2015/04/22

【世界のドローン14】バックパックで持ち運べるスポーツ撮影用ドローン『AirDog』

ドローンを使って迫力ある空中撮影をしたいと思っても、移動時の持ち運びにかさ張ってしまうため、どうしても飛ばせる地点や範囲は限られてしまう。その問題を難なく解消するのが、今回紹介する「AirDog」だ。このドローンはアームやローターなどを折り畳んで本体に格納でき、バックパックに入れてどこへでも持ち運べるデザインになっている。組み立ても簡単で、黄色のボディに格納された紫色のアームを四方に延ばし、その先に付いているローターの位置を調整するだけでいい。

ボディの素材は当初3Dプリンターで製作されていたが、現在は衝撃やダメージにも強いプラスチックに変更されている。重さは1.85kgと軽く、最高時速約60kmで、10分から20分までの連続飛行が可能。さらに、アームの可動域をしなやかにすることで風の抵抗も高めており、風速14m秒の風にも耐えられるのだという。また、追跡用のブルートゥースのレンジも300mとかなり長く、忠実な犬のようにどこでも後を付いてくる。

スポーツ映像の撮影愛好者たちによって考案されただけあって、撮影性能は特に力が入っている。撮影用カメラは、振動にも強いオリジナルの防護ケースの中にアクションカメラのGoProを格納。ケースはハードな撮影中も落下しないよう、ジンバルにしっかりと取り付けられており、防塵、防水、耐衝撃機能が備わっているという。

公式サイトのビデオでは、砂漠でジープを追跡撮影する様子が紹介されているが、かなりのスピードで走っても十分に追いつき、ジグザグ走行や急なターンでもしっかり目標を捉えるほど高い旋回能力を持っているのが分かる。また、バッテリーは取り外し可能で、予備を使えば長時間撮影も可能になる。

腕に取り付けられる追尾機能付きコントローラーAirLeash(中央)に加え、スマホアプリでも操縦が可能

離着陸のコントロールは自動で、飛行中の操縦はスマホアプリから行うこともできる。さらに付属品のAirLeashという腕に取り付けられる追跡機能付きコントローラーを使えば、操縦がより簡単にできるので、水の上のような場所で飛ばしても安心して使えるという。定位置から撮影したい場合は、あらかじめ高さや角度をAirLeashから調整し、撮影の開始と終了もワンタッチでコントロールできる。サイズは腕に乗せられるほどの大きさだが、現時点ではまだプロトタイプで、デザインなどはさらに改良される予定だという。

SXSWでは発売用のパッケージも公開されたが、今年10月を予定している発売時に最終的にどのような形となるかは未定である

付属品を含む価格は1,295ドルとやや高めだが、2014年6月にKickstarterでキャンペーンを行ったところまたたく間に話題となり、現在は3度目の販売目標をクリアしそうな勢いだ。2015年のベストCES賞にも選ばれたほか、有望なスタートアップを表彰するイベントSXSW(サウスバイサウスウエスト)のアクセラレーター・コンテストでファイナリストにも選ばれている。

また、もう一つの特長といえるのが、ユーザーコミュニティーが共有する飛行禁止区域を"no-fly Zone"データとしてダウンロードできる点。うっかりドローンを飛ばして、トラブルになったりするのを防いでくれるのだという。AirDogの開発にはこうしたユーザーの声やアイデアも生かされており、ただドローンを楽しむだけでなく、ルールにもきちんと配慮している点がSXSWのコンテストでも評価されている。

こうした反響により、200万ドルの資金調達を成功させており、本格的な生産体制に入ったとしているが、実物が手に入るのは今年10月からということで、実際に購入できるようになるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

スペック
AirDog
サイズ:非公開
総重量:1.85 kg
最高飛行速度:時速40マイル(時速約65km)
飛行時間:10〜20分/14.8 V, 5500mAh, LiPo Battery
その他の機能:GPS、位置情報トラッキング、インテリジェント飛行システム
操縦アプリ:iOS、Android

文:野々下裕子