2016/06/14
3Dプリンターで“触れる絵本” 『Tactile Picture Books』プロジェクト
価格や機能が手ごろになり、ますます身近になってきた3Dプリンターの使い方について、新しいアイデアがいろいろ登場している。そのひとつ、「Tactile Picture Books」は、絵本に登場するキャラクターやシーンを3Dプリンターで出力して、子供たちが触って楽しめる立体的な絵本を作ろうというプロジェクトだ。
アイデアを考えたのはコロラド大学ボルダー校の学生たちで、まずは自分たちで考えたオリジナルのストーリーに合わせて、そこに登場するキャラクターや道具、背景などのパーツを3Dプリンターで簡単に出力できるデータを作成し、公開するところからスタートした。パーツは薄いので、時間もかからず簡単に出力できて、ぺたぺた貼り付けて自由に絵本をデザインしたり、布やビーズなどいろいろなアレンジも楽しめる。
公開されたデータはすべて自在に作り替えることができ、新しいキャラクターやパーツをデータ化するようリクエストもできる。また、視覚に障がいを持つ子供たち向けにストーリーを点字で出力したり、飛び出す絵本のように動きのあるページ出力したりと、いろいろなデータが用意されている。
提供:Tactile Picture Books Project
プロジェクトの目標は、「家庭用3Dプリンターを使って、触れる絵本を自在に作れるようにすること」だが、すでにアメリカの大手おもちゃメーカーのマテル社が子ども向け3Dプリンター「ThingMaker 3D」を300ドルで発売するなど、子どもだけでも安全に使える3Dプリンターの開発が進んでいる。また、気になる素材についても安全に配慮したものが使われるようになっていて、木粉や樹脂など手触りのいい素材や、チョコレートやクッキーのように食べられる素材を出力できるものも登場している。
提供:Tactile Picture Books Project
絵やアート作品を直接触って楽しむことは、子どもたちだけでなく、多くの人たちにとっても芸術を学ぶのに効果的であるといわれている。プロジェクトには有名デザイナーらも参加していて、さらに新しいアイデアをスタッフと一緒に作り出すという動きも始まっているそうだ。
これからの3Dプリンターの進化にあわせて、さらに楽しい絵本づくりのアイデアが生まれるかもしれない。
文:野々下裕子