2015/08/20

【世界のドローン17】空飛ぶ4Kカメラ『Inspire 1』

写真提供:DJI

ドローンの空撮機能に注目が集まるにつれ、高度な撮影機能を持つドローンが次々と登場している。そんな中、ついに空飛ぶ4Kビデオカメラともいえる本格的な空撮用ドローン「Inspire 1」が登場した。

4K動画と12メガピクセルの静止画が撮影可能

手に抱えられるほどの大きさのクワッドコプター(4ローター仕様)は、カーボンファイバー製で軽量かつ耐久性が高く、安定飛行のためにアーム部分が上下してバランスを取るように空中姿勢を保つことが可能。本体下から伸びる3軸ジンバルに取り付けられた4Kビデオカメラで、30fpsの高精細な映像を撮影することができる。カメラの視野角は94度の広角で、水平報告に330度、上下方向に120度の角度を変えて撮影でき、自動撮影とマニュアルモードに切り替えて、露出やシャッタースピードも自在に調整。強風や、急に傾いた場合でも安定した映像が撮影でき、12メガピクセルの精密な静止画も撮影することができる。カメラは着脱可能で、必要に応じて取り換えられるようにもなっている。

操縦はモバイルデバイスにインストールした専用アプリで行い、約1.7kmまで離れたところでもライブストリーミング撮影ができる。ドローンの位置はGPSを通じてアプリに表示される地図上に示されるが、あらかじめ地図の上に飛行ルートを指定して、そのとおりに自動飛行もさせられる。飛行時間は約18分とそれほど長くはないが、飛ばした位置へ自動で戻るReturn-to-Home(RTH)機能に加え、飛ばした位置からユーザーが移動した先へも自動で戻ってくる便利な機能も使えるので、高価な機体を失う恐れも少ない。

写真提供:DJI

高性能でも操作は簡単

これだけ高性能のドローンになると、離着陸などの操作も難しいと思われるが、Inspire 1はボタン1つで離陸と着陸の両方を自動でこなし、誰でもすぐに操縦できるようになっている。本体に付いてくる専用のコントローラーは、スマホやタブレットをつないでラジコンのようにジョイスティックで操縦できるようにしたり、撮影専用ボタンでシャッターチャンスを逃すことなく撮影ができるようになっている。さらに2台のコントローラーを連携させて、一方で本体を、もう一方でカメラをそれぞれ操作することもできるので、さらに精密な撮影が可能になる。それに加え、位置センサーを利用したビジョンポジショニングシステムを使えば、GPSが使えない室内でも正確に操縦ができるので、いろいろな撮影シーンに応用できそうだ。

販売パッケージには、本体と予備のローター4枚、専用コントローラーとバッテリーチャージ用のAC電源が付いて、価格は2899ドルと、放送用4Kビデオカメラと同等以下の価格になっている。今後もアプリにはさまざまな機能が加えられる予定で、飛行時間についてもバッテリーの改良を進めるとしている。今後は、映画やドラマ、プロモーションビデオなどプロの撮影現場を通じて、Inspire 1で撮影した映像を目にする機会が増えるかもしれない。

スペック
Inspire 1
サイズ:438 × 451 × 301mm
重量:2,935g(バッテリー含む)
飛行速度:最高秒速22m(時速約80km)
飛行時間:約18分
搭載カメラ:4K/30fps(1,080p/60fps)ビデオカメラ/12メガピクセルHDカメラ/94°広角レンズ
動力:ブラシレスモーター
電源:6,000mAh リチウムポリマーバッテリー(6,000 mAh LiPo 2S)
操作距離:2km
参考価格:2,899ドル

文:野々下裕子