2015/08/04

【世界のドローン16】スイス郵便事業が5年後の実用化を目指す配達用ドローン『Matternet One』

スイスの郵便事業公社Swiss Postは、配達用ドローンMatternet Oneを使った配達サービスの導入への取り組みをこの7月にスタートし、5年以内の実用化を目指すと発表した。

20kgの荷物を、20km以上離れた場所に輸送可能

Swiss Postはスイスインターナショナルエアラインズの航空貨物部門であるSwiss WorldCargo社と合同でスイス国内をカバーするドローンを使った商用物流サービスに着手しており、そこで使用するドローンとして、シリコンバレー拠点のスタートアップ企業Matternet社が開発するMatternet Oneを選択した。

Matternet Oneは、通常のクアッドタイプ(4ローター式)のドローンと見た目は同じだが、中央の空間に商品を運ぶ専用ケースを搭載することができ、1〜20kgの荷物を20km以上離れた場所まで運ぶことができる。業務用で、一般向けの販売はないことからスペックなどの詳細は不明だが、デモビデオではiPhoneらしきスマホでドローンをコントロールできるように見える。価格は1台5,000ドルで、レンタルの場合は月1,000ドルからとなっており、公式サイトから申し込みを受け付けている。

Matternet社のAndreas Raptopoulos CEOは、配送用ドローンをいち早く実用化したことに自信を持っているが、誰もがより手軽に配送にMatternet Oneを使えるよう、ニーズに合わせて改良を重ねていくとしている。3Gや4GのSIMカードを搭載したタイプも開発中で、どこからでもオンラインでドローンをコントロールできるようにするアイデアも進行中だ。さらに、配達ルートはクラウド上から障害物や飛行制限区域を迂回する最適な経路をソフトウェアにダウンロードできるようにしたり、長距離配送の場合に自動で充電ステーションを経由できるシステムの構築も進められている。

写真提供:Matternet

世界各地で実用化に向け試験が進む輸送用ドローン

写真提供:Matternet

Swiss Postがドローンを導入する目的は、通常の配達サービスではなく、速達や運搬が難しいエリアへ例外的に荷物を運ぶためとしている。Matternet Oneが選ばれた理由は、ブータンやヒマラヤといった高地をはじめ、パプアニューギニアのような熱帯雨林地域で、すでに運搬用ドローンとしての実績を持っていることがある。ハイチやドミニカ共和国などでは、陸路での搬送が難しいエリアにおいて、悪天候下でも医療品を配送できることを証明している。Swiss Postでは、飛行状態やバッテリーの寿命チェックなどをさまざまな条件下で念入りに行うために、5年のテスト期間を設けているようだ。

特殊な地域での配達用ドローンの運用については、ドイツの大手配送会社DHL社も進めている。またSwiss Postのように、緊急時のみの輸送手段としては世界各国で試験運用が進められており、その結果次第では、降雪や豪雨などの自然災害が増えている日本でも採用が始まるかもしれない。

スペック
Matternet One
サイズ:230 × 150 × 90 mm
積載重量:約1〜20 kg
飛行距離:20km以上

文:野々下裕子