2016/03/07
【世界のドローン26】コンパクト&超軽量の秘密は磁石! 高性能ドローン『Snap』に注目
好調なドローン市場に向けて次々とスタートアップが参入し、新しいアイデアのドローンが登場するなか、アメリカ連邦航空局(以下、FAA)の航空法改正でドローンを飛ばせる場所が制限された影響もあってか、ブレードを畳んだり、パーツを取り外せたり、コンパクトにして持ち運べるタイプのデザインが増えつつある。
Vantage Robotics社が開発した「Snap」は、ローター部分とカメラ部分を磁石を使ってカチッと合体できるドローンで、さらにクワッドローターの部分を2つに折り畳んで運ぶことができる。ローター部分は、自動車のホイールのようなワイヤーとプラスチックでできたカバーで保護され、高い剛性を持ちながらも超軽量で持ち運びやすく、飛行中もブレードが守られるようになっている。
カメラは長い筒状のボディに収まっているが、カメラを水平に保って手ブレや傾きを軽減するジンバル機能をちゃんと備えているため、安定した映像が撮影できる。カメラそのものは4Kで、解像度は1080px。秒間120フレームで高品質のビデオ撮影ができるほか、スマートフォン経由でのライブストリーミング中継やタイムラプス、連続撮影機能なども備えている。
GPS、ソナー、3軸磁力計、デュアル3軸加速度計、二重の3軸ジャイロセンサー、そして気圧計といった多くの各種センサーを備えており、障害物を回避する機能までも持っている。1回につき1時間の充電で約20分の飛行ができ、時速は最高で約54kmのスピードが出せる。
フィールド指向制御モータコントローラーを搭載し、姿勢を維持したまま飛行できるホバリング機能に優れていて、賢い愛犬がぴたりと自分の横に付きそうように、自分の真横を飛ばすことも難なくできる。コントロールもしやすく、地上からふわりと浮かび上がるように飛び立ち、指示した位置にしっかりと戻ってくる。
発売は今年の9月を予定していて、現在プレオーダーを受付中だが、1月にアメリカのラスベガスで開催された国際家具見本市「CES(Consumer Electronics Show)」の会場では完成品を発表しており、そのときには多くの来場者から注目を集めていた。
CESでの出展ブースの様子
開発を手掛けた、Vantage Robotics社の創設者でCEOのTobin Fisher氏は、国際的に有名なIDEOとも働いた経験があるエンジニアでもあり、Snapの完成度の高さは彼のプロダクト製品に対する深いこだわりから生まれたものだといえる。開発競争が激化するドローン市場のなかで、製作に2年間をかけた新しいタイプのドローンがどのような評価を受けるのか、今から楽しみである。
- スペック
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Snap
サイズ:35 × 23 × 5cm
重量:500g(バッテリー含まず)
飛行速度:最高秒速15m(時速約54km)
搭載カメラ:4K ビデオカメラ/82°広角レンズ、静止画、タイプラプス、連続撮影対応
動力:スタンダードホビーモーター
電源:2,500mAh リチウムポリマーバッテリー(2,500 mAh LiPo 3S)
操作距離:1.5km
参考価格:1,295ドル(事前予約は895ドル)
文:野々下裕子