2016/12/14
ウエアラブル、次の時代はヒアラブル
「ヒアラブル(hearable)」と呼ばれるスマートなワイヤレスイヤホンが、ウエアラブルやスマートグラスに次ぐヒット市場になるという調査データが発表され、注目を集めている。ヒアラブルとは、耳に装着するウエアラブル端末のこと。
モバイルやワイヤレス通信に関連する情報を発信しているCreative Connectivityの調査によると、ヒアラブルに求められる機能として、音楽を聴く以外に、ノイズキャンセリングや医療レベルの補聴器、GPS機能や歩数計や心拍計など、生体情報のモニタリングなど7つの機能が挙げられており、それぞれがネットやアプリとリンクして、より高度な機能を提供できるようになるとしている。
さらに、調査によると、平均的なユーザーは毎日平均6分から20分の音声通話を利用し、音楽ストリーミングに45分間を費やしているという。加えて、動画の視聴やゲーム、SNSでも音声を聞くことから、ヒアラブルのニーズは予想以上に高く、4年後の2020年には、市場は45億ドルまで成長すると見込まれている。
自分の耳に合わせて音を調整できる耳栓型イヤホン「IQbuds」
ワイヤレスイヤホン自体は、数年前から、音質やバッテリーの持ち、フィット感の良い新製品が大手やスタートアップから次々と登場しており、それだけでもマーケット全体を賑わせているが、ヒアラブルは音楽以外の日常生活のなかで使える機能も重視しているのが特徴だ。たとえば、Nuheara社のIQbudsのノイズキャンセリング機能は通常の会話も聴き取りやすく、自分の耳に合わせて聴き取りやすさを調整できるアプリも提供されている。ノイズを減らして音を聴き取りやすくするだけでも相当のストレスが減り、集中力を高める効果もあることから、利用者の多くが手放せなくなるという。ブルーライト対策のPC眼鏡がはやったように、職場でも効率アップのためにヒアラブルが普及する可能性は高い。
声で操作できるスマートイヤホン「Aplay」
ヒアラブル市場が伸びるとされるもうひとつの要因にマイク機能があり、SiriやGoogle Playなどの音声コマンドをスムーズに使いこなせる。クラウドファンディングのMakuakeでキャンペーンを成功させたネインが発売中の、声で操作できるスマートイヤホン「Aplay」は、音楽、通話、メッセージ読み上げをワンタップで切り替えられ、音声認識でメッセージをテキストで返信したりできる。Android5.0以上の端末と連携して、Google Playに公開されているさまざまなアプリが使える。聞き心地の良さはもちろん、ヒアラブルに合わせた音声UIも今後開発していく予定だ。
Aplayのサイトでも紹介されているように、スマートイヤホンとモバイルデバイスとクラウドにつないでAIと会話をする、映画「her/世界でひとつの彼女」のような世界が実現できそうなほど、ヒアラブルの機能は進化している。Appleも、AirPodsにヘルスモニタリング機能を搭載する特許出願しているという話もあり、いずれにしてもヒアラブルがますます成長するのは間違いなさそうだ。
文:野々下裕子