2016/11/01

トップモデルの最新メイクが即試せるARメイクアプリが登場

スッピンでTV会議に出席? ますます進化するARメイク技術

ポケモンGOでも話題のAR技術は、現実とバーチャルな世界の境界をシームレスにつなぐ技術で、ゲームやエンターテインメント以外に、最近ではファッション分野にも取り入れられるようになり、女性ユーザーの関心を集めている。

なかでも話題になっているのが、AR技術を使ってスマホで撮影した顔写真にメイクをシミュレーションできる技術だ。アイデアは数年前からあり、当初はカメラの顔認証機能で目鼻や口を判別し、アイシャドウやリップなどの色を重ねてみる程度だったが、今では化粧品メーカーがオンラインや店頭の販売ツールとして活用するほどポピュラーになっている。無料アプリも多数あり、ヘアサロンやメイクアップサービスを利用するまえに、自分でいろいろシミュレーションしてみたり、SNSのプロフィール写真を加工するのによく使われている。

今年初めにはカメラに写った自分の顔にリアルタイムでメイクをシミュレーションできるアプリが公開され、海外のモデルやセレブのあいだで大きな話題になった。顔の向きや角度を変えてもまるで鏡を見ているかのように自然に表示されるので、これまで以上にメイクが自分に似合っているかが判断できるからだ。

さらに、AR技術を応用して、スッピンでビデオ会議をしても化粧をしているように見えるアプリ「TeleBeauty(テレビューティー)」も登場している。資生堂とマイクロソフトが共同開発しており、本格運用を目指した試験運用が行われているところだ。

雑誌やカタログのメイクをそのままon my face!

ただ、シミュレーションの精度は上がっても、これまではあらかじめ用意されたメイクのデータしか使うことができなかった。テレビューティーも微調整はできるものの、基本パターンは4種類。もっと自由にメイクを楽しみたいという女性に応えて、最新版のアプリではとうとう雑誌の写真からモデルのメイクをキャプチャし、そのままシミュレーションできるというところまで技術が進化している。

顔認識技術で雑誌やカタログの写真からメイクされている部分を自動で取り込み、ビデオカメラに写った自分の顔に自然に重ねてみることができる。最新のメイクはもちろん、古い雑誌や写真からお気に入りを選ぶこともできる。シミュレーションしたあとからファンデーションやアイカラー、リップの色などを自在に調整できるので、自分だけのオリジナルのメイクアップが楽しめるというわけだ。

開発を手がけた「ModiFace」社はカナダを拠点とするスタートアップで、サンフランシスコで開催された最新ITテクノロジーを紹介するイベント(TechCrunch Disrupt) のデモとして披露された技術以外にも、ヘアスタイルやネイル、プチ整形など、数多くの美容シミュレーションアプリを開発している。同社の技術は、日本の化粧品メーカーにもすでに数多く採用されていて、アプリも多数公開されており、公式サイトではお試しもできる。

最新の雑誌からメイクをキャプチャできるバージョンはまだプロトタイプの段階で、サイトのお試しメニューには入っていないが、表情にあわせてリアルタイムで違和感なくシミュレーションできることから、今後はテレビや映画などで普通に使われる技術になるかもしれない。

文:野々下裕子