2017/01/16
【世界のドローン52】まるで空飛ぶ巨大なクモ? 8つのローターで優雅に飛ぶWクワッドローター型の巨大ドローンが誕生
大きさといい、デザインといい、見た目のインパクトはこれまで以上という大型ドローン「GRIFF 300」が披露され、業界の注目を集めている。
ノルウェーを拠点とするGRIFF Aviation社が発表した新しい大型ドローンは、本体の四方に上下2段のローターがあるWクワッドローター型というユニークなデザインで、75kgの本体と約225kgのペイロード(最大積載量)で、合計300kgの荷重に耐えながら30〜45分間、連続飛行できるパワーを備えている。正式な数字ではないが、ビデオから全長がおよそ2mほどと見られる機体がゆったりと空を飛ぶ姿は、グリフィンというライオンの身体に鷲の羽を持つ伝説の獣というよりは、空飛ぶ巨大グモのように見える。
用途はヘリコプターと同じだが、それよりもはるかに静かで、ヘリコプターで行くには困難な場所へも飛ぶことができるので、森林公園や雪山などのような場所で飛ばすには最適だとしている。
大型なのに操作は簡単、多彩な用途に合わせてカスタマイズも可能
これだけ大型のドローンなのに、輸送や組み立て、操作も簡単にできるのが大きな特長になっている。特に操縦制御システムは、いかに簡単で安全性を高めるかという点に力が注がれており、最適なユーザーインターフェイスを採用することで、これだけ大型にもかかわらず、簡単に操作できるという。要望に合わせてカスタマイズも可能で、地図やビデオの映像と重ねながら操縦することもできる。将来的には、固定もしくは移動できる地上基地局から遠隔でドローンを操作することも視野に入れており、その場合にはヘリコプターのコックピット席のようなコントローラシステムと組み合わせるというアイデアもあるそうだ。
もうひとつの特長は、用途に合わせた柔軟な使い方ができることで、たとえば、 ペイロード部分はオプションにより、荷物の運搬から消防、救助活動までさまざまな用途に対応できるようにしている。このタイプの無人飛行機としては初となる、航空認証局(EASA)と連邦航空局(FAA)の認可もクリアしている。
世界でももっとも厳しいといわれる2つの基準をクリアしていることについて、CEOのリーフ・ヨハン・オランダ氏はプロの航空撮影技術者として20年以上の経験を持っており、「航空業界と潜在するプロの顧客にとって、安全性はもっとも重要であり、最初から国際航空認証の取得を決めていた」と説明する。初飛行のお披露目では、ノルウェーの国営テレビが中継するほどの注目を集めた。
すでに次モデルの製作にも取り組んでおり、GRIFF 125と800という、それぞれ最大荷重量をナンバーに持つ(300も同じく最大荷重量を示す)ドローンを近く完成させる予定だ。オランダCEOはGRIFFシリーズで「幅広い用途に合わせた環境にやさしいソリューションの提供により、ドローンを業界に革命をもたらしたい」と、今後の開発についても自信をみせている。
動画提供:GRIFF Aviation
文:野々下裕子