2018/04/24
13のカメラとAIを搭載 自律飛行と自動追尾で完璧なセルフィー空撮をするドローン登場
移動するターゲットを空から撮影できるセルフィー・ドローンはこれまでにもいろいろあったが、究極のドローンが登場した。カリフォルニアのロボティクス会社Skydioが4年の歳月をかけて開発した「Skydio R1」は、同社最高の技術力を注ぎ込んだ高性能なセルフィー・ドローンだ。
Follow(追跡)、Lead(誘引)など5つの撮影モードが用意されており、スマホのアプリ画面でターゲットをタップするだけというとても簡単な方法ながら、まるでプロのような迫力あるシーンを撮影できる。完全自動撮影もできるし、アプリからコントロールをするのも可能だ。
13個のAIカメラと自動運転自動車の技術を使って障害物も軽々と避ける!
完璧なセルフィー空撮を実現するため本体には撮影用カメラとは別に、Skydio Automy Engineと名付けられた高度なアルゴリズム処理を行うAIでコンピュータ・ビジョンをリアルタイムで解析するカメラを13個も搭載している。これだけの数のカメラと高速な画像処理技術によって、360°周辺をモニタリングしながら被写体の位置を正確に把握し、追尾することを実現。
また、障害物を避ける技術には、SLAMと呼ばれる自動運転自動車にも使われている高度な空間位置情報処理技術や採用され、モーション・プランニング技術が使われているので、電波状況が悪い所でも障害物を軽々と避けながら的確なアングルから撮影できる。たとえば設定したルート上に折れた木の枝のような障害物があっても、それを避けながら狙った映像を思い通りに撮影することができる。それはつまり、ハリウッドの撮影チームが大勢のスタッフで何日もかけて行うような作業を、Skydio R1の1台でやれてしまうということだ。
それでいて機体の構造はシンプルで、中央に150°広角で4K撮影ができるカメラとデータを保存できる64GBのメモリが搭載されたボディがあり、その両側を4つのプロペラを設置。上から見ると四角い形にデザインされている。
最高時速は約40km。スポーツやプロモーション風の映像などいろいろな演出が可能
サイトには狭い部屋の中や地下にある(と思われる)駐車場でもスムーズに飛び回るSkydio R1の映像がコンピュータ・ビジョンと共に紹介されている。
本体の重さは約1キロと軽量だが、NVIDIAのGPUを搭載して高度な映像処理を行っているためか、連続飛行時間は16分とやや短い。飛行高度はスマホのGPSが使える屋外では20m、それ以外は8mとなっており、最高時速は約40kmなので動きのあるスポーツやイベントの記録、プロモーション風の映像など、いろいろなシーンが演出できそうだ。
元Googleのエンジニアら有力な開発者が携わり完成
開発を手掛けたSkydio社はNVIDIAら有力企業の支援を受けるロボティクス企業で、トップクラスの開発者が集められている。CEOのAdam Bry 氏は元Googleのプロジェクトにも関わったことがある若手注目エンジニアで、多くの投資家からの期待が寄せられている。スタートアップの多くがクラウドファンディングを利用してから本格的な発売を始めるのに対し、最初から実機販売を行っているという点で製品の質の高さと自信が伺える。
価格はプロフェッショナルでも満足できる映像が撮影できるというのもあり、やや高めの2,499ドル(約25万円)となっている。現時点での配送先は米国とカナダのみだが、それ以外のエリアにも発売を予定しているとあり、日本で発売されれば人気の機体になりそうだ。
- 【スペック】
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Skydio R1
サイズ:33.02 × 40.64 × 3.81 cm
重量:約1.0kg
飛行速度:最高時速40km
飛行時間:約16分
参考価格:2,499ドル
文:野々下裕子