2015/10/02
教会も注目する無料Wi-Fiの求心力
スペインのマドリッドにあるサン・アントン教会は、最近になってフリーWi-Fiと、大型のワイドスクリーンTV向けライブ・ストリーミングの提供を始めた。バチカンのライブ映像を視聴することができるほか、映画やレポート番組も配信される。さらに、iPad用アプリも開発していて、神父と信徒が行う告解を、タブレットの画面を介して行うことができるらしい。告解は映像ではなく、テキストでのやり取りになる。
イギリスでは、イングランド国教会(16,000カ所)すべてにWi-Fiを導入する計画が今年1月に発表されている。同じころ、「キャッツ」や「ジーザス・クライスト=スーパースター」などのミュージカルの作曲で知られるアンドリュー・ロイド=ウェバー男爵も、イギリス全土の教会にWi-Fiを導入するように呼び掛け話題となった。
かつて、教会は人々が集まる場所だった。単に祈りや祭礼、告解などの宗教的な目的だけでなく、商人たちが商談をしたり、ビジネス情報を交換したりする場としても使われていたそうだ。椅子があって好都合だったのかもしれない。
Wi-Fiは人を呼ぶ。特に、若い世代を教会に誘う力を持っている。このことが、教会へWi-Fiを整備する動機になっている。冒頭のサン・アントン教会では、ペットを連れて入ることも許されている。サン・アントンは動物好きの聖人として知られているようだ。入口には無料Wi-Fiやペット可などを知らせる看板が掲げられている。
無料Wi-Fiといえば、外国人観光客向けの施策として取り上げられることが多いが、教会のWi-Fiは、単に外国人観光客に少しでも多くのお金を落とさせるための施策、というわけではなさそうだ。
文:信國謙司