ROMは、リードオンリーメモリ(Read Only Memory)の略で、内蔵ストレージ、またはハードディスクを表す。ROMはスマホやPCにおいてデータの長期保存を目的として、スマホ内の写真や動画、音楽やゲームなどあらゆるデータの格納場所となる。Androidスマホの機能表では「ROM」、iPhoneの機能表では「容量」と表記されている。
この数値が大きいほど、たくさんのアプリや写真、音楽などのデータを保存することができる。スマホのROMの容量は年々新モデルが出るたびに大きくなっており、Androidスマホでは256GBのものや、iPhone 13 Pro / Pro Maxでは1TBの容量を搭載した機種も出てきている。
iPhoneのようにROMの容量で本体価格が変わる場合、スマホ本体にデータを保存しないのであれば、安価なモデルを選択できる。写真データや音楽データはiCloudやGoogle driveなどクラウドサービスで管理し、また外部メモリが利用できるAndroidスマホであればSDカードを使う、という選択肢も知っておきたい。
【高性能のメリット】
ROMの数値が大きくなるほど、動画や写真などのデータを容量を気にせずに格納できるほか、より多くのアプリをダウンロードすることが可能になる。
ディスプレイ
ディスプレイはサイズ、解像度、画面タイプの3つの比較ポイントで表される。ただし、好みや印象は機能表だけでは見分けにくい。カタログ上の数値は参考程度に留め、選ぶ際には実物を見て確認するのがおすすめだ。
・サイズ
サイズは、ディスプレイの対角線の長さをインチという単位で表す。ちなみに1インチは2.54cm。「iPhone 13」が6.1インチ、「Xperia 1 Ⅲ」が約6.5インチと、対角線の長さを基準にしているため、同じ画面面積でも縦横比で「サイズ」は変わってくる。よって縦長(長方形)になればなるほどインチ数は大きくなる。また、ディスプレイの大きさは基本的にスマホそのものの大きさに比例するので、こちらも購入する際にはできるだけ実物を見て確認しておきたい
・解像度
ディスプレイには「ドット」と呼ばれる光の点が敷き詰められていて、これらが点滅することで文字や画像が表示される。解像度とは、このドットの数の多さを表すもので、数字の大きいほうが高解像度できめ細やかな表示となる。フルHDや2K、4Kという表記があらわすドット数は、以下の通り。
【各解像度のドット数】
HD:720×1,280
フルHD: 1,080×1,920
2K: 1,440×2,560
4K: 2,160×3,840
8K: 4,320×7,680
ちなみに2021年9月現在、Xperia I Ⅲ で4K相当のディスプレイを搭載したスマホまで登場している。
・ディスプレイの種類
スマホのディスプレイには、「液晶」と「有機EL(エレクトロルミネッセンス)」がある。
「液晶ディスプレイ」の構造は、背面からバックライトを当てて「液晶」と「カラーフィルター」を通して文字や映像を表示させる方式のため、何層もの素材が必要だ。一方、「有機ELディスプレイ」は、素材そのものが発光する「有機EL」をガラスで挟むだけの構造のため、ディスプレイを薄くすることができる。その結果、有機ELディスプレイ搭載スマホは本体が薄いという特長もある。
また、有機ELは表示反応も速く、消費電力も小さいので、最近の高性能スマホには欠かせない素材といえる。iPhoneシリーズに搭載されている「Super Retina(スーパーレティーナ)」、Xperiaシリーズの「トリルミナスディスプレイ」、ほか、いくつかのメーカーで有機ELディスプレイが搭載されている。
ちなみにiPhoneをはじめアップル製品のディスプレイで目にする「Retina(レティーナ)」とは、英語の「網膜」という意味で「画素が細かく人間の目で識別できる限界を超えている」ことから命名されたもの。AQUOSに搭載されている「IGZO」は、シャープがテレビ用に開発した液晶技術で、有機ELと同レベルの美しさを誇る。
カメラ機能
・有効画素数
カメラ性能を表す有効画素数とは、カメラの心臓部にあたるイメージセンサーの総画素数うち、画像生成に使用される画素数のこと。画像は小さな点で構成されているため、画素数の多いカメラで撮影すると、大きく引き伸ばして印刷しても綺麗に仕上がる。
とはいえ、昨今ではスマホで撮った写真もプリントが目的ではなく、SNSやメールでのやり取りが主流になりつつあるので、高画素カメラで撮影しても、スマホのディスプレイで見るぶんには、画素数の大小の差を感じることがほとんどなくなっている。
もし、スマホで撮影した写真を大きく引き延ばして印刷したい、または写真を拡大しても画質を粗くしたくない場合には、高画素カメラ搭載のスマホを選ぼう。ちなみに、現行のスマホは800万画素以上がほとんどだが、この800万画素で撮影したデータは、L判の写真、年賀状などはがきサイズの印刷であれば綺麗に出力することができる(理論値としてA3サイズまでの印刷が可能)。このことからも、画素数はあまり気にする数値ではなくなりつつある。
・F値
スマホカメラの「F(値)」とは、カメラレンズの性能の高さを示す数値で、「F値2.4」「F値1.6」などと表現される。この数値が低いほど、より多くの光を取り込むことができる。一眼レフカメラのレンズにも一般的に使われている言葉で、高額なレンズほどこの値は小さくなる。
・ズーム機能
スマホカメラのズーム機能には2種類ある。デジタルズームと光学ズームだ。「デジタルズーム」は「ピンチアウト」と同じ要領で画像を拡大するので、拡大するほど画像は粗くなってしまう。
一方、「光学ズーム」方式は、デジカメの「ズームレンズ」のように伸縮する構造ではないものの、複数のレンズを搭載することで「光学ズーム」と同等の効果が出せるようになっている。
現在、普及しているほとんどのスマホはデジタルズーム対応だが、デュアルレンズやトリプルレンズといった複数のレンズを搭載しているスマホでは、光学ズーム対応のものも登場している。スマホで美しい写真を撮りたいという人は、光学ズームに対応したスマホを選ぼう。
【高性能のメリット】
F値が小さいほど多くの光を取り込めるため、「暗い場所での撮影に強い」「ブレにくい」といったメリットがある。また、デュアルレンズやトリプルレンズといった複数のレンズを搭載したモデルでは、「光学ズーム」が使えるため劣化が少ない写真が撮影できる。
電池/バッテリー
・バッテリー容量
「バッテリー容量」は、mAh(ミリアンペアアワー)という単位で記載されている。たとえば「4,500mAh」なら、4,500mAの電流を1時間放電することができることを意味する。一般的には「放電容量」とも呼ばれていて、もちろんこのバッテリー容量が大きいと、それだけ電池持ちに優れている。
とはいえ、スマホは機種によって消費電力が異なるので、「バッテリー容量」の表記だけではどれくらいの時間、使用することができるのかがわからない。
実際にどのくらいバッテリーがもつのかを示す指標が「連続〜時間」だ。メーカーによって連続通話時間、連続駆動時間、連続使用時間、連続待受時間などさまざまな書き方があるが、「連続〜時間」と記載しているものは、バッテリー性能の目安として確認しておきたい。
使用状況により、記載された時間よりも減ってしまうこともあるものの、連続時間が長ければ長いほど電池持ちが良いということは覚えておきたい。
【高性能のメリット】
高性能であればあるほど一度の充電で長時間使用することができる。機能表では「連続〜時間」の項目の値を参考に比較検討するとよい。
購入前、スマホ選びの参考に
スマホは高性能なほど、便利でストレスなく使える反面、当然ながら本体価格も高くなる。
写真をきれいに撮りたいならカメラ性能を重視、ゲームをストレスなく楽しみたいならCPUやメモリ重視、動画を楽しみたいならディスプレイ性能重視、メッセージアプリやSNSを頻繁に使うならバッテリー容量・連続通話時間を重視する、といった具合に、機能表からも自分に最適なスマホを見つけることができる。ぜひ機能表を確認して用途にあったスマホを見つけてみてほしい。
※2021年9月現在の情報です。
文:よもぎ三太郎