2016/08/10
あのロールス・ロイス社が実用化を目指す無人輸送船がSFすぎる
ロールス・ロイスが発表した大型船向けの自律型航行システム「The Rolls-Royce led Advanced Autono-mous Waterborne Applications Initiative (AAWA)」プロジェクトを紹介するプロモーション動画がまるでSF映画のようだと話題になっている。
1906年にイギリスで設立されたロールス・ロイス社は、1973年から航空エンジンや船舶などの製造販売を行っているが、「Ship Intelligence」というテーマで輸送船を遠隔からコントロールするシステムの開発に以前から取り組んでおり、無人で大型輸送船を航行させる自律型システムを10年以内に実用化することを目指している。
発表された資料によると、主な目的は配達用ドローンと同じく、輸送船を目的地に向けて自動で運航させるというもので、船には悪天候や障害物などを自動で回避する安全プログラムが搭載されている。また、航行中は遠隔地にある集中コントロールセンターから空港の管制塔のように航行状態を管理することができ、センターの建設も併せて進められている。
運用システムは、フィンランドのTampere工科大学をはじめとする大学組織や海洋研究センター、そして海事ビジネスについて多くのノウハウを持つ企業や専門組織らと協力しながら開発を進めており、すでに一部シミュレーションを使った試験運用も始めているという。完成後は、フィンランドにあるロールス・ロイスの海上交通管制システムであるWest Coast VTSに導入され、そこから世界の海を行き来する船舶を遠隔コントロールすることになる。
ロールス・ロイスは、6月にアムステルダムで開催された自律船舶技術のためのシンポジウムで、AAWAを紹介する最新のプロモーション動画を発表している。そのなかで登場する管制センターの内部はSF映画に登場する宇宙船のコクピットさながらで、ホログラフで浮かび上がった輸送船をバーチャルにコントロールするなど、最先端のテクノロジーがふんだんに取り入れられていることがわかるようになっている。さまざまな気候条件下でも安定して運用できるよう、輸送船も従来の貨物船とは異なる高速艇のような独特のデザインをしており、このような船が大海原を行き交う姿を想像するだけでも楽しくなってくる。
本プロモーション動画を作成した目的は、プロジェクトに参加する船主や関係者を集めるためで、ロールス・ロイスでは「早ければ2020年には商業向けに運用を開始したい」としている。
Rolls-Royce future shore control centre
文:野々下裕子