2016/11/15
【世界のドローン43】インテルが本気で挑む『Intel Falcon 8+』 商用ドローン市場は戦国時代に突入?
巨人インテル、商用ドローン市場に本格参入
商用ドローン市場に、インテルがいよいよ本格参入を表明した。
インテルは以前からドローン市場に興味を持っており、100台のドローンを一斉に飛ばす「Drone 100」をスポンサードしたり、ドローン開発者向けのプラットフォームを運営したり、Yuneec社のTyphoon Hをベースにしたコンシューマー向けモデルのドローンも手がけている。高度な障害物回避機能を持つインテル®RealSense™テクノロジーの開発も行っているが、本格的な商用ドローンを発売するのはこれが初めてとなる。
※【世界のドローン38】ギネスも認定! 100台のドローンがオーケストラにあわせて光のアートを描く「Drone 100」
過酷な条件でも高い安定性を誇る「Intel Falcon 8+」
ドイツのハンブルグで開催されたドローン会議INTERGEOにあわせて発表された「Intel Falcon 8+」は、本体の両横に突き出たバーの上に、それぞれ4つのローターが並ぶ、Vフォーム・オクトコプターと呼ばれる独特なスタイルをしている。機体を開発しているのはドイツのドローンメーカーAscTec Trinity technology(以下AscTec社)。過酷な条件でも高い安定性を持つことから、荷物を運んだり、高精細な空中撮影を行うのに適しているため、このデザインを採用したという。ペイロード部分は簡単に変更可能で、必要に応じて機能を拡張できるのも大きな特徴だ。
高度なセンシングを可能にするコントローラー
同じグレードのUAV(Unmanned aerial vehicle)と比べて最高の飛行システムを実現するために、飛行中に高度なセンシングを可能にするオンボードセンサーを開発し、AscTec社のオートパイロット機能と組み合わせることで、プロの高いニーズにも応えられるソリューションの提供を目指している。高精度な飛行能力に合わせて独自に設計されたコントローラーは、Intel Cockpitという名前のとおり、コックピットのようにデザインされており、工場や公共施設など安全性を確保しながら複雑な操作が要求される場所で、パイロットを適切にサポートしてくれるという。
飛行データのフィードバック機能を搭載
さらに、飛行中のデータをミリ単位で収集してクラウドに保存することで、オペレーティングシステムにフィードバックできるようにもしている。インテルのJosh Walden上級副社長は、これらのデータは将来的には前述したドローン開発者向けのプラットフォームで共有し、市場全体のエコシステムを構築したいとコメントしており、満を持しての参入に自信を見せている。
AscTec社のドローンは主に欧州市場をターゲットとしてきたが、「Intel Falcon 8+」は北米市場での発売が決まっている。米連邦航空局(FAA)の厳しい商業運用に関する規制をクリアできる機能を備えているというが、発表の時点ではまだ米連邦通信委員会(FCC)の審査中ということで、発売時期は未定となっている。
いずれにしても、このように新たなビジネスチャンスを狙った商用ドローンの開発競争はますます激化しており、ドローンブームはこれからもしばらくは続きそうだ。
- スペック
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Intel Falcon 8+
サイズ:768×817×160mm
重量:約1.2kg
飛行速度:最高時速57.6km
飛行時間:約16~26分
操作距離:1km
文:野々下裕子