2017/10/30

『Apple Watch Series 3』を実際に使ってみてわかった5つの嬉しいポイント

単体で初めてLTE通信が可能となり、iPhoneと連動していなくても通話ができたりメッセージの送受信ができるなど、大きな話題となった「Apple Watch Series 3」。発売から約1カ月が経ち、評価も定まりつつあるなか、クリスマスプレゼントや冬のボーナスで自分用に……と、購入を検討する人も多いことだろう。

そこで今回は、Apple Watch Series 3(以下Apple Watch)を実際に1週間モニターしてみて、これは優れていると感じた5つのポイントお伝えしたい。

Apple Watch Series 3

①Apple Watch Series 3単体で通話するためには?

まず前提として、Apple Watchは「GPS+Cellularモデル」を購入する必要がある。同モデルには埋め込み型のeSIM(組み込みSIM)が採用されていて、ひとつのiPhoneの電話番号をiPhoneと共有してモバイル通信を行うという仕組みだ。

国内ではau、ドコモ、ソフトバンクの3社がApple Watch単体での通信をサポートしていて、各社のSIMカードが挿さったiPhoneが必要。現状、格安スマホなど、その他の会社が提供するSIMカードではApple Watch単体での通信はできないので、注意が必要だ。

上記3社はiPhoneの契約に料金を追加する形でApple Watch通信サービスを提供している。申し込みは、Apple WatchとペアリングしたiPhoneの「Watch」アプリから行うのがもっとも手軽だ。

Watchアプリの「モバイル通信」>「新規プランを追加」をタップすると、自動的に契約中のキャリアのWebサイトにジャンプするので、必要事項を入力すれば契約完了。ものの数分でApple Watch単体で通信できるようになる。ただし、モバイルデータ通信設定には手続き時間(9:00~21:00)の制限があるので、注意が必要だ。

契約完了後の画面 契約完了後の画面
モバイル通信の設定確認画面 モバイル通信の設定確認画面

②実際の通話クオリティは?

Apple Watchが単体でモバイル通信を行うのは、iPhoneとApple Watchが連携していないときのみ。実生活ではジョギングや散歩、iPhoneを自宅に忘れたときなどが想定される。

気になる通話のクオリティは、室内であれば本体を口に近づけなくても(手を腰の上に置いた状態でも)十分な音量/音質で会話が可能。屋外では、周囲に迷惑をかけない(またはアブない人だと思われない)ためにも、マイク付きのBluetoothイヤホンを使うのが良いだろう。

筆者は手持ちのBluetoothイヤホンを使用してみたが、音質こそイヤホンに依存するものの、言葉の聞き取りに関してはまったく問題なく通話ができた。

手持ちのBluetoothイヤホンを使用しての通話

③地図アプリやWalletアプリは外出先で心強い

Apple Watchには通話、メール、メッセージなどのアプリが標準搭載されているので、ほかの電話に発信したり、メッセージの確認、音声認識機能を使った簡単なメッセージの作成などが可能。

通話時の画面 通話時の画面

なかでもApple Watch単体の通信機能が役立つのは「地図」アプリだ。ジョギング中に見慣れない路地に迷い込んでしまった際も、これで無事に自宅まで辿り着くことができる。ただし海外で使用する場合、Apple Watch単体の通信機能はローミングに対応していないため、iPhoneとの連携が必要になるので注意。

Apple Watch単体の通信機能が役立つのは「地図」アプリ

モバイルSuicaを使っている人にとっては、Apple Watch単体でチャージできるようになったことも朗報だ。iPhoneを持たずに出かけ、Suicaの残高が少なくなったことに気付いたら、単体で「Wallet」アプリからチャージできる。帰りの電車に乗れないという最悪の事態を避けられるので安心だ。

先述したiPhoneのWatchアプリにはApp Store機能もあるので、さまざまなアプリをダウンロードしてApple Watchで使用可能だ。

④Apple Watch単体でより音楽を楽しめるように!

watchOSのバージョン4では、これまで1つしか登録できなかったプレイリストが複数登録可能になり、Apple Watch単体でより音楽を楽しむことができる

Apple Watch単体でより音楽を楽しめる

Apple Musicの音楽をApple Watchと同期するには、聴きたい音源をダウンロードしたiPhoneが通信圏内にある状態で、Apple Watchを充電器に接続する必要がある。筆者はテスト時に3つのプレイリスト(計40曲ほど)を転送してみた。3分ほど時間はかかったものの、問題なく全曲を聴取することができた。

まもなくApple Musicで4,000万の楽曲をLTE通信で再生できるようになるとのことだが、バッテリーの持ちや通信料金を考慮すると、Apple Watchの通信だけで1日中Apple Musicの音楽を聴き続けるというのは現実的ではない。

ワークアウト時などにあらかじめ登録しておいたプレイリストを楽しむのが基本で、Apple Musicに直接接続するのは、iPhoneを忘れた出先で“どうしてもあの曲が聴きたい! ”となったときくらいだろう。

⑤気になるバッテリーの持ち時間は、安心の「18時間」

Apple Watchのバッテリー持続時間はAppleの公称で18時間となっているが、これは「iPhoneとのBluetooth接続時の14時間」と「LTE接続時の4時間」を合わせたものだ。つまり、AppleとしてはあくまでiPhoneや既存ネットワークとの連携を前提とし、バッテリー消費量の大きな単体での通信は、先述した地図アプリやモバイルSuicaなど“緊急時”にのみ使うという、理に適った設計がなされている。

動作性の速さについては、アプリによって差はあるものの、プロセッサーの高速化によりほとんどの機能はストレスなく使えた。「アクティビティ」アプリは通知などの機能が強化され、積極的に体を動かそうという気になる。

進化し続けるApple Watch

LTE通信に対応し、より生活に溶け込んでくれそうなApple Watchだが、もっとも新鮮に感じたのはSiriの使い勝手の向上だ。

Siriの使い勝手の向上

「Hey Siri、明日の天気は?」と尋ねると、音声で答えてくれるようになった。そして、本稿で紹介した操作の多くはSiri経由で可能。腕時計に話しかけて、天気がわかる。こんなことが実現するなんて、幼いころに思い描いていたSFの世界が現実になったようでワクワクする。これぞスマートウォッチの王道! という使い心地。

半年後、1年後には、もっと斬新で便利なことが可能になっているかもしれない。今後もApple Watchの動向には目が離せない。

Apple Watch

文・撮影:白石裕一朗