2016/02/12

2016年、ウエアラブルデバイス市場のターゲットは、“美と健康を求める女性”

今年の米国ラスベガスのCES(Consumer Electronics Show)もウエアラブル関連の出展が盛況だったが、もっとも大きな違いは、女性をターゲットにした"ヘルス&ビューティー"系の製品が数多く展示され、専用ブースまで設けられていた点だ。

ウエアラブルのファッション化が進み、ジュエリー感覚で着けられる製品や、化粧品のように持ち歩いて手軽にお肌のお手入れができる製品が人気を集めていた。なかでも注目を集めていた製品を今回は紹介しよう。

毎日持ち歩ける、どこでも肌の水分をチェックできるデバイス「MiLi」

ビューティー系は、場所を選ばず、どこでもお肌の状態をチェックできたり、マッサージができたりする製品がたくさん登場していた。スマートスキンモイスチャライザーというお肌の乾燥を防ぐ「MiLi」は、もともとスマホの外部メモリを開発している企業が開発した美容ウエアラブルだ。

化粧ポーチにスッポリ収まるサイズのこの製品は、お肌の状態をチェックし、スマホでログを記録することで、自分のコンディションに合わせたベストなお手入れができるのがポイントになっている。顔や手など、気になる部分をチェックして、さらにお手入れ用の美容液も合わせて提供している。スキンチェックができる機材は昔から化粧品店やエステティックサロンで使われていて、とても高価な機材というイメージだったが、それが今や持ち歩けるほど手軽になってきたというわけだ。

肌をチェックしながらソーシャル機能でつながれるフェイスマスク「MAPO」

フランスのWired Beauty社が開発中の美容マスク「MAPO」は、医療シリコン製のマスクで、肌の状態チェックからお手入れまでできるようになっている。お手入れといっても目元や肌を温めるだけだが、日々の状態が記録できて、同じ製品を利用しているユーザー同士でいろいろアドバイスし合えるようにすることで、製品の付加価値を高めようとしている。

見た目は完全にブレスレットな活動量計「WISEWEAR」

歩数や心拍数などを測る生活活動計も、腕時計よりブレスレットやネックレスといった、ジュエリー感覚のものが増えている。「WISEWEAR」も、見た目はまったくウエアラブルとはわからない。ブレスレットを保管する化粧箱が、そのまま充電器になっているところもオシャレだ。プライバシーにも配慮して、スマートフォンにデータを保存する際のセキュリティ機能も強化されている。

妊娠中から出産後まで、母体のモニタリングとアドバイスを提供する「bloom」

ベビーモニターやマタニティセンサーも、注目ジャンルのひとつになっている。海外では、日本のように母子手帳を利用する習慣がないため、特に母子の健康を管理するセンサーへの関心が高く、病院や専門家と連携してアドバイスを行うサービスも含めて展開する例が増えている。

妊婦さんのお腹に貼り付けて、胎児や母体をモニタリングできる「bloom」は、受胎期の食事に関する質問に答えたり、出産後のダイエットのアドバイスなど、トータルなサービスを提供するとしている。今後はこうしたサービスと連携できるかどうかが、出産先を決めるポイントのひとつになっていくかもしれない。

赤ちゃんの体調変化を音と光とスマホで知らせるソックス型センサー「Owlet Baby care」

赤ちゃん向けのセンサーでは、ソックス型の「Owlet Baby care」がCESのイノベーションアワードを受賞している。医療向けの高機能なセンシング機能で、発熱や血圧上昇といった、見ただけではわからない赤ちゃんの体調の変化も捉えることができ、付属のデバイスが音と光でお知らせしてくれる。

たとえば、出張で家族にわが子を預けている場合でも、スマートフォンで状況が確認でき、問題があった場合は医療機関に直接通知もしてくれる。海外では、カメラやマイク付きのベビーモニターがよく使われているが、これからはこうした赤ちゃん用のセンサーもあわせて普及しそうだ。

ウエアラブル製品は、性能がどれも似たり寄ったりになりつつあることから、目的やシーンに合わせてより使いやすく、サービスも含めたトータルな製品開発をする動きが始まっている。なかでもユーザーの共感が得られるアイデアをいかに取り入れられるかが、今後の競争に勝つポイントになりそうだ。

文/撮影:野々下裕子