2017/04/05

荷物の不在配達をなくしたい! 宅配ボックスもコンビニ配送も不要の、新しい配送サービスとは?

日本ではECの普及や「お取り寄せ」ブームなどで配送業者の負担増が社会問題となっており、連日ニュースをにぎわしている。不在配達を減らすために、コンビニエンスストアでの受け取りや宅配ボックスなど荷物受け取りにさまざまな工夫が行われているが、なかなか決定打となる対策は見つからない。

問題解決のヒントになりそうなのが、2014年設立のWumDropが提供する「Deliver 2 Me」。住所や所在地の情報ではなく、スマートフォンなど携帯電話のGPS情報を使って、「受取人がいる場所」に荷物を届ける配送サービスだ。

Deliver 2 Meは今のところ、ケープタウン、ヨハネスブルグ、プレトリア、ダーバンという南アフリカの都市部をカバーする法人向けサービスで、ネット通販などで利用できるサービスとなっている。通販サイト側にはDeliver 2 MeのAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)が提供されていて、これを通じて購入者が配送オプションとして選択可能となる。

オフィスでも公園でもヨットハーバーでも! 今いる場所に届けてくれる

受け取りたい場所にピンを立て、指定できる 写真提供:WumDrop

通販で利用する際は、注文時にDeliver 2 Meオプションを選んで購入する。配送準備が整うと、Deliver 2 Meのモバイル向けウェブ・アプリケーションへのリンク付きショートメッセージが届く。ここで、「今、配送」か「あとで配送」を選ぶのだが、「今、配送」の場合は、受け取りたい場所を文字で手入力するか、地図上にピンを立てて示す。今いる場所の所番地が分かっていなくても場所を指定できることになるので、広い公園やヨットハーバーなどでも受け取ることができる。

「後で配送」の場合は、次にSMSメッセージを受け取る日時を指定する。その時刻にSMSが届いてからは、「今、配送」のときの手順を始めることになる。

配送途中であれば受け取り場所のピンを移動させることもできる。配送事業者から見ると、手間はかかっても結局は1度で配送が済むので安上がりだ。受け取りのサインをもらうために、二度も三度も倉庫と届け先を往復することもない。

日本でもいつか配送方法の選択肢のひとつに?

写真提供:WumDrop

このサービスの背景には、南アフリカでは住所や所在地の情報と実際の場所との対応づけが不正確なこともあり、住所を使わない配送サービスが期待されているという事情もある。まだこのサービスも個人から個人への荷物の配送には対応していないが、このサービス、「必ず受け取れる場所まで荷物を運んでくれるサービス」だと考えれば、日本でも役立ちそうだ。

一人暮らしなどで通勤や出張が多い人であれば、書留郵便や宅配便の受け取りに面倒な思いをしたことがあるはず。誰かが送ってくれる荷物や郵便の場合は配送時間帯指定もできない。自分のいる場所まで荷物を運んでくれるサービスが選べれば、歓迎されることは間違いないだろう。

文:幸野百太郎