2017/05/31

ランニングのモチベーションをアゲる! 小型パーソナル・トレーナー『Vi』

Vi(ヴィー)は、ニューヨークのLifeBEAM社が開発したランニング用のウエアラブル・ガジェットだ。従来のランニング用ガジェットは、走行記録や心拍数など身体の数値の記録を詳細に取得できたが、使い方としては走ったあとにデータを確認し、次のランに向けてフィードバックする「アクティビティ・トラッカー」としての機能が一般的だった。

Viはその一歩先を行く、人工知能(AI)を活用した「パーソナル・トレーナー」である。単に記録を残すだけでなく、使用者の行動をAIが学び、カスタマイズしたフィットネス・プログラムを作成してくれる。

写真提供:LifeBeam

あなたのコンディションを完全に把握した適切なアドバイス

多くのランナーは、ランニングのタイムを日々縮めることを意識しながら走っているだろう。しかし、自分で決意してスピードを上げるには自分に打ち勝つ強い心が必要だ。そこで適切な場所、タイミングで「頑張れ!」、「ペースが落ちてきた!」、「あと20フィート、ラストスパート!」と、Viがトレーナーとなって励ましてくれる。孤独なランニングが、インタラクティブな経験に変わっていくのだ。だがそれだけではない。

写真提供:LifeBeam

ViはAIなので、単に予め録音されたフレーズをひとつ覚えに繰り返すのではなく、使えば使うほど、クラウドと連動して使用者のことを学び、日々賢くなるのだ。

音声コマンドで使用者が「Vi、今日の僕の調子はどう?」と質問すれば、イヤホンの中にあるバイオセンシング機能が、ユーザーの心拍や身体の動きなどから、その日のユーザーの健康状態を音声で教えてくれる。

また、前日のトレーニング結果から、「昨日はいつもよりペースが遅かったから、今日は距離を短くしてスピードを上げてみましょう」とか、逆に前日に激しいトレーニングをした場合には「今日はスローペースで体を整えて」と、適切にアドバイス。いつものコースでゴール地点にしている場所に近づいたら「あと少し、頑張って!」と励ましてくれる。

使用者の名前を覚えて語りかけてくれるのはもちろんだが、GPSにより、今いる場所を検出し、たとえばハワイに旅行中なら「今日は、ハワイにいるのね」と、雪や雨の日には「滑りやすいから気をつけて」と、注意もしてくれる。

ランニングのモチベーション維持のために、音楽は欠かせないという人のためには、Spotifyと連携してランニング向けプレイリストを提案。イヤホン自体には、ハーマン・カードンという老舗オーディオ・メーカーの技術が採用されており、音質には自信があるようだ。

AIが自分の専属のコーチに

ViはウェブサイトやAmazon.comで購入できるほか、夏にはBest Buyなど量販店での販売が始まる。価格は250ドル程度と、ちょっとお高いが、自分専用のプログラムで日々コーチしてくれるなら悪くないだろう。

使うほどに使用者を理解し、快適なランニングに導いてくれるViは、人間のパーソナルトレーナーさながらに寄り添ってくれる。Viは従来のアクティビティ・トラッカーとは一線を画するAI時代のトレーニング・ガジェットといえそうだ。

写真提供:LifeBeam

文:幸野百太郎