2017/04/19

室内照明で蓄電! ワイヤレス充電可能な最新の太陽電池で生活が変わる?

写真提供:Tryst Energy

IoT時代の到来で、照明やスピーカーなどあらゆるデバイスがインターネットに接続できるようになってきたが、そこで課題になるのが電池の充電だ。

IoTはどこでも手軽に設置できるようにするため、電源ケーブルではなく、電池で動いているものが多い。IoTでの消費電力はごくわずかなので、長時間電池の交換は不要というのだが、かえって電池の交換を忘れてしまい、いざという時に電池切れ、なんていう事態は避けたい。

室内の照明でも十分な発電が可能

そんな課題を解決してくれると期待されているのが、オランダのスタートアップTryst Energyが開発しているIoT用小型太陽電池「Light Energy」だ。わずか縦2.12センチ、横3.4センチのサイズで、一見なにかのセンサーモジュールに見えるが、最大で25ミリアンペアの電力をBluetooth LE、または広範囲をカバーできるIoT向けの通信技術であるLoRaWANを使ってIoTデバイスにワイヤレスに給電できる。

充電性能はわずか200ルクスの灯りに4時間あてるだけで24時間分の充電ができるので、陽の当たる場所に置かなくても、室内の照明でも十分蓄電できるという。また、バッテリーの給電状態はアプリを使ってスマホからチェックできるので、万が一、電池切れした場合にも対応できる。

写真提供:Tryst Energy

開発の裏側には環境への配慮が

そもそもLight Energyが開発された理由は、現在、IoTデバイス用に使用されているバッテリーは3〜5年で廃棄する必要があり、今後3年を見ただけでも20億個が廃棄されるという計算結果が発表されたことにある。Light Energyは充電しながら半永久的に使えるので、それらの一部を置き換えるだけでも、環境保全には大きな助けになる。

しかもただのアイデアではなく、ワイヤレス太陽電池そのものはすでに完成していて、今年3月にテキサス州オースティンで開催された国際イベントのSXSWで出展されており、すでに3タイプのプロダクトが開発されている。

写真提供:Tryst Energy

Tryst EnergyではLight Energyを、まずはメーカー等へさまざまなIoT製品に「ワイヤレス給電する」モジュールとして供給し、その次に一般の人々への提供を検討しているとのこと。

「太陽電池で充電不要」にするIoTデバイスのアイデアはあっても、難点は「デバイスそのものを光が当たる場所に設置しなくてはいけない」「充電するための太陽電池パネルとモジュールの大きさよりも機器が小さくできない」ことだった。Light Energyはその点を解決する画期的なアイデアだ。天井埋め込み型の超小型気温・湿度センサーや、数kmの到達距離を持つLPWAの特性を生かした屋外セキュリティセンサーなど、さまざまな応用が考えられそうだ。

写真提供:Tryst Energy

文:野々下裕子