2017/07/07

【世界のドローン68】世界初! 人を乗せて飛び回る“筋斗雲”ドローンが出現

筋斗雲に乗るように、空中を自在に飛び回れる乗り物が、いよいよ現実のものになりそうだ。

CGでも合成でもない。カナダのモントリオール在住の発明家、Catalin Alexandru Duru氏が開発したこのドローンは、人が乗って空を自在に飛び回ることができる大型のクワッドローター(4枚のプロペラ)式のドローンだ。これまでにも、空中からドローンで引っ張って水上・雪上スキーを楽しんだり、ぶらさがって空中を飛ぶタイプはあったが、ドローンの上に乗れるタイプは世界初となる。

人が乗って空を自在に飛び回ることができる大型のクワッドローター 写真提供:Omni Hoverboards

先日、ポルトガルで開催されたサッカー・イベント、ポルトガルカップの決勝戦で公式飛行を披露。小雨が降るスタジアムの上空に、突如ドローンに乗った男性が現れ、70メートルの上空から正確に地上へ降り立ち、レフリーにマッチボールを手渡すというサプライズ演出に、会場は大歓声が湧き上がった。

Duru氏は数年前から人を乗せて飛べるホバーボードの研究を進めており、2015年には最初のプロトタイプを完成。さらに湖の上を5メートルの高さで約280メートルの距離を飛行できるドローンを開発し、ギネスの世界記録を成立させている。その成果を元に起業したOMNI HOVERBOARDS社で、本格的な実用化に向けた開発を進めており、4つのローターを持つクワッドタイプドローンの上に人を乗せるドローンを完成させた。

4つのローターを持つクワッドタイプドローン 写真提供:Omni Hoverboards

最新版の特長としては、バッテリーで空を飛び、地上でも安定した飛行ができることがあげられるが、安全性に関してはまだ完全とはいえず、ドローンに付きものの飛行許可も課題になっている。飛行時間にも課題があるが、特許を出願するのと同時に一般向けのプロトタイプ開発に取り組み始めたと報告されており、我々でも乗れるようになる日が来るのが楽しみである。

4つのローターを持つクワッドタイプドローン 写真提供:Omni Hoverboards

文:野々下裕子