2016/02/19
【世界のドローン25】CESでの展示数も増加! ルール確定で勢いを増すドローン市場
2015年12月14日、アメリカ連邦航空局(以下、FAA)はドローン所有者に対して、2016年2月19日までに登録の義務が必要になると発表したが、それから約1カ月で約30万台の登録があったという。正式なルールができたことで、ドローン市場は後退するどころか、かえって盛り上がりを見せているようだ。
最新のドローンが集まるCES会場にはFAAもブースを出展
1月にアメリカのラスベガスで開催された国際家電見本市「CES(Consumer Electronics Show)を運営しているCTA(Consumer Technology Association)は、ドローン市場は全米だけでも115%拡大し、総売り上げは9億5,300万ドルへと成長、約290万機が市場に出回っているとしている。実際に展示会場でも、ドローン関連企業の出展スペースは昨年より大幅に増えており、出展数もさることながら、各ブースの規模が大きくなっていたのが印象的だった。
ドローン関連ブースが目立つCES会場
今やCESは、ドローン愛好家にとって最先端の情報を収集する場になっているのか、ドローンの出展エリアは期間を通じて大盛況だった。また、会場にはFAAも出展しており、その場でドローンの登録を受け付けていた。
FAAのブースではドローンの登録を受付
飛行制限区域の設定により、「正確な飛行」ができる機種が人気に
全体の傾向としては、登録の義務化と合わせてドローンの飛行が制限される区域も明確になったことから、正確に飛行できるシステムを備えたドローンが人気を集めている。専用のコントローラー付きで、高機能のセンサーで障害物を判断し、自動で飛行するタイプも複数発表され、全体的に飛行時間も長くなっている。
EKENの「Fly Hawk V5」は7インチのタッチパネル式専用コントローラーで、1km離れたところからでもドローンを操作できるのが特徴。軽量で交換しやすい外付けバッテリーにすることで、連続飛行ができる。
丸っこい愛嬌のある形をした「LILY」は、自動撮影と自動追尾機能を持った撮影用のドローン。空中に放り投げると、ポケットに入る小さなコントローラーから発信される電波を追いかけて、設定した距離を維持しながら空中撮影してくれる。カメラを完全に内蔵した防水仕様のため屋外撮影に最適で、CESのイノベーションアワードを受賞している。
折り畳み式や手裏剣型など、ユニークな形状のドローンが登場
ドローンを飛ばせるところまで持ち運ぶ必要があることから、折り畳んだり、パーツをその場で分解、組み立てられるドローンも登場している。
ProDroneの「BYRD」は、ローター部分が収納できるクワッドコプターで、折り畳むとiPad Air 2ほどのサイズになる。重さは1,890gとiPad4台分以上の重さがあるが、スタンダードタイプは25分の連続飛行が可能で、2km離れた場所からもコントロールできる。
ユニークな形のドローンとしてはJIYI Roboticsが、スリムなボディに3つのローターを配置した「Y6-520 ORCA」をはじめ、同タイプのドローンを6種類展示していた。安定した飛行性能で屋内も飛ばすことができ、音声や顔認識機能も備えている高性能ドローンで、本体が持ちやすいので持ち運びもしやすいという。
XIROの「Xplorer」は、真上から見るとまるで手裏剣のような形をしているが、まさしく手裏剣のように頑丈で、衝撃にも強く、スピーディーな動きが特徴だ。コンピューター内蔵でGPSも搭載されていて、秒速8メートルで120メートルの高さまで25分間飛行できる。
今年のCESでは、中国のEHang社が「184」という、人を乗せて飛べるドローンを出展して大きな話題になっていたが、実はデモで見せていた動画はすべてCG合成で、会場で発表していた「2016年には実用化」という話にまったく実現性がないことが後から判明するという珍事もあった。
いずれにしても、ドローン市場が世界でも注目を集め、開発競争が激化していることは間違いない。すでにアイデアや仕様はあらかた出尽くした感があったが、まだまだこれからも、さまざまなジャンルで活用が広がり、用途に合わせた新機種の登場などが期待できそうだ。
文/撮影:野々下裕子