2017/06/21
【世界のドローン67】カタチも性能も異次元すぎる! “あらゆる姿勢”を制御できる次世代ドローン登場
まずは動画を見てほしい。
これは、スイスのチューリッヒ工科大学で、数多くのユニークなロボットやドローン、自動運転自動車などさまざまなロボティクス技術の研究開発を行う「IDSC(Institute for Dynamic Systems and Control)」が開発した、これまでのドローンの常識を変える近未来的ドローン「Omnicopter(オムニコプター)」だ。
決まったルートや目的地を飛行するのを得意とするドローンは増えているが、上下左右、自在に姿勢を変えながら完全な自律飛行やホバリングができ、さらに周囲の状況を判断しながら位置を変えられるといった高機能の飛行システムを搭載したドローンはそれほど多くないことから、革新的なドローンとして注目を集めている。
どんな姿勢でも安定して飛行できる秘密は、8つの回転翼にあり
Omnicopterは本体から放射状に8方向へ伸びるプロペラを使って飛行するタイプのドローンで、独自のアルゴリズムがモーターを精密にコントロールし、上下左右に回転しながらどの姿勢でも安定して飛行できる点が大きな特徴になっている。赤外線モーションキャプチャなどを用いた高性能なセンシング技術と機動性を備え、周囲の状況を判断しながら正確な位置をホバリングで飛び続けられる。
軌道を計算するためにカメラからの映像を元に、1秒あたり50万回の計算が行われており、その機能を使い、本体に取り付けたロボットアームの先に付けた網で、空中に投げたボールを確実にキャッチするといった離れ業もできる。前後左右に動くだけでなく、くるくると回転しながら飛び回る姿は、ドローンというよりは空飛ぶロボットという感じでかなりインパクトがある。
パフォーマンスだけじゃない、Omnicopterの秘めたる実用性
開発を手掛けたRaffaello D’Andrea(ラファエロ・ダンドリー)氏のグループは、手のひらサイズのキューブロボットや、複数の自律したシングルプロペラを使って空を飛ぶロボットなどを開発しているが、D’Andrea氏自身、ロボットやドローンを使った独自のパフォーマンスを創作するクリエイターとして世界に知られている。クアッドコプター型ドローン活用の可能性を2013年という早い時期から提唱しており、TEDのスピーカーとしても複数回登壇するほか、Google I/Oなどでオリジナルのショーを披露している。
Omnicopterは、ドローンをそうした単なるパフォーマンスとして使うのではなく、さまざまな角度からアクロバティックな映像を撮影する機材に使用したり、狭くて入り組んだ場所にある目的地へ荷物を届けたり、その機動性と自律性でドローンの可能性と用途を大きく拡げるものになるとされている。現在も実用化に向けた開発が進んでおり、今後の動向に注目したいところだ。
文:野々下裕子