2017/10/12

これが物流の未来? スマホとドローンで郵送する『ドローン専用ポスト』が誕生

まずはこちらの動画を見てほしい。

ドローンの導入をいち早く進めてきたスイス郵政が、ドローンを使ったロジスティクス(物流)システムを開発するスタートアップ企業のMatternetと連携し、宅配ドローン専用ポスト「The Matternet Station」の運用をまもなく開始するという。

荷物をスマホで管理できる秘密はQRコード

運びたい荷物があることをアプリで申請すると、スマホにQRコードが送られ、それをポストの入口にかざすとポストから専用の箱が出現。その箱に運びたい荷物を収納すれば、あとはドローンによって配送先のドローン専用ポストに自動で運ばれる。デモビデオで荷物がロボットアームによってドローンに格納されるシーンは、SF映画の1シーンのようでもある。ポストに届いた荷物は、届けたい相手のスマホに送信されたQRコードを使ってロック解除する仕組みになっていて、ほかの人が勝手に荷物を取り出せないようにしている。

スイス航空当局から許認可。20キロメートルの距離で2キログラムの荷物を送れる

Matternetは本サービスのためにMatternet M2 Droneという美しいデザインをした専用のクワッドローター(4つの回転翼)式ドローンを開発。ヨーロッパでは、都市部のドローン運用に厳しい規制がかけられているが、本ドローンはスイス航空当局から物流業務の認可を受けており、最大20キロメートルの距離で最大2キログラムの荷物を運べるように設計されている。普段はポストの中に格納されており、バッテリーも充電できるので、24時間いつでも利用できる。

各家庭に1台、なんて未来がくるかも?

当初は医療向けで、送り先も決められたポスト間を1対1で届けるなど制限があるが、運用実績を重ねて将来的にはポストを複数設置し、書類や小さな荷物を安全に素早く、確実に運ぶオンデマンド宅配としてさまざまなニーズに対応することを目指している。たとえば、家にいない時はスマホから指示して、受け取りやすいポストへ荷物を転送してもらう、といった使い方も考えられる。

ちなみにMatternetでは、同じドローンを使って今回のプロジェクトとは別に、メルセデスベンツのバンと組み合わせてコーヒーを宅配するというサービスをスイスでスタートさせている。こちらはポストの代わりに移動できる自動車を使うということで、汎用性はさらに高そうだ。

固定のポストも本体デザインがとても美しく、これならぜひ設置してほしいというニーズが期待できそう。もしかしたら未来の私書箱はこんな形になるのかもしれない。現在、こうした宅配ドローンの運用については、規制が厳しい国が多いのだが、The Matternet Stationの実績次第では、一気に緩和される方向に向かいそうだ。

文:野々下裕子