2016/01/25

進む農業のIT化 iPadでコントロールできるWi-Fi対応精密種まき機

iCon 660シリーズ(提供:Seed Hawk社)

深刻な後継者不足、生産効率の低さなど、日本の農業を取り巻く課題は多い。ひとつの解決手段として推進されているのが、農業作業のさらなる機械化と、ITの活用による自動化だ。大規模農業の先進国であるアメリカでは、以前から大型農機が活用されていたが、加えてIT化が急速に進んでいる。

精密播種機(種まき機)メーカーのSeed Hawk社のiConシリーズは、iPadなどをコントローラーにして遠隔無線操縦が可能だ。無線はWi-Fiを使う。

タンクに種を入れ、iPadで畑のマップを入力すれば、自動操縦で種まき肥料の散布が始まる。タンクの種が少なくなれば教えてくれるし、マニュアル操縦も可能。追加の種や肥料の必要量も計算してくれる。iPadは播種(ルビ:はしゅ)機(種まき機)に付属してくるが、通常版なので通常のデバイスとしても普通に使えるそうだ。専用のリモコンではなくiPadを使うことで、アプリケーションのアップデートやバグ対応が簡便になる。

作業の進行状況を確認できる(提供:Seed Hawk社)

畑を細かく区切って作業状況を確認(提供:Seed Hawk社)

かつては、種まきノズルを何列にも並べた幅の広いバーが、畑の区画の形状に沿って一定速度で動くように運転しながら、種まき作業をしていたが、これには人間のドライバーが種まき機の操縦を十分に習熟する必要があった。だが、計算も調整もコンピュータがやってくれれば、人間の仕事は、無事に仕事が進んでいるか、ときどき確認することだけになってくる。

広大な農地を大型の農機が耕し、肥料や種をまいて収穫するアメリカの農業は、今後、自動走行車やドローン、AIなどの分野で行われている技術開発の果実を適用し、さらなる「機械化」が進むものと思われる。農地をセクションに区切って、きめ細かく精密に種まきが可能なiConシリーズは、そうしたロボット農業が遠い将来の絵空事ではないことを感じさせる。

文:信國謙司
サムネイル画像提供:©smereka - Fotolia.com(※画像はイメージです)