2017/09/14
壁に貼り付いて衝突事故を回避! 『スパイダーマン』のようなドローンが登場
見た目は普通の飛行機。なのに空を飛んで壁にぶつかりそうになると、そのまま姿勢を変えて壁にぴたりと貼り付く、まるでスパイダーマンのようなドローンをカナダの大学が開発している。
カナダのケベック州にあるシェルブルック大学の研究所、Createk Design Labが開発した「Sherbrooke Multimodal Autonomous Drone」は、「マルチモーダル式自律型」あるいは「S-MAD」と呼ばれるタイプのドローンで、複数の情報を組み合わせて周囲の状態にあわせた対応ができるシステムを備えている。
具体的には、機体に取り付けられたさまざまなセンサーを使用して周囲の状態や飛行状態を正確に把握。建物や壁に向かって水平に空を飛びつつ、ぶつかりそうになると自動で垂直に姿勢を変えて“着壁(?)”することができる。
壁に張り付くヒミツはトゲ付きの足
ユニークなのは、垂直に機体を固定するため着陸に使用する脚の先に車輪ではなく、トゲ付きフックのようなパーツが取り付けられていること。脚自体も壁に飛び付いた時に衝撃をやわらげるため、サスペンションの役割を果たす細い鋼のようなものでできている。もちろん壁から再び離陸することも可能で、その際にも複雑に計算された独自のシステムを活用している。
将来は災害現場の観測や環境調査などに期待
壁に沿って移動したり、位置を固定できるドローンはこれまでにもあるが、ほとんどが3つ以上のローター(プロペラ)で駆動するマルチロータータイプのもので、飛行機のような固定翼タイプのドローンでこうした機能を備えているものはこれが初めて。
用途としては災害現場の観測や環境調査などが考えられるという。長距離を素早く移動でき、なおかつ高い位置に機体をひっかけておくことで電源を節約しつつ、長時間の観測ができるからだ。
ほかにも、その高い“身体機能”を生かしたさまざまな使い方も考えられることから、ドローンを開発する企業などから注目を集めている。運用のアイデアを含め、今後の活躍が楽しみだ。
文:野々下裕子