2018/03/23
花見の季節にスマホでキレイに桜を撮る! プロの写真家が使う5つのテクとは?
この季節にもっともSNS映えするものといえば「桜」ですよね。その美しさをスマホに収めようとシャッターを切っている人の姿があちらこちらで見受けられます。
しかしながら、撮った写真を見てみると……なんか違う。目にした感動や夜桜の美しさが写し撮れていない、どうもしっくりこない、そんなモヤモヤを抱いている人も多いのではないでしょうか? それ、ちょっとした撮影テクニックで解消するかもしれません。
そこで今回は、「iPhoneを使って、桜の写真がグッと良く見える簡単テクニック5つ」をプロのカメラマンに教えてもらいました。なお、すべてiPhone標準のカメラを使用していますが、Androidでも使えるテクニックです。
①人も風景の一部として割り切る
花見会場での撮影で避けられないのが、満開の桜に集まる人々が写り込んでしまうという問題。
こういった場所では、人が写り込むのを避けられる位置を探したり、桜の花に近寄って撮りたくなります。でも、そこにこだわりすぎるのは本末転倒。いい写真はなかなか撮れません。
そんなときは、「人も風景の一部」として割り切り、あえて少し離れた場所から桜の木全体をきれいに写せる場所を探しましょう。人が集まっている場所から桜の木をはさんだ逆サイドが狙い目です。写る人も小さくなり、それほど気にならなくなります(ただしSNSなどで公開する場合は人の写り込みに配慮しましょう)。
その際、太陽を背にして撮影すると、桜にきれいに太陽光が当たって色を正確に写しとることができます。この太陽を背にした状態を「順光」と呼びます。
【プロの作例】
桜から距離をとって今回はiPhone Xで撮影。奥に写る人たちも小さくなり、気にならなくなる。また、桜全体に光が当たっている「順光」の状態なので、幹の黒さ、ゴツゴツした無骨な様、淡い色の花とのコントラストが良い感じに。
【やりがちな例】
1)少し離れた位置から撮影する場合は、手前に人が大きく入らないように注意。
2)人だかりを避けるため花に寄ったものの、花そのものも背景もどちらも生かされていらず、中途半端な写真に。
②スマホのデジタルズームは使わない
遠くにある桜を撮影するときは、桜を大きく写したいという気持ちから、スマホ画面をピンチアウト(拡大)して、デジタルズーム機能を利用したくなります。でも、そこでちょっと我慢。
デジタルズームは、写真の一部を拡大する機能なので、そのぶん画像が粗くなります。また、たとえ桜が小さくなっても、風景に溶け込ませることで、桜の魅力をより引き立てることもできます。池や川沿いなら、桜が水面に映った構図などを狙ってみるのもいいでしょう。
【プロの作例】
離れた場所から、iPhone Xでズームを使わずあえて桜を風景の中の一部として撮影。水面に映った桜、落ち着いた自然の緑、空の3つに分かれた背景の中央でしっかりとした存在感を桜が示し、きれいな構図に。水や緑の落ち着きが、桜の淡いピンクを引き立てているのもポイント。
【やりがちな例】
池のほとりに咲く遠くの桜をiPhone Xのデジタルズームで撮影。桜は大きく写っているものの、中途半端な構図に。よく見ると画像も粗くなる。
③逆光を利用して印象的に
太陽などの光を背にして撮影することを「順光」と言うのに対して、光を正面にして撮影することを「逆光」と言います。太陽光が明るく、その手前にある本来写したい人やものが影になって暗くなってしまうので、一般的には避けた方がよいとされています。
一方、順光で撮るときれいな色味が出るものの、教科書や図鑑のような面白みに欠けるものになりがちです。逆光を上手に利用することで印象的な写真を撮ることもできます。
特に桜の花びらのような薄くて淡い色のものは、光を透かして撮影することでドラマチックな写真になります。スマホで撮影する場合は、被写体をタッチすることで明るさの調整ができるので、逆光で撮影する場合はぜひ利用してみましょう。
【プロの作例】
夕日の逆光状態でiPhone Xで撮影。照らされた花びらの淡い色と花びらが光に透け、空に溶け込んだような印象的な1枚に。(造花を使用)
【やりがちな例】
順光で撮ったパターン。花の色を綺麗に再現することができるので、悪いとはいえないものの少々無難で、ありがちな写真の印象?(造花を使用)
④夜桜は「フラッシュ」ではなく「スマホのライトアップ」で撮る
夜桜の撮影にチャレンジするとき、フラッシュを使っていませんか? フラッシュは真正面から強い光を当てるため、花びらの色が白く飛んだ写真や、平坦な写真になりがち。夜桜は、まず街灯などでライトアップされている桜を探して撮影してみましょう。
ライトアップされた桜がない場合は少々やっかいですが、友人のスマホのライト機能を使って撮影に挑むのも手です。シャッター係が画面を見ながら照明係を誘導し、いろいろな角度から照らしてみればきっとイイ感じの照らし方が見つかるはず。(作例は造花を使用)
【プロの作例】
iPhone Xで右上からライトを照らすことで全体の明るさを調整。暗闇の中に桜だけが浮かび上がる、印象的な写真に。
【やりがちな例】
1)そのまま撮影。なにもせずに撮るとこんな感じで暗い。
2)フラッシュで撮影。フラッシュを使えば暗さは解消されるが、なんだか味も素っ気もない写真に。
⑤神社や古い建物が背景となる場所を探す
写真撮影の基本的な部分ですが、被写体の背景にまで気を遣うようになれば、ワンランク上の写真が撮れるようになります。
背景との相性の良し悪しは一概には言えませんが、たとえば電柱や電線、ビルといった近代的な構造物は、桜とはあまり相性がよくなさそうです。逆に鳥居や神社などは桜との相性がピッタリで絵になりやすいもの。
なるべく桜の木の後ろがゴチャゴチャしていない場所を選び、シャッターを押す前に背景を確認してみましょう。
【プロの作例】
鳥居、銅板葺きの屋根、ちょうちんといった「和」の雰囲気が桜を引き立たせている。
【やりがちな例】
背景の建物の主張が強く、桜の木の印象が薄くなり、どちらが主役なのかがはっきりしない写真に。スマホの画面を見ながら構図の整理ができたらワンランクアップです!
いかがでしたでしょうか。プロの意見を参考にすれば、これまでとは違ういい感じの桜が撮れることがご理解いただけたと思います。
今回、スマホで作例の撮影をしてくれたカメラマンの遠藤さんは、「最近のスマホのカメラは、簡単に綺麗に撮影できます。補正機能もたくさんあるので、とりあえずシャッターを押して、撮影後に補正すればいい。ただし、せっかく花見に行ったのなら、肝心の桜を自分の目でよく見ておくべきです。桜の美しさに心を打たれつつ、シャッターを切ったその気持ちが大切で、自分の気にいった写真がなにより“いい写真”のはず」とのこと。
確かに、その日その一瞬しかない桜との出会いを、撮影だけに集中していたらもったいないですからね。こだわりは、今回の5つのコツに抑えて、あとは我が目で桜を思い切り楽しんでください。
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現在、TIME & SPACEのコミュニティでは、2018年3月〜2018年4月まで「桜の写真」を募集しています。皆さんからのベストショットお待ちしております!
文:のび@び助
写真・監修/遠藤貴也