2017/08/18
【世界のドローン70】世界初、ドローンの『空中バッテリー交換システム』が空の産業革命を起こす?
飛行中のドローンのバッテリーを同じく飛行するドローンを使って交換、補給できる「空中バッテリー交換システム」を大阪大学の学生開発チームが世界で初めて成功させた。
ドローンの活用範囲が広がる一方で、標準的なマルチコプター型ドローンの平均飛行時間は約20分前後と短く、より長く安定して飛行できるようにすることは、業界にとって大きな課題となっていた。長時間飛行には軽量化、もしくは有線での給電という方法がある。あるいは、バッテリーを使わずガソリンや水素など動力部分を根本から変えるというアイデアもある。だが、大阪大学のチームはあえてバッテリーで飛行するマルチコプターに着目し、バッテリーを空中で交換するというユニークなアイデアを実現する技術を追求している。
バッテリーを交換する方法だが、飛行中のドローンの上に補給用ドローンが並走するように飛行させる(現時点では接近するところまでは手動でコントロールする)と、両機が接近を検知。そのあいだにケーブルを渡せるよう自動で結合し、そのケーブルを介してバッテリーを自動で装填したあと、離脱するという流れになっている。
※開発中のテスト飛行の様子
T&S バッテリーを交換する補給ドローンと被補給ドローン
バッテリー交換の時間は約34秒という短さも大きなポイントになっている。アイデアは戦闘機の空中給油の方法と似ているが、飛行システムをプログラミングできるドローンならではの方法で、ケーブルを使うことで確実に安全で短時間でのバッテリー交換を可能にしている。
また、交換用の専用バッテリーも独自に開発しており、システムについては現在特許も出願中だ。すでにプロトタイプでのバッテリー交換には成功しており、今後は災害救助用途を想定した実証実験を重ねるなど、細かな部分で開発を進めていくとしている。企業との共同開発も視野に入れながら、ドローン全体の機能開発に力を入れており、さらなる進化が業界からも期待されている。
文:野々下裕子