2016/04/11

【世界のドローン28】飛行機に持ち込めるサイズに「折り畳める」ドローン登場

アフリカのサバンナやアラスカの荒野の上空を飛ばして、ダイナミックな大自然の映像を鳥の視点から撮影する――高画質カメラで自然の風景を撮るドキュメンタリー映像作家やジャーナリストにとって、今や空撮の際の必需品となりつつあるドローン。しかし、ネックなのは、移動中の飛行機に手荷物として携帯可能なサイズに折り畳めるドローンが無かったことだ。

その悩みを解消したのが、ProDrone Technology社の「Byrd (バード)」だ。プロペラのついた4本の手の部分をすべて折り畳むと、iPadに近いサイズになる。厚さは10cmほどのバックパックにも入る大きさで、空港のセキュリティチェックの保安検査機を通しても大丈夫だ。

Byrdドローンを広げたところ

折りたたむとiPadサイズになる

1回の飛行時間は、エントリーモデルのStandardで25分、上位モデルのPremiumで29分となっている。従来のドローンの飛行時間は最長20分前後のものが多かったが、それを10分近く引き延ばした。

コントローラーは2つでセットになっており、1つのマスターコントローラーが、もう1つのコントローラーの指令をオーバーライド(上書き)できるようになっている。つまり、初心者が使っているコントローラーの動きを経験者が制御し、ドローンが落ちないようにコントロールできるのだ。

「例えば、親が子にドローンの使い方を教える場合に最適です。1つのコントローラーを交互に使って、初心者がこわごわ飛ばすのではなく、お互いが1台ずつコントローラーを自分で持って操縦できるため、ドローンが墜落する危険なしに、子供が安心して操作を覚えられます」と、同社の宣伝担当者は言う。

2つのコントローラーは、プロのフォトグラファーが映像を撮りたいときにも重宝する。ひとりが操縦に専念し、もうひとりは、コントローラーにタブレットを装着して映像の写り具合をチェックするのに専念するという分業が可能だ。

面白いのがパニックボタン機能。万が一、空中のドローンを見失ってしまった場合、コントローラーのパニックボタンを押せば、自動的にドローンが手元に帰ってくる仕組みだ。

「センサーが地上までの距離を自動的に計測して飛行するので、万が一、GPSのシグナルが届かないような秘境でパニックボタンを押しても、確実に元の場所にドローンが帰ってきます」(同社宣伝担当)

価格は、備え付けの1,080pカメラとドローンがセットで950ドルから。一般のレクリエーション用途ならこのレベルで十分だが、高画質カメラで画質にこだわりたい人向けには、4Kカメラを搭載した「プレミアム」バージョンもある。価格はすべて込みで約1,400ドル。

さまざまなカメラを搭載できるユニバーサルマウント

ドローン本体には、GoProなどの市販のカメラやHDカメラ、さらに赤外線カメラも装着できるユニバーサルマウントがついており、カメラごとに違うドローンを買い換えなくていいのも利点だ。

29分という、比較的長い飛行時間を利用しての大自然の中での撮影以外にも、結婚式を上空から撮影したり、赤外線カメラで動物の居場所を探すなど、さまざまな用途で活用できそうだ。

スペック
Byrd Standard(カッコ内はプレミアムバージョン)
サイズ:273 × 223 × 107 mm(折り畳み時)、展開時幅622mm
重量:1,890 g (バッテリー含む)
飛行速度:最高秒速22m(時速約80km)
飛行時間:約25分(29分)
搭載カメラ:16M/60fps(1,080p/60fps)ビデオカメラ/16メガピクセルカメラ/CMOS Focus: 3.64 mm(4K/30fpsビデオカメラ/12メガピクセルカメラ)
電源:7,000mAh リチウムバッテリー(14.8V 7000mAh 4S Li-Battery)
操作距離:2km
参考価格:950ドル(1,400ドル)

文:長野美穂