2017/01/11
最強の盾はAIと人力のタッグ! 最新のエントランスセキュリティシステムがまもなく誕生
空港のセキュリティチェックは厳しくなる一方だが、危険物の持ち込みやセキュリティのうっかりミスは解消できず、検査を待つ長い列が伸びるばかりで、いまだに根本的な問題解決が見つからない状況だ。
そうしたなか、セキュリティチェックシステムを開発しているEvolv Technologyが発表した新しいシステム「Evolv Mosaiq」は、現状のシステムにAIとスマートセンサーと人間の知恵を組み合わせたオープン・アーキテクチャーシステムで、公共交通や施設においてスムーズで正確なセキュリティチェックを実現できるとしている。
「ポケットの中身の金属がなにか」をディープラーニングで判定
通常のセキュリティゲートは金属探知器がベースなので、鍵やコイン、ベルト、靴まで別々に検査機を通すしかなく、さらにボディスキャナーで全身をチェックする必要があった。新しいシステムはボディスキャナーと同様のマルチスペクトラムを採用したスマートセンサーを使用しているが、検出したものが安全かどうかをAIのディープラーニングによって判断する。
たとえば、ポケットに入っている金属がコインや鍵なのか、あるいはライターなのかを判断できるようになり、小物もいちいち取り出すことなく、検査時間を大幅に短縮することができる。また、そうした検査と合わせてスタッフがゲートを通過する際にタブレットなどで顔認証を行い、チェックを多重化することで見落としの確率を低くするといった対応もできる。
1人あたり4秒で空港のセキュリティチェックを完了
Evolv Mosaiqの特徴は、こうした状況に合わせてセキュリティシステムを柔軟に組み合わせられるところにある。たとえば、国際空港などさらに厳重なセキュリティが必要な場合は、既存の監視カメラや生体認証を組み合わせて、不自然な動きをしている人物を検出して声をかけるようにするなどし、監視スタッフが効率良く警備できるようにしている。
こうした監視カメラの映像から、不審な動きをする人物を判断したり、人の移動や流れを検知するアルゴリズムはすでに確立されており、さらにAIを使って過去の対応事例を学習させることで、的確な対応ができるとしている。現在、ワシントンDCとロサンゼルスの鉄道駅、デンバー空港で試験運用が進められているが、処理性能は最高で1時間あたり800人、1人につき4秒程度。ゆっくりゲートを進むだけでセキュリティチェックを終了させることが可能だという。
新幹線のセキュリティにも採用されるかも?
同社では同様のシステムを使った可動式のセキュリティゲート(商品名はEvolv Edge)を実用化済みで、空港よりもセキュリティがゆるいイベントやコンサートなどで運用実績が認められている。Evolv Mosaiqを採用した専用ゲートの開発も進められており、日本の場合は空港だけでなく、課題となっていた新幹線のセキュリティとして採用されるかもしれない。
文:野々下裕子