2017/10/16

精度96.4%! 高級ブランドのコピー品を見破るアプリ『エントルピー』がスゴい

氾濫する高級ブランドのコピー品。撲滅するどころかスーパーコピーと呼ばれるほど精度が高いコピー品が次々登場し、プロでもすぐに見分けるのが難しいほどの商品まで市場に出回っているという。そんな模造品に対抗するため、最新のテクノロジーを使って本物か偽物かを判断できるスマホアプリ「Entrupy(エントルピー)」を、ニューヨークのスタートアップEntrupyが開発している。判別方法はとても簡単で、専用のマイクロスコープカメラをスマホやタブレットにつないで、チェックしたい商品の表面を読み取るだけだ。

写真提供:Michael Arrison

260倍に拡大、AIで解析。96.4%以上の精度

カメラは手のひらに乗るほどのコンパクトだが、対象を260倍にまで拡大して撮影することができ、人間の目では判断不可能な微細なディテールを見分けられる。判断そのものは、カメラで撮影した画像を独自のアルゴリズムで開発されたAIを使って解析するのだが、96.4%以上の精度で真贋が判断できるという。診断結果はアプリに表示され、証明書として発行することもできる。

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ロイターの番組内では98.5%の精度を実証! バッグのほか、財布や名刺入れ、靴や文具品も

通常ならかなり高性能なコンピュータを使っても時間がかかる作業を、ほぼリアルタイムでできてしまうのがこのアプリのすごいところ。ロイターのニュース番組で、グッチ、シャネル、ルイ・ヴィトン、プラダといった一流ブランドのハンドバックを対象に実力のほどを検証したところ、98.5%の精度で判断できたようだ。ハンドバックをはじめ、財布や名刺入れなどの皮革製品、靴、文具品などさまざまなアイテムを診断できるとのことだが、あらかじめデータベースに登録されているブランド品だけが対象となる。

写真提供:Michael Arrison

ただし、Entrupyは高級ブランド品の販売や買い取りを行う法人向けに開発されたもので、アプリ(iOS版のみ)は無料だが、専用のカメラを購入してセットアップする初期費用として32,500円(299ドル)が必要。それとは別途、毎月の利用料として1万円から10万円(99〜999ドル)を支払う必要があり、分析できる商品数も5〜100点までと限られている。また、カメラの発送先は今のところ、アメリカとカナダ、オーストラリアのみとなっている。

写真提供:Michael Arrison

これだけの利用料を支払う価値があるのか、一般人では判断が難しいところだが、こういったサービスの登場は、昨今のECサイトやネットオークション、フリマアプリの普及にともなって、プロでも見極めるのが難しいというレベルのコピー品の真贋を簡単に見極める方法へのニーズが高まっているという証拠といえる。また、その解決方法としてスマホやAIといった先端の技術が活用されているという点でも、ちょっと興味深い事例だ。

文:野々下裕子