2015/10/21

運動中の姿勢を視覚化するSmart Mirror ワークアウトを効果的に

ジムでバイクをこいだり、ランニングマシンで走れば、走行距離や消費カロリーが表示されるが、「姿勢」が重要なトレーニングでは大きな鏡の前で自分の姿を見ながらやったとしても、何となくの感覚に頼ったトレーニングになりがちだ。

もちろん、隣にトレーナーがついていてくれればアドバイスを受けることができるが、安価にというのは難しいだろう。だからといって、ビデオで撮影してあとから自分でチェックし、次回のトレーニングに生かすのではフィードバックまでの時間が長過ぎるし、ジムの中に自撮り用のスマートフォン・ホルダーなどを設置しなければならない。歩数計のようなトラッカーを腕などに装着して、心拍数の変化などと一緒に腕の角度を測るソリューションも登場しているが、両手、両足の角度を測るにはトラッカーをいくつも身に着ける必要がある。トレーニングの邪魔になってしまっては本末転倒だ。

手首や足首にデバイスを装着していなくても姿勢が分かる仕掛けがあれば、手軽にトレーニングを視覚化できる。SmartSpot社(カリフォルニア州サンフランシスコ)が開発したSmart Mirrorは、目の前のフラットパネルのスクリーンに向かってワークアウトやウエイトリフティングを行うと、3Dカメラが姿勢や角度をチェックし、画面に良し悪しを表示してくれる。

画像提供:SmartSpot社

ユーザーは自分のセッションを終えたあと、過去のデータと比較してどの程度パフォーマンスが向上したかを把握できる。日付別に、どの筋肉をいつトレーニングしたかを振り返ることもできるので、計画的なトレーニングが可能になる。

画像提供:SmartSpot社

ゆくゆくは人間のトレーナーの代わりにリアルタイムでのアドバイスも受けられるようになるだろうが、現在は録画をトレーナーがレビューして、フィードバックを返してくれるサービスが提供されている。「これは、隣に人がいなくても可能な初めてのパーソナルトレーニングだ」と、創業者であるMoawia Eldeeb 氏は語っている。トレーナーに立ち会ってもらう必要がなくなれば、パーソナルトレーニングのコストは劇的に低下し、より多くの人がパーソナルトレーニングで身体を鍛えることができるようになるだろう。

すでに、このSmart Mirrorシステムはトレーニングジム10カ所に導入済みで、今後はiOSとAndroidのアプリケーション開発を行う予定だ。

文:信國謙司