2015/05/25

セスナ機内もカバーする低軌道衛星Wi-Fi

各国の旅客機が、有料または無料のサービスとして取り組んでいる機内Wi-Fiの提供。上空から地上にあるセルラーの鉄塔と通信する方式では、接続が不安定でエリアも限定されるため、衛星と通信する(米gogo社など)方式が主流になりつつある。しかしこの方式は、機体の上部に頑丈な衛星用アンテナを取り付け、機内のアクセスポイントと配線するため、大掛かりな工事が必要なのが課題だ。

そんな中、NASAや米国防総省などにも製品を納入している企業ハネウェルが、もっと手軽なシステムの開発を目指している。衛星インターネットのスタートアップであるOneWeb社(旧称WorldVu)と提携して進めているこのシステム。約20億ドルの資金を集めて、2019年から2020年までには地上750マイル(約1,200km)の低軌道に684基の衛星を打ち上げて世界をカバーしようとしている。静止衛星(約35,786km)よりもずっと低い軌道のため遅延が小さく、小型機に搭載するアンテナも小型で済むのが利点だ。旅客機だけでなく、単発エンジンのセスナなど小型機も高速インターネット接続が可能になるらしい。ただし、実現は早くて4年後というから相当先だ。

OneWebがターゲットにしているのは、小型機だけというわけではない。そもそもは(かつてイリジウムが目指したように)世界を低軌道衛星で覆い、アフリカその他の世界各国に安価にインターネット接続を届けることが目的だ。創業者のGreg Wyler氏は2002年に着想を得て、O3bネットワークスという企業を創設。中軌道(8,000km)で12基の衛星を運用し、サービスを提供している。

ちなみにO3bとは、Other 3 Billionの略で、地球の人口の中でネット接続手段を持たない「残りの30億人」という意味。実績のある人物が率いるスタートアップだけに、OneWebにはクアルコムやバージン・グループも出資するなど期待が集まっている。

文:信國謙司