2017/05/26

スマホで呼べる“空飛ぶタクシー”の時代がついにやってきた?

21世紀には実用化されると言われ続けていた空飛ぶクルマが、いよいよ実現する可能性が高まってきた。今年の春ごろから、空飛ぶ自動車を開発する企業から試験飛行を成功させたという発表が相次いでおり、なかでも、誰でもスマホで呼ぶことができる「空飛ぶタクシー」のアイデアが現実味を帯びてきたのだ。

地上で1時間の距離を15分で移動できる! The Lilium Jet

写真提供:Lilium

ドイツのミュンヘンを拠点とするスタートアップのLilium社は、人を乗せて自律飛行できるVTOL(垂直離陸機)タイプの飛行機を2015年から開発しており、先日、The Lilium Jetの最初の試験飛行を成功させたと発表した。公開された動画では、無人で垂直にふわりと浮かび上がり、一定の高度に達したところでスムーズに前進飛行に切り替わる様子が紹介されている。

機体は時速300kmで300kmの距離を飛行できるように開発されており、最終的には5人乗りでUberのようにスマホで予約できるオンデマンドタクシーとして運用することを目指している。離着陸に使用するスペースはビルの屋上にも設置できるぐらいしか必要とせず、騒音も少ないので都市の中心部での運用が期待できる。実用化されれば、70kmの距離を移動するのに1時間かかった場所へたった15分で到着でき、渋滞を解消するだけでなく、クリーンエネルギーで環境問題の解消にもつながるとしている。

開発スケジュールとしては、2019年に機体を完成させ、2025年から空飛ぶオンデマンドタクシーのビジネスを開始する予定だ。

写真提供:Lilium
写真提供:Lilium

サンスクリット語で"神の乗り物"を示す「Vahana」は5年以内に運用を予定

Artist's impression of the multipropeller CityAirbus vehicle 写真提供:Airbus

空飛ぶオンデマンドタクシーのアイデアはエアバス社からも発表されている。都心部の慢性的な交通問題を解決する3つのアイデアを柱とするプロジェクト「Vahana」 のひとつに、空飛ぶオンデマンドタクシーを都市交通のひとつとして定着させること提案しており、年内にテスト車両を開発し、2020年の運用を目指していると発表している。

オンデマンドタクシーは自動運転自動車での実用化も進められているが、空路のほうがより安全かつ効率的、というのがその理由だ。また、個人で移動手段を持つよりも、必要に応じてスマホで呼び出して利用するシェアライドにすることで、駐車スペースの問題も解決されるだろうとしている。

ドバイの空には今年からタクシーが飛ぶらしい

空飛ぶタクシーのアイデアは、ドバイ市がすでに導入を発表しており、この7月から運用を開始する予定だ。こうした流れを追いかけて、世界各地で導入を進める動きが急速に進んでおり、近い将来都市の交通手段のスタンダードになる可能性が出てきた。日本の空に空飛ぶタクシーが飛ぶ時代も、そう遠くないかもしれない。

文:野々下裕子