2017/01/30

【世界のドローン54】カツオドリのように空から水中の獲物をキャッチする、空飛ぶロボットのプロジェクトが進行中

ビジネスとしては安定期に入り、次のステップに向けた新しい研究開発が進むドローン市場に向けた、ユニークなプロジェクトがロンドンで進行中だ。

トビウオ、イカ、昆虫もモデルに!?

インペリアル・カレッジ・ロンドンのチームが取り組んでいる「The AquaMAV Project」は、空中から水に飛び込み、再び空へ飛び上がるという、まるで獲物を狙うカツオドリのような動きをする、これまでにないロボットの開発を行うプロジェクトだ。自然界に存在する、空中と水中を自在に行き来できるノウハウの研究をベースに、それぞれの機能をロボティクス技術で進化させる設計ソリューションの完成を目指している。

カツオドリ以外にも、トビウオや飛行するイカ、ダイビングする昆虫などをモデルにしており、これらのようなマルチな機能を持つ生物を研究しながら、Aquatic Micro Air Vehicle=AquaMAV 的なロボットを開発しようというわけだ。

写真提供:Raphael Zufferey

すでに主要な設計アイデアは出来ており、ダイビングおよび潜水を効率化させるための翼の折り畳み方や、水中から離陸する時の推進力となるウォータージェットや水の排出、そして素早く乾燥させるための疎水性素材に関する研究が組み合わされている。

グライダーのように簡単に飛ばせるのに、強靭なボディと高い機動力を実現

写真提供:Ben Porter

特にこれまで大きな課題とされていた、水から空へ飛ぶ時の推進力については、カスタム形状記憶合金ガスの放出と、水を逃がすためにCO2を動力とするウォータージェットを使用することで、秒速11mを超える速度を実現させることができた。また、着水時の衝撃に耐える材質や、飛行の軌道を正確に予測できるモデル構築という課題も合わせてクリアしている。

最新のプロトタイプは、200gの固定翼航空機に格納可能な翼と、秒速10mで14分間飛行するのに十分なバッテリー容量を備え、空と水中と合わせて5kmの距離を飛ばせるという。

The AquaMAV Projectの公式サイトでは、ケブラー素材のボディを使った実験機の動画が公開されているが、見た目はグライダーのようで、翼が自動で開いたり閉じたりするのが面白い。飛ばし方もグライダーのように手で簡単に飛ばすことができるので、操作性はかなり良いように見える。

現在は、通常は空を飛ぶ機能を持ち、水中との行き来が可能な機能の開発が行われているが、将来的にはその逆の、通常は水中で潜水状態にあり、そこから飛行が可能になるマルチモーダルなロボットを設計も目指しているとのこと。この技術は、広範囲な水質モニタリングや、ほかにも捜索救助作業や水中探査を行うロボット=ドローンに応用ができる。さらに、新しい航空機のアイデアに進化させることも期待されているようだ。

文:野々下裕子