2015/11/02
【つながるひみつ】第7話 「地下鉄の中でも電波が届くひみつ」
携帯電話やスマートフォンがつながるのはなぜなんだろう? 遠く離れたところにいる人の声がアッというまに届くしくみには、一体どんなひみつが隠されているんだろう?
地下鉄に乗っていた大ちゃんのスマホに、待ち合わせしているあずきちゃんから「スマン遅刻しそう」というメッセージが届きました。その返事を打っているうちに、ふと、大ちゃんは地下鉄の中でスマホがつながるのはなぜなんだろうと考え始めました。地下だから電波は届かないはずなのに? 答えはもちろん、地下トンネルの中にアンテナがあるからです。大ちゃんは、そのアンテナが窓の外に見えるはずだと思いました。ところが......。
さあ、地下鉄でつながるしくみを探る旅のスタートです。
大ちゃんは走る車両の窓に顔を押しつけるようにして、地下トンネルの中にあるはずのアンテナを見つけ出そうと目をこらしました。でも......。
大ちゃん「おかしいぞ、アンテナらしいものが見つからない......。絶対どこかにアンテナがあるはずなのに。電波くんに聞いてみよう。電波くーん!!」
電波くん「なに大ちゃんどうしたの?」
大ちゃん「地下鉄のトンネルの中にアンテナが見つからないんだ」
電波くん「それはね、大ちゃん......」
電波くんが教えてくれたアンテナは意外な姿をしていました。1本の長ーいケーブルの形をしていたのです。
大ちゃん「えっ、この電線みたいなのがアンテナ!? どうりで見つけられないわけだ」
地下鉄のトンネルは曲がりくねっているので、普通のアンテナでは電波がうまく届かないところがたくさん出てきます。そのため、アンテナを特別な形に加工して、トンネルの壁に沿って張りめぐらしているのです。こうすることで、トンネル内のどこでも電波が届きます。
電波くん「さあ大ちゃん、あずきちゃんのところへ行こう!」
あずきちゃんへのメッセージのデータを運ぶ電波くんの背中に、大ちゃんは急いで飛び乗りました。
電波くんの背中に乗ってあずきちゃんのもとに向かう大ちゃん、ふと疑問に思いました。
大ちゃん「そういえば、地下鉄の駅のホームでも携帯電話がつながるのは、ホームにアンテナがあるから?」
電波くん「そうだよ。ちなみに、地下鉄の駅ばかりじゃないんだ。前に勉強したように、ビルの高層階はもちろん、地下階や地下街などにも、たくさんのアンテナが設置されているのさ」
大ちゃん「ビルの高層階だけじゃなく、地下でもしっかり対策をしているんだね」
いまや全国のほとんどの地下街で携帯電話がつながるのは、地下のアンテナ設置をせっせと進めていったからなのです。
大ちゃんと電波くんは基地局経由で交換局に到着。あずきちゃんの居場所を教えてもらうと、さらに光ファイバー網の中を突き進みます。どうやら、あずきちゃんはA駅とB駅の間を走っている地下鉄の中にいるようです。
電波くん「さあ、いよいよ電波に変身して飛び出すぞ〜!!」
大ちゃんくん「あれっ!? このホームの隅っこにあるアンテナ、さっきの電線みたいなアンテナと違うよ」
電波くん「そうだよ! これは指向性アンテナといって、トンネル内に向けて電波を発射しているんだ。指向性アンテナは駅と駅の間が短くて、しかも直線で見通しのよいトンネルの対策でつかわれるんだよ」
あっという間にあずきちゃんのスマホに到着した電波くんと大ちゃん。でも、あずきちゃんは居眠りの真っ最中。
大ちゃん「なんだよお、せっかく、『気にしなくていいいよ』ってメッセージを送ったのに、居眠りしてるなんて〜」
電波くん「しかも、大ちゃん。この地下鉄、待ち合わせの駅とは反対方向に向かっていない?」
大ちゃん「ほ、ほんとだ......」
あきれて顔を見合わせる大ちゃんと電波くんでしたが、地上の電波が届かない地下鉄や地下街でも、通話や通信が普通にできるひみつがわかってよかったね!
文:T&S編集部
絵:沼田光太郎
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