2017/03/17
【au×TRANSFORMERS】トランスフォーマーデザイナーが語る開発秘話
15周年を迎えた「au design project」とタカラトミーとの特別企画で、auデザインケータイの名作INFOBARと超ロボット生命体トランスフォーマーのコラボレーションモデルを製作するという「au×TRANSFORMERS PROJECT」。
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では、『TIME&SPACE』でも紹介している試作品ができあがるまでに、一体どんな経緯があったのか? 今回は、コンセプト設計から内部のモデルまでデザインしたタカラトミーのトランスフォーマーデザイナー 大西裕弥さんに「au×TRANSFORMERS PROJECT」モデル製作の裏側を聞いてきた。聞き手は、初代INFOBARから企画監修を行ったKDDIのプロダクト企画部 砂原 哲です。
INFOBARコラボが決まった際の衝撃
――INFOBARをはじめとする「au design project 」が15周年を迎えるにあたって、KDDI社内でなにかこれまでにない面白いことができないか、ということで、タカラトミーさんのトランスフォーマーとのコラボレーションという話が出てきました。世代的にトランスフォーマーファンの社員がいたんです。INFOBARも好き、トランスフォーマーも好きっていう(笑)。最初、KDDIから「au端末でトランスフォーマーを作りたい」という相談をさせていただき、最終的に「INFOBARでトランスフォーマーを作る」ことに決まったとき、大西さんはどう思われましたか?
「驚きがありつつも、非常に嬉しかったです。INFOBARは14年前にauから発売された時から愛用していたんです。INFOBARが発表されたときのことは今でも鮮明に覚えています。各社折り畳みやスライド携帯への移行時期だったので、『まさかストレートタイプの携帯電話が、また来るのか!』と驚きました。筐体自体のフレームがマグネシウム製でしっかりしていて、ほかの端末とは違って質感へのこだわりを、握った瞬間にも感じられるのが印象的でした」
――au design projectの第一弾として、構造、マテリアル、塗装などあらゆる面で困難を乗り越えて完成したINFOBARでしたから、そう言ってもらえると非常に嬉しいです。ちなみに、大西さんはどの色を使われていたんですか?
タカラトミー トランスフォーマーデザイナー 大西裕弥さん
「まさに、このNISHIKIGOIモデルです。赤いボディでありながら、握った際のメタル素材ならではのヒンヤリとした高級感もほかにはないプロダクトだと思います。トランスフォーマーの企画が動き出してから、再度細部まで観察したんですけど、塗装・抜き勾配(金型の設計の仕方)の処理の仕方など、間違いなく当時の最新鋭技術が随所に詰まったプロダクトだと思います」
INFOBARがトランスフォームするまで
――最初のキックオフが、ちょうど去年の4月頃だったとのことですが、当時の思い出などありますか?
「デザイン自体への着手は素早く開始できました。話をいただいたのが嬉しくて、それこそ一晩でコンセプトのイメージ部分は完成しました」
――なるほど。トランスフォーマー化するのにはどういう工程があるんでしょうか?
「トランスフォーマーを製作するうえでは、①変形イメージ、②スタイリング検討、③ラフ設計図、④3DCAD化、⑤モックアップ作成というプロセスを踏んでいくのですが、②の部分で想像していた以上に調整が大変でした。というのも、INFOBARは厚みが11mmしかないんですよね。トランスフォーマーにするうえで、余剰なパーツを生み出したり、差し替え変形は許されないので、薄さを生かしつつ、変形の難度の着地地点や、ロボット自体のプロポーションの良さを表現することに非常に苦労しました」
――たしかにINFOBAR自体はすごく薄いのに、今回製作している3モデルは全体のプロポーションの完成度も高いですし、ロボットとしての厚みを感じさせます。ほかにこだわった部分などありますか?
「今まで100体ほどトランスフォーマーに関わってきた経験を生かして、変形の"程よい"やりごたえとプロポーションのクールさを追求しました。なかでも脚部については、プロポーションと併せて可動範囲と変形のしやすさなど、さまざまな要件があるなかで軸位置の調整に試行錯誤しています。さらに、パーティションライン(パーツの境目)が、変形する前のINFOBARの状態で目立たないように、テンキーのボタンに沿って左右非対称でつくったのが個人的なこだわりです。完成されたINFOBARのデザインに傷をつけるようなことはしたくなかったんですよね」
――たしかにINFOBARを正面から見たときのパーティションラインは目立ちませんね。あと、正面から見ると右足の脛部分にINFOBARのロゴがきちんと見えるのも、INFOBARに関わってきた人間としては嬉しいポイントです。
「そこもこだわりポイントのひとつです! ロボットモードにおいて正面から見た時にINFOBARとわかるようにしたかったんです」
プロジェクトロゴについての想い
――今回は、「au×TRANSFORMERS PROJECT」オリジナルのロゴも大西さんにデザインしていただきました。最初は単色のトランスフォーマーのブランドロゴだったのですが、KDDIからロゴをINFOBAR(NISHIKIGOI)柄にできないか、ご相談させていただきました。
「今回は今までトランスフォーマーに触れたことがない方々にも触っていただく良い機会なので、エンブレムについてもこだわりをもってデザインさせていただきました。まず前提として、トランスフォーマーのブランドロゴはアイデンティティとして非常に大切なので、形状はやみくもに変えず、皆さんに『トランスフォーマーロゴだ』ということを認識していただくことを目指しています。
そのなかで、今回のパートナーであるINFOBAR(NISHIKIGOI)のアイデンティティである3色のカラーを取り入れてほしいという、KDDIさんからのご提案をヒントにスタートしました。
次にコラボレーションを表現する"環(リング)"をイメージしながら、最終的にINFOBARのタイルキーをコラボレーションの環に見立て、ブラックを背景にトランスフォーマーのロゴと3色のカラーが映えるように仕上げました。シンプルながらに強い印象のロゴになったのではと思っています」
3モデルのデザインについて
――今回はINFOBARのカラーバリエーションの3色でそれぞれオプティマスプライム、バンブルビー、メガトロンの3体を同時に製作することになりました。INFOBARのどのカラーをどのトランスフォーマーにするかはどのように決めたのでしょうか?
「トランスフォーマーにはさまざまなキャラクターが存在しますが、今回はINFOBARのカラーリングと合わせて相応しいキャラクターを選択させていただきました。まずNISHIKIGOIは赤とブルーということと、象徴的な意味合いからもオプティマスプライムに。ICHIMATSUについては悩みましたが、ブラックのボディの中にイエローパーツが隠れているという"サプライズ"的な明るさや、情報員としてのキャラクター要素が合っているバンブルビーに。BUILDINGについてはブルーブラックの気品や鋼のような力強さを感じるシルバー配色が大人にも人気が高いメガトロンにしています」
――今回製作した3モデルは、よく見るとそれぞれ顔のデザインが違うんですよね。とても細かいところまでデザインされているのに驚きました。
「もちろん、それぞれ異なるキャラクターとしてアイデンティティを持っているので、彼らがもつキャラクター性を最大限表現しました。トランスフォーマーのフェイスデザインについては、オプティマスプライムは司令官なので勇敢さと精悍さを表現したイメージ、バンブルビーはクールでアクティブなイメージ、メガトロンは威厳と力強さを表現していますが、今回はさらに歴戦の傷痕をイメージした細かいディテールラインを入れています。
さらにMP(マスターピース)とよばれるトランスフォーマーの最上級ラインと同じレベルのディテールラインを入れています。小さいながらに重厚感が感じられる"詰まった"印象にするために最大限、努力しています」
「オフィスのデスクトップに飾ってほしい」
――変形前のINFOBARは実寸大ですから、大きさとしてもそれほど大きいものではないのに、結構可動しますよね。いろいろなポーズで遊ぶこともできそうです。
「可動性の高さはこだわったポイントのなかでもかなり大きなものです。たとえば、ビジネスマンの方には会社のデスクでいろいろなポーズを取らせて遊んでほしいですよね。僕自身、仕事中にそうやって遊びながらリフレッシュしています(笑)。メガトロンをなにかに座らせるとちょっと哀愁を感じますよ」
――今回のモデルはBluetoothを内蔵させてもらいました。スマホの着信をフィギュアが光で教えてくれるので、会社のデスクにさりげなく飾ってもらえると嬉しいですよね。
「あと、背中には差し替え可能なディスプレイカード機能もあります。サイズに合わせてオリジナルのディスプレイカードを作成して、『いま食事中です』とか『外回り中』とか、自作のメッセージボードにしても楽しそう」
――つらいときはさっきの哀愁ポーズを取らせて『探さないでください』とか(笑)。では最後にトランスフォーマーのアピールをお願いします。
「今までタカラトミーが33年間積み重ねてきた技術と、KDDIさんの洗練されたデザインケータイのコラボレーションでしか生まれない奇跡のアイテムとして、非常に力を入れて作らせていただきました。開発者として、まだここからいろいろと大変な調整が待ち受けていますが、最後の最後まで最大限良いものに仕上げていきますし、自分自身も、いちユーザーとして手元に完成品が届くまでワクワク・ドキドキしています。トランスフォーマーのファンだけでなく、INFOBARファンだった皆さんにも楽しんでもらえるコレクターズトイに仕上げますので、ぜひともクラウドファンディングにご参加いただけると幸いです」
※※クラウドファンディングは2017年3月30日に終了いたしました
※2017年4月11日更新
文:東雲八雲
撮影:稲田 平
※掲載されたKDDIの商品・サービスに関する情報は、掲載日現在のものです。商品・サービスの料金、サービスの内容・仕様などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。