2016/10/26

【世界のドローン41】ドローンが引っ張る「ドローンサーフィン」? パワフルな牽引力と高機能を備えた『ALTA 8』

写真提供:Freefly Systems

ハリウッドでも、空撮はドローンを使うのが普通になっている今、空撮用ドローンの市場も競争が激化している。

アメリカを拠点にするFreefly社は、大自然や厳しい環境の中で高度な空撮ができる、高機能のドローンとハイレベルなカメラシステムを開発していることで知られ、業界を一歩リードしている。なかでも上位機種の「ALTA 8」はその名の通り、8つのローターを備えたプロ向けの撮影用ドローンで、機体は直径1.3mを越える大きさながら、独自のアルゴリズムによって静かでパワフルなモーター制御を可能にしており、安定感のある撮影ができるという。

写真提供:Freefly Systems
写真提供:Freefly Systems

特筆すべきはその牽引力で、約9kgの荷物を運べるペイロード(搭載可能重量)は、重量のある高精細度撮影用のビデオカメラや、その他の機材を軽々と運ぶほどのパワーを持っている。そのパワーは森の中で狭い木の間を飛び回る機動性にも生かされており、高い位置からの撮影でもピタリと静止するほどの馬力を備えている。

そのため、本体の上下に種類の異なるカメラを設置して、それぞれ別のアングルから同時に撮影することもできる。各カメラを別々のコントローラー(あるいはタブレット)を使って操作できるので、撮影時間の短縮にもつながる。

写真提供:Freefly Systems

これほどの大きさとパワーを持ちながら、ALTA 8はローターを折りたたむと半分のサイズになり、ケースに収納して簡単に持ち運べるようにもなっている。そうした機動性とパワフルな牽引力に目をつけたスタッフは、「ドローン・サーフィン」という、意外な使い方でALTA 8の性能をアピールすることに成功している。

ウェイクボードという、モーターボートに付けたロープで小さなサーフボードの上に立つプレイヤーを引っ張り、水面を滑るスピードやジャンプを楽しむスポーツがあるが、ドローン・サーフィンはボートの代わりにドローンを使って空中からプレイヤーを引っ張って楽しむことができる。通常のウェイクボードはボートで水面に波ができるため乗りこなせるようになるまで時間がかかるが、ドローン・サーフィンは上から引っ張るのでビギナーでもすぐに楽しめそうだ。

スピード感やパワーではさすがにモーターボートほどではないものの、ドローンのルートをあらかじめ設定しておけば、ひとりでもプレイできる。ドイツではライフガードとしてドローンを活用しようとする動きがあり、それにあわせて人命救助もできるドローンの開発が進められていることから、これから新しいウォータースポーツとして、そして新しいドローンの活用先としてドローン・サーフィンが人気になるかもしれない。

スペック

Freefly ALTA 8

サイズ:直径1,325×高さ263mm(飛行時)直径660×高さ263mm(格納時)
重量:約6.2kg
海上での牽引可能重量:約18.1kg
操作距離:約500m
飛行時間:約35分(2バッテリー使用時)
参考価格:17,495ドルから

文:野々下裕子