2018/01/12
【実録】無人島でサバイバルにチャレンジしたら悟りを開いた【真似すんな】
9月某日 TIME & SPACE企画会議。
KDDI担当者「「えー、そんなわけで今回の記事の企画、どうしましょうかね?」」
ヨッピー「「僕、以前に読者の人から『おじいさんから無人島を相続したけど、一切使ってないしもったいないから何かの企画で使ってくれてもいいよ』みたいなメールをいただいたので、無人島で何かしたいなって思ってるんですよ」」
KDDI担当者「「おお。いいですね。以前から『無人島にひとつだけ持っていくなら何がいいか』みたいな話ってあるじゃないですか。僕、あれの正解って絶対にスマホだと思うんですよ」」
KDDI担当者「「スマホなら、いろんな人から知恵を借りてサバイバルできるじゃないですか。ネットで調べることもできるし! だから無人島に持っていくなら絶対スマホです!」」
「コイツはアホなのかな?」と思っている。
ヨッピー「「いや、そりゃ電波入るなら当然スマホでしょうよ! どっかに電話かけて『助けてくれー!』って言えばいいんだから!」」
KDDI担当者「「いや、SOSを発信するのを禁止したとしても絶対スマホですって! インターネットと、SNSの力を駆使して頑張るんですよ! だからヨッピーさん、スマホがあれば無人島でサバイバルができるかどうかを実際に検証してみてください!」」
ヨッピー「「マジかよ……」」
【佐賀県に降臨】
さあ、そんなわけで飛行機と高速バスを乗り継ぎ、東京から6時間かけて佐賀県の伊万里駅に到着しました。伊万里市は「伊万里焼」とか「伊万里牛」でお馴染みの街なので、「クゥ~~ッ! 伊万里牛を鉄板でジューッと焼いて、伊万里焼の器に載せて塩でパクッといきたいねぇ!」みたいなテンションで挑みたいところですが、ご覧のとおり完全に無表情です。なぜなら、今から僕が行くのは空調の効いた鉄板焼きのお店じゃなくて、岩だらけの無人島だから。何の罰ゲームだよ。
ヨッピー「「あと荷物が重すぎて背骨が折れるかと思いました」」
「最後の晩餐に」ということで駅のそばにあった定食屋さんでカツ丼とざるそばをいただきます。
無人島に着いたらロクなものを食べられないだろうから、
なるべくここでカロリー&水分を摂取しておきたい。
ふーむ、なるほど。これは行きたくねぇな。
ただでさえ大食い&食欲が旺盛なのに、まともな食事にありつけるかどうかも不明な無人島に2泊3日も滞在しなければいけないって、本当に僕、前世で何やったんだろう。
地球を3回くらい滅ぼしてるのかもしれない。
食べ終わったらタクシーで予約済の釣り船屋さんに移動し、船をチャーターして無人島に向かいます。
いやー、良い天気ですね。絶好の海日和ですね。まあこんなこと言ってられるのもここまでなんですけど。
そしていよいよ……
目的の島が見えてきたーーッ!
ヨッピー「「思ったよか小さい!」」
船長「「ちなみにさ、君はあの島に何しに行くの?」」
ヨッピー「「ええと、無人島でサバイバルがやりたいなと思って……」」
船長「「おお、サバイバルね」」
ヨッピー「「そうなんです。魚を捕まえたり湧き水を探したり」」
船長「「あそこ、魚はめちゃくちゃ釣れるけど素手で捕まえるのはまず無理だな。それに電話でも言ったけどあの島、本当に何にもないよ」」
ヨッピー「「何にもない」」
船長「「何にもないし、スズメバチが出る」」
ヨッピー「「スズメバチかぁ」」
そして……!
無人島に上陸じゃーーーーー!
「ハチには気を付けてね」という言葉を残して去って行く船長。
心細さがハンパない。
ヨッピー「「来るまではやる気満々だったのに、『ひょっとして、ものすごくつらいことをやろうとしてるのでは?』という気持ちになってきた」」
高野「「やる前に気付けよ」」
▲今回、カメラマンとして同行してくれた高野りょーすけ君。現役東大生。
そんなわけで無事に上陸できたことだし、改めてここでルールを説明しておきたい。
- 【ルール】
- ・道具、食糧は一応持ち込むが、2泊3日のあいだはなるべく使わずに過ごす
- ・スマホから得られる情報を頼りにサバイバル生活に挑む
- ・厄介な虫に刺されるのは本当に危険なので、虫よけスプレー、殺虫剤の類は自由に使ってよし
- ・無人島に落ちてるものや生えている木などは自由にしてもオッケー!(島の持ち主から許可済)
ヨッピー「「どうしよう。既に不安しかないんですが……」」
高野「「まあでも、2泊3日くらいなら最悪飲まず食わずでも死にはしませんから大丈夫じゃないですか?」」
ヨッピー「「まあそうだけど軽々しく言うなよ……って、うわーーーーー!! ハチやーーー!」」
高野「「うわーーーーーー!」」
ヨッピー「「殺虫剤! 殺虫剤!」」
<慌ててたので写真を撮ってる暇がまったくありませんでした>
ヨッピー「「おお……! なんとか退治できた……!」」
ハチ用の殺虫剤で無事に駆除できたハチ。色がまがまがしい。
高野「「これ、スズメバチですよね」」
ヨッピー「「すごい。僕いま、笑っちゃうくらいにテンションが下がってる」」
高野「「僕も、ついて行くだけだしって気軽に考えてましたけどだいぶ不安になってきました」」
ヨッピー「「先が思いやられるな……」」
伊万里港にある無人島に上陸しました。マジでなにもない。 pic.twitter.com/SudNeTRVSj
— ヨッピー (@yoppymodel) 2017年9月25日
ちなみに無人島なので電波基地局なんてもちろんないんだけど、伊万里港から届くauの電波はバリバリ入る!
こうやってTwitterなんかで実況しつつ、いろんな人の知恵を借りて困難を乗り越えていきたい。
【無人島を探検しよう】
とりあえずこういうチャレンジのセオリーとして、無人島をぐるっと探索してみる。
何かしら使えそうなものが落ちてれば良いのだけど……。
ヨッピー「「もう1周したのかよ」」
1周ぐるっとまわっても5分くらいの小さい島であります。
これはかなり望みが薄い。
ヨッピー「「なぜかカラーコーンが落ちてた」」
ヨッピー「「あとはきったねぇバケツもあった。まあ、カラーコーンもバケツも雨水を貯める時なんかには使えるかもしれんね」」
高野「「この状況下で雨が降ったらわりとマジで悲惨ですけどね……」」
ヨッピー「「そして、探索してない所といえばこの藪の中なんだけど、」」
山側にうっそうと茂る藪。
ヨッピー「「さっきスズメバチが出てきたからなぁ」」
高野「「スズメバチに刺されるとマジで中止にせざるを得なくなるのでここはちょっと後回しにしましょう」」
ヨッピー「「うむ。ちょっと様子を見てみよう。さっきみたいにハチがばしばし襲って来るようなら巣があるかもしれないし……」」
とりあえず藪に入るのはいったん保留し、この岸辺を拠点にしてサバイバル生活にチャレンジしてみようと思います! どうしよう! すでに不安しかない!
余談ですが、僕が座ってるのはディスカウントストア「TRIAL(トライアル)」の買い物カゴです。なんでこんなものが無人島に落ちてるんだよ。
【無人島で真水はゲットできるのか?】
いよいよサバイバル開始、ということでTwitterなんかを駆使してアイデアを集めてみる。いやーインターネット最高! 電波だいじ!
ヨッピー「「つーかこれ、電波入るんだったらさっきの釣り船屋さんに電話して『迎えに来てちょー!』って言えば完全クリアじゃねえか」」
高野「「最悪、写真だけ撮ってとっとと陸に帰ってから記事を捏造しましょう。温泉付きのホテルでゆっくり過ごせば良いじゃないですか」」
ヨッピー「「君は悪いやつだね」」
【告知】来週月曜から、何故か無人島に流されて2泊3日でサバイバルっていう罰ゲームみたいな企画をやらされるので、役立つ記事などご存知の方はぜひ教えてください。「無人島でサバイバル」っていったらココナッツで水分補給、みたいなイメージあるけど写真見る限り絶対ヤシなんて生えてない。 pic.twitter.com/UsoZtwQTaE
— ヨッピー (@yoppymodel) 2017年9月22日
事前にSNSで募集し、「サバイバルに役立つページ」なんかをたくさん集めておいたので、そういったサバイバル術が実際に使えるか試してみたい。
ヨッピー「「まずは何よりも水分確保やで。湧き水だのココナッツだのがあれば問題ないんだろうけど、このサイズの島で湧き水なんてまず無理だろうし、ココナッツなんかも当然生えてないので、海水を蒸留するくらいしか手段がない」」
高野「「なるほど」」
ヨッピー「「まずひとつ考えられるのが、このスマホで調べたやつ。穴を掘って太陽光で海水を蒸発させて真水が作れるそうです。なんかビニールシートみたいなの落ちてたし、きたねぇバケツもあるからなんとかなるかもしれないけど、でも単純に今の気候だとそこまで暑くないし日差しも弱いからたぶん効率めっちゃ悪いんよね。この方法は日差しの強い南国の夏くらいしか通用しないんちゃうかな」」
高野「「なるほど」」
ヨッピー「「んでふたつめはこのパターン。これだといけそうな気がするけど、火を起こす必要があるんよね。とりあえず魚釣って食べるにしても火は必要だし、まずは火おこしにチャレンジしてみようと思います!」」
【無人島で火は起こせるのか?】
そんなわけでまずは海岸に落ちてる、なるべく乾いた木を集める僕。
そして肝心の火おこしについては、漂着していた木箱を分解した板を使い、よくみる「きりもみ式」でチャレンジしてみる。
▲きりもみ式の仕組みはこう!
ヨッピー「「うん、無理やね」」
高野「「諦めるの早くないですか?」」
ヨッピー「「そもそも、真っ直ぐ、かつある程度の長さがあって、乾燥してる板と棒っていうのがどこにもない。この板も完全に湿っとるし、8時間やっても起こせないと思う」」
高野「「YouTubeとかだと簡単に火を起こしてる動画ありますけどね」」
ヨッピー「「や、たぶんこれ、乾いてて固い木を、ナイフとかでちゃんとまっすぐに加工してやらないと無理やで。バランス悪くて全然回らないもん。板にも切れ込み入れる必要あるし……」」
高野「「じゃあどうします? とりあえずひとつ目の道具として刃物を使いますか?」」
ヨッピー「「刃物使って加工はじめると下手したら日が暮れるからな……。それに板も湿ってるし……。どうせ道具を使うならライター使ったほうが早いやろ常識的に考えて……」」
そんなわけでひとつめの文明の利器「ライター」を使います!
枯れ木を集めてなんとか着火を試みる僕。
ヨッピー「「やっべ! 難しい! なにこれ! ライターあっても難しいわ! 火をつけてもすぐ消える!」」
高野「「なるほど……。新聞紙も着火剤も無いですもんね……」」
ヨッピー「「ないないづくしじゃねぇか! なんなんだよ! 事前に用意しとけや!」」
高野「「いや、無人島でモノがないってキレられても……」」
「焚き付けに使えるものはないか」とあたりを物色したところ、この大きいサイズの枯れ葉がめちゃんこよく燃えることを発見!
先ほどの枯れ葉を焚き付けにして、息を吹きかけつつ徐々に火を大きくしていく。
ヨッピー「「っしゃー! 焚き火ができたどーーーー!」」
高野「「でも蒸留はどうします? 鍋が必要ですよね?」」
ヨッピー「「そうね……。きたねぇバケツはプラスチック製だからお湯を沸かすには使えないし仕方ない……」」
ここで文明の利器、鍋とマグカップを投入!
あとは拾ったペットボトルの中身を洗って海水を注ぎます!
ヨッピー「「無人島についたばっかりなのに、既にライターと鍋、マグカップを使ってしまった」」
あとはフタを裏返しにして蒸留された水分がマグカップ内に落ちるように設置し、
蒸気を冷やすために濡らしたTシャツをフタの上に設置!
ヨッピー「「一応、これでなんとか真水は作れるはずなんだけど……」」
高野「「そんなに上手くいくもんですかね……」」
あとは枯れ木を追加しながら気長に待ちます。
ヨッピー「「これ、ちゃんとしたマキじゃないからすぐに燃え尽きちゃって、常に燃料を補給する必要があるし大変だわ……。全然ほかのことができない。日が暮れる前に食材集めしたいのに……。いやー、実際にやってみるといろいろ難しいことがたくさんあるわー」」
高野「「ふーん」」
高野「「ま、せいぜい頑張ってください。このテント一人用なんで」」
ヨッピー「「ぶん殴ってやりたい」」
そして焚き火の番をすること2時間、
そろそろ日が暮れてきました。
ヨッピー「「日が暮れるのはえーよ! 完全に日が暮れる前に食材探さなきゃ……!」」
いったん焚き火を放置して、慌てて岸辺に行って貝なんかを探してみる。
なかなか見つからない……!
……と思いきや小さいカニを2匹ゲット!
蒸留に使ってた鍋に放り込みます!
そしてさらに1時間後……、
やったー! 茹でカニと真水ができてるーー!
とはいえ、量はほんの少し!
120ccくらい? なんか小さい砂とかも入ってるけど細かいことは気にしない。
ヨッピー「「カニくさい……」」
高野「「まあカニと一緒に煮込んでましたからね」」
ヨッピー「「おっ」」
ヨッピー「「これ、ちゃんと飲める! 何かしらで海水が混ざったのか、若干のしょっぱさとカニ臭さはあるけど全然飲める!」」
高野「「おお。すごい!」」
ヨッピー「「うん。カニも美味い。海水が煮詰まったせいかちょうど良い塩っ気でスナック菓子みたい。ただ全然量が足らんわ。めちゃめちゃお腹すいた……」」
高野「「へーー」」
高野「「あんな小さいカニでも美味いんすね」」
ヨッピー「「殺すぞ」」
20時〜 無人島からのツイキャスやります。ゲストというか同行者は高野りょーすけくん(@tonbonline)
— ヨッピー (@yoppymodel) 2017年9月25日
ちなみに今見えてる風景はこんなの pic.twitter.com/pR2hp08zWz
無人島の闇の中で2人っきりっていうのは異常に寂しい、というか完全に不安しかないので、フォロワーの人達相手にスマホからライブ配信したりして寂しさを紛らわせる。インターネット最高! 人とつながれるの最高!
ちなみに生放送中は「頑張って!」「応援してる!」みたいなことを言ってもらえるのかな、と思ってたのに、励ますどころか「なんでそんなことやってるの?」「その行動になんの意味があるの?」みたいなことをたくさん言われたので泣きそうになりました。なんなんだよ! なんの意味があるのかはこっちが聞きたいくらいだわ!
結局、完全に日も暮れたし、あたり一面真っ暗で何もできないので、夜間の活動は諦めて早々に寝ることにする。
ヨッピー「「僕ね、気づいたんだけど、海水を蒸留っていっても3時間かかって120ccくらいの真水しか得られなかったうえに、焚き火するために木を集めたり火の番したりっていう作業で確実に120cc以上の汗をかいてると思うんよね。普通に考えてそのうち枯れ果てると思うわ。人間生きるのに1日2Lの水が必要って言われてるのにこれ、無理ゲーでは……?」」
高野「「まあまあ。明日また頑張りましょう。じゃあ、僕テントで寝るんで」」
ヨッピー「「薄情なやつだな……。しかし、フナムシがちょくちょく体にのぼってくるのが気になるんだけど、ほんとにこんな感じで寝られんのかな」」
~~ そしてその夜 ~~
ヨッピー「「うわーーー! 高野くん高野くん!」」
高野「「どうしました?」」
ヨッピー「「潮が満ちてきた!」」
拠点にしてた浜にまで波が来てる!これひょっとして全部浸かっちゃうのでは…!? pic.twitter.com/KwqIKbkVFa
— ヨッピー (@yoppymodel) 2017年9月25日
高野「「うわっ! ほんとだ!」」
ヨッピー「「やべぇ! この砂辺、満潮になると水没するやんけ!」」
高野「「ええええ!?」」
ヨッピー「「少しでも高いところに拠点作らないと!」」
高野「「これ以上高い所って、もう藪の中ですよ!? 流石にそこでノーガードで寝るのは虫とかが危険かと……!」」
ヨッピー「「ううう……、仕方ない。テントも使おう……!」」
夜中は光もないしパニックになっていたので写真を撮り忘れていたのですが、翌朝撮った写真ではこんな感じの藪の中に持参したテントを張っていました。漂着物が固まってるところらへんまで潮が満ちてきたので人間って、大自然の前ではマジで無力だなって思った。
ちなみに使用したテントは「必要最小限の装備」ということで、事前に購入した税込1,880円のもの。大丈夫かこれ。
【そして2日目】
夜明け&潮が引くのと共に、やはり喉が渇くので昨日と同じ方法で真水を作る僕。
2時間ひたすら焚き火の番をしてやっとこれくらい。やっぱり効率がよいとはいえない。
ヨッピー「「うーん、海水を蒸留する方法だと限界があるな。だいたい、文明が興った場所って基本的に川沿いやんか。チグリス川とかインダス川とか黄河とかさぁ。真水がない所に人間は住めないんだと思う」」
高野「「そんな基本的なことに今頃気付かないでくださいよ」」
ヨッピー「「だからさ、ずーっと焚き火の番をしてればなんとか水分は足りるかもしれないけど、ほかのことは何にもできないよね。ちゃんとしたマキがあればもうちょい効率いいんだろうけど、マキだって木を切って乾燥させるまで時間がかかるし、雨除けの小屋も必要だろうし。後は山の中に入って、何かしらの果実とか水たまりを探すくらいしか……」」
高野「「なるほど」」
木の実を見つけたんだけどこれって食べれる!?なんの実なんやろ… pic.twitter.com/doHcknakR2
— ヨッピー (@yoppymodel) 2017年9月26日
そんなわけでインターネット駆使して、フォロワーの皆さんに「食べられるか、食べられないか」みたいなことを聞きつつ、食べられる実がないか探してみたけど、みんな言うことがバラバラなのであんまり参考にならない。
ヨッピー「「うーむ、こうなったらもう、行くしかないか……!」」
そんなわけでありったけの防寒着なんかを着込んで虫よけを塗りまくり、
いよいよ藪の中に入ってみよう。
白いパーカーをいちばん外側にするのは、黒い服だとハチに狙われやすいからであります。
高野「「ハチは大丈夫ですかね?」」
ヨッピー「「まあ、あの1匹以外には出くわしてないから恐らく巣があるわけではないだろうし、僕今度スズメバチの巣を取る仕事をやるのにあたってハチ取りの名人にいろいろ話を聞いたんだけど、名人が言うにはスズメバチって手で払ったり巣の間近に行ったり、こっちから危害を加えない限りは襲ってこないらしいから大丈夫じゃないかと。最悪、ハチ用のごつい殺虫剤もあるし」」
高野「「無人島でサバイバルやったりスズメバチの巣を取ったりって、ライターの仕事って大変なんですね」」
ヨッピー「「ライターがブラックな職業だと思われるから、そういうのはやめてくれる?」」
ヨッピー「「では行ってきます!」」
……10分後……
ヨッピー「「何にもないわ。木の実もキノコのたぐいもないし湧き水なんかあるわけない。山の中ならともかく、海に囲まれてるからなーー! 困った~~!」」
高野「「なるほど……」」
高野「「あっ! 水飲んだ!」」
ヨッピー「「このままだとひたすら水を沸かしてるのを待つだけの絵しか撮れないし。あと、水を飲むの我慢しすぎると怒られるから……。※その節は大変申し訳ございませんでした」」
高野「「何に謝ってるんだろう」」
※……ヨッピーは過去「30時間飲まず食わずで水を飲んだら美味い」という記事を書いて怒られまくったことがある
- 【これまでに使った道具】
- ・ライター
- ・鍋
- ・マグカップ
- ・テント
- ・水2L
【魚を釣ってみよう】
このへんになってくると空腹もすごいし、「そもそも小さいカニではお腹が膨れない」ということに気づいたので、さらに新しい道具「釣りセット」を投入します!
高野「「もう道具を使うのに躊躇しなくなってますね」」
ヨッピー「「うん。だって不可能だもん。ずっとカニ獲ってるのも絵が変わらなくて退屈だし」」
中身は竿にリール、針とルアーのセットですが、同じく2,500円くらいと激安で買ったやつなので不安が残ります。
ヨッピー「「こんなので釣れるのかな本当に……」」
一瞬で釣れました。
ヨッピー「「やったー! めちゃめちゃうれしい! これで魚が食べられるーーー! お腹すいた!!!」」
…と思ったら10秒くらいで釣れた!!!すげえ!!
— ヨッピー (@yoppymodel) 2017年9月25日
これなんの魚!? pic.twitter.com/V8FsXwSheR
釣れたのはいいけど、食べられない魚だったら困るので、ここぞというタイミングでスマホを活用して何の魚なのかをみんなに聞いてみる。
高野「「ヨッピーさん! 『食べられるけど、ヒレには毒があるから注意してね』って言ってます!」」
ヨッピー「「ごめん、もう遅いわ。ちょうど今、針を外そうとして刺されたところです」」
高野「「oh……。Wikipediaには数時間から数週間痛むって書いてますね。患部にお湯をかけると痛みが和らぐそうで……」」
ヨッピー「「スズメバチに満潮に毒魚って、無人島にはトラップが多すぎやろホンマに……」」
釣れたのは「アイゴ」という魚で、ヒレの毒を除けば普通に食べられる美味しい魚らしい。
患部にかけるお湯を沸かすついでに、焚き火でアイゴを焼くことにする。
でき上がり!
ヨッピー「「うん。皮がちょっと臭いけど、身は美味い! 刺された所も、小さい魚だったからかちょっとジンジンするくらいでよかった……」」
高野「「へーー」」
高野「「ご飯食べられてよかったっすね」」
ヨッピー「「僕、なんか悪いことしましたっけ?」」
殺意が沸くわ… https://t.co/12sufVal23
— ヨッピー (@yoppymodel) 2017年9月26日
ちなみにTwitterの実況に対しても、ばんばん美味そうな食べ物の写真が送られてきたりするので、「つながってうれしい」というのは間違いないとしても、「つながって、腹が立つ」という事象も同時に成立するんだなぁと思いました。
その後「もっとデカい魚を釣るぞ!」と意気込むも、先ほどのポイントは潮が満ちて来て渡れなくなってしまったため、ほかのポイントで竿を振るも全然釣れない。
全然釣れないぞーーーー!
仕方ないからびしょびしょになりながらも、満ち潮を渡って先ほどのポイントで再度挑戦!
そしたらまた速攻で釣れました!
ヨッピー「「また毒魚やんけ! まあいいけど! これはでかいから食べごたえがあるわー!」」
さらに粘って小さい毒魚ももう一匹釣り上げ、
焚き火で焼いて……、
そのへんの枝を割り箸がわりにしていただきます!
美味い!
ヨッピー「「美味いけど、キスとか鯛も食べたい……。釣り船屋の船長が言うにはこの辺ってばっしばし釣れるらしいんだけどね。ただこの釣り竿と仕掛けでいろんな魚を釣るのは厳しいだろうな……」」
ご飯を食べてひと息ついたところで、悟り始める僕。
ヨッピー「「あのね、『無人島でサバイバルする』って、誰しもが一度は妄想したことがあると思うんだけど、実際やってみていろいろと悟りましたね」」
高野「「へーー」」
ヨッピー「「まずね、テレビの企画で『無人島から脱出!』とかやってたりするけど、あれは『正解』が用意されてる島で行われてるんちゃうかなって」」
高野「「???」」
ヨッピー「「つまり、『ココナツの実で水分を摂ろう!』とか『この木のツルを切ると水分が出る!』とか『湧き水があるぞ!』とか、ああいう何かしらの正解があるような島を事前にちゃんと調べたうえでやってるんやと思うわ」」
高野「「確かにそうかもしれませんね。この島みたいにそもそも水がどこにもない、みたいな状態だと厳しいっていう」」
ヨッピー「「それそれ。何事も準備って大事だなって思った」」
ヨッピー「「あとは、『文明って時間をつくるものなんだな』って」」
高野「「またよくわからないことを悟りましたね」」
ヨッピー「「たとえばさっきも言ったように、安定して蒸留しようと思ったらマキが必要だし、マキを作るためには雨除けの小屋を作らなきゃいけない。徒手空拳でも、時間をかければ石器を作って木を切って小屋まで作ることも確かに不可能じゃないかもしれないけど、じゃあその期間中に食べるものはどうするんだ、っていう」」
高野「「おお。たしかに」」
ヨッピー「「文明がある程度発達して、食料を安定的に補給できるようになれば少しずつ大掛かりなものを作る時間ができるわけじゃん? でも日々の食料集めに追われながら何かを作るのはやっぱり難しいから、少しずつ道具を発達させて作業を効率化して、少しずつ確保する時間を増やすことこそが文明なんだな、って」」
高野「「YouTubeで人気の原始時代の生活する、みたいなやつも、あの企画中の食べ物すら自分で調達するならかなり厳しいですよね」」
ヨッピー「「でしょ。生き延びるために必要な時間をいかに効率化するか、が文明なんですよきっと。湧き水があって穀物が自生してる、みたいな場所じゃない限り徒手空拳で生き延びるのは不可能に近いと思う」」
高野「「なるほどね~」」
ヨッピー「「ごめん、ちょっと腹立つからポテチ食べながら話すのやめてくれる?」」
高野「「あ、すいません」」
ヨッピー「「あと、無人島のサバイバルって普通に危険やね。ハチに怯えながら藪の中に入るとか毒魚に刺されるとか、ひょっとしたら毒ヘビだっているかもしれない」」
高野「「何度も言いますけど、それはやる前に気付いて下さい」」
ヨッピー「「そして最後に、スマホはたしかに役に立つし、人とつながることでこの無人島の孤独感を癒せたり、『応援されてる!』みたいな感じで元気づけられたりすることは間違いないんだけど、その一方で飯テロを延々送ってくる豚どもにはイラッとさせられます」」
ブツブツ文句を言いながら、その後もカニを捕ったりしてなんとか餓えをしのぐ僕。
あとは絶滅危惧種であるカブトガニの抜け殻を発見したりしました。
魔境か! ここは!
しかしお腹すいたーーー!
当然、無人島には街灯もないので日が暮れるとこんな風に真っ暗になって何もできなくなる。
普段の生活がいかに文明によって守られ、快適に過ごせているのかがわかる。
<そして2日目の夜中>
ヨッピー「「高野くん、めちゃめちゃ雨降ってきた」」
高野「「はい。1,880円で買ったテントって聞いてたから覚悟はしてましたけど、雨漏りがすごい」」
ヨッピー「「うん。そのせいで水に濡れてカメラが起動しなくなりました」」
高野「「最悪だ……ついてくるんじゃなかった……」」
夜明けと共に、ビショ濡れのまま呆然と立ち尽くす僕。
「身体が芯まで冷える」とはまさにこのことである。
※ちなみに持参したカメラがぶっ壊れたので、耐水性能のあるiPhone 7で撮影しました
ヨッピー「「これだけ雨降ったら、サバイバルどころか、焚き火も何にもできないやんけ! 雨がやんでも当分火は起こせないだろうしどうすんだこれ! このままだとおっさんがじーっと時間の経過を待つだけの絵が撮れる!」」
高野「「サバイバル最終日なのに……」」
結局、大雨を心配した船長が僕のスマホに電話をかけてくれて、事情を話したところ「船で迎えに行くから!」と助けに来てくれた。
地獄に仏とはまさにこのこと。スマホのおかげで助かった、とも言える。
そしてビショ濡れのまま無人島をあとにする一同。
自然の前において、人間とはかくも無力なものである。
上陸してから、船長の好意で倉庫で雨宿りをさせてもらう2人。
ヨッピー「「屋根すげぇ! 屋根ってすげぇ! 雨が入ってこない!」」
高野「「一晩中雨に悩まされた身としては、本当に屋根のありがたさがわかりますね……!」」
ヨッピー「「いやーほんと、無人島なめてたわ……!」」
高野「「ちなみに、今回の検証で無人島に持っていくには何がいちばん大事かっていう答えは出たんですか?」」
ヨッピー「「うーーーん」」
ヨッピー「「場所によるんじゃない?」」
高野「「なんたるざっくりした回答」」
ヨッピー「「そりゃまあ電波入るならスマホで助けを呼べば一撃だけど、逆に電波が入るくらいに陸から近い島なら泳いで渡ることも不可能じゃないだろうし、湧き水があるなら水よりもライターのほうが使えるだろうし。だから場所、環境によるっていう答えになる」」
ヨッピー「「まあでも、今回のチャレンジについてはカメラぶっ壊れてもスマホのおかげでなんとか撮影できたし、真水を作る時もみんなの意見やネット検索でアイデアをもらったし、船長からの電話で救出してもらったし、スマホと無人島なのに電波が入ったauのおかげでなんとかなった、みたいな感覚はあるかな。飯テロにはブチ切れそうになったけど。みんなもスマホを使おう!」」
高野「「最後、露骨に媚びてきましたね」」
ヨッピー「「ごめんな、これも仕事だから……」」
その後、伊万里駅近くのガストでハンバーグを食べる僕。
冗談抜きで「人生でいちばん美味いハンバーグを食べた!」と思った。
【無人島でサバイバルチャレンジのあれこれ】
- ・今回のチャレンジでお邪魔した無人島の持ち主は、無許可で島がネットで売りに出されているのを発見して仰天したことがある。
- ・インフラも整っていないので島の資産価値は低く、固定資産税は年間1,000円と激安だそうです。
- ・船長は電話をかける前に僕らの様子を見に来てくれたのだけど、我々が雨を避けて藪の中に引っ込んでいたせいで視認できず「あいつら、潮に流されたか!」とパニックになったらしい。
- ・陸にあがってから2人は、屋根にいちいち感動したり「タクシーすごい!」「バスすごい!」「レストランすごい!」って、文明に初めて接した人みたいな反応を繰り返した。
- ・ヨッピーはハンバーグ定食を食べ終わった時に「これだけ美味しいごちそうがたった1時間の労働で得られるくらいの対価で食べられるって本当に意味がわからない」と語った。
- ・空腹時の「カレーの匂い」「カップラーメンの匂い」はほとんど暴力。
- ・「スマホはめちゃんこ役に立つけど、腹立たしいことも多い」というのは無人島に限ったことではないのかもしれない。でも、人とつながっていられるのはやっぱり心強い。
くれぐれも皆さん、「無人島でサバイバル」みたいな遊びは妄想くらいに留めておいたほうがいいと思います。大したこともできないくせに、わりと悲惨な目に遭うから。
文:ヨッピー
撮影:高野りょーすけ
編集:プレスラボ