2017/03/13
【世界のドローン59】ナノファイバー製のカバーが騒音を解消! 静かで頑丈な撮影用ドローン『Dotterel』
ローターで飛ぶドローンにとって、もっとも大きな問題といえるのが騒音だ。ドローンの名前の由来にもなっている甲高い高周波ノイズは、不快感をもたらすだけでなく、飛ばす場所を制限する理由のひとつにもなっている。
世界中のドローン関係者が挑み続けている課題解決技術の開発に、現在もっとも近付いているといわれているのが、ニュージーランドのスタートアップDotterel Technologiesの「Dotterel」だ。コバシチドリの名前が付いたこのドローンは、丸いドーナツのような枠に収められた独自のローターが特徴。
騒音の要因になっている放射ノイズを減らすために、ナノファイバー製の音響減衰材で覆われ、カバーは安全性と耐久性を確保する役割も果たしている。さらに、騒音を地上ではなく空に向けるよう設計されているが、飛行には影響なく、3本のルーバーが付いた4つのローターで安定した飛行ができるようデザインされている。
CES会場ではローター部分のプロトタイプの実物がテスト動画を展示しており、騒音テストにより大きくノイズが軽減されていることを紹介していた。具体的には通常のドローンに比べて、2倍離れたところを飛んでいるぐらいに騒音が軽減されるということだ。
説明だけでは半信半疑だが、昨年開催された世界最大の映像関連の国際見本市であるNAB SHOWでも、もっともイノベーティブにあふれたプロダクトとして表彰されていることから基本技術は完成していると見られ、ドローンで空撮やライブ中継を行う需要が増えている放送業界から大きな期待を集めていることがうかがえる。
Dotterel Technologies創設者の3人は兄弟で、いずれも映像関連の出身者であることから、Dotterel は高性能なカメラ機材を積んだ撮影用ドローンとして発売される予定。今年のNAB Showでの販売を目指しているということだ。
文:野々下裕子