2017/05/10
ドローン規制って結局どうなったの? 飛ばせる場所は? T&S編集部がドローンを都内で飛ばすまでの道のり【前編】
2015年に施行された、いわゆる「ドローン規制法」。「いろいろあって規制された」ぐらいのことはわかっていても、規制の細かい点について説明できる人は少ないのではないでしょうか。テレビなんかでは、日本各地でドローン撮影したであろう映像をよく見ますけどね。
ドローン関係の記事を多く紹介しているTIME & SPACE編集部としては、それくらい知っておかないとマズいよね、ということで、今回は「ドローンを都内で飛ばす」までの手順を、実際にやってみることにしました。願わくば、この春の青空にドローンをさわやかに飛ばすところまでがんばってみたいと思います。
どこで飛ばせるのか?
「ドローン規制法」の正式名称は、2015年に航空法改正によって導入された「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」。200g以上の無人航空機を空港周辺、150m以上の高度、人口集中地区を飛行させる際は申請が必要というもの。
では、飛ばしたい場所が人口集中地区に該当しているか否かをどう調べればよいのか。実は、国土地理院の「jSTAT MAP」にて簡単に確認することができます。編集部がある都内住所でjSTAT MAPの検索をかけてみると・・・・・・
ちなみに、ドローン規制の要注意ポイントは、私有地か否かは関係ないということ。たとえ大邸宅に住んでいても、お庭でドローンを飛ばす際には申請許可が必須です。結局のところ、東京23区内でドローンを飛行させるには申請の手間は避けて通れないようです。
もっとも、「都内には無許可でドローンを飛ばせる場所がない」とうのは想定の範囲内。申請自体は国交省が発行しているwordファイル化された書式をダウンロードし、メールで送るという今時なやりとりが可能で、ネットを見れば個人が自力でドローン申請を行う方法もわかります。
※国土交通省HP「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」
というわけで都内でなんとかドローンを飛ばすために、自力での申請~承認までがんばってみたいと思います。
試される良心。ドローン申請書類ってどんなもの?
さて、必要な書類をざっと見ていきましょう。「様式1」の1枚目については、住所氏名の記入から始まり、飛行の目的、日時など「誰それが、この時期に、こんなことをしたいので許可をお願いします」という旨を記載。問いの文言が「飛行の理由」でなく「飛行禁止空域を飛行させる理由」と、物々しい雰囲気を漂わせています。なんだか始末書を書いているような気分になってきましたが、こんなところで心折れている場合ではありません。「様式1」の2枚目にはドローンの性能や、操縦に必要な知識、技能の概要を記載します。
「様式2」は機体の機能・性能が基準に適合しているかどうか、「様式3」は、操縦者のこれまでの飛行経歴や知識、能力を「適/否」で回答していく形式の書面。なんとその「適/否」は自己評価です。ずるっこしないで正直に申告しましょうね。
記入欄を見る限り、ここまではそう難しそうな印象はありませんでした。しかし、問題は「別添資料」。飛行経路は地図を添付して説明し、ドローンが飛行の条件を満たしているかどうか、現物の写真を添付して説明せよ、と。あ、いや、ホビー的な目的でカジュアルに飛ばしたいだけなんですが・・・・・・。初心者としてはここで若干、心が折れかけます。
専門家である行政書士さんに聞きに行きました
というわけで、自力でのリサーチを即座にあきらめた筆者。月に50件ものドローン申請代行も請け負う行政書士であり、ご本人もドローンのユーザーであるという前場亮さんに「一発で申請が通る、正しいドローン申請書のポイント」を指南していただくことにしました。
――そもそもの話、初心者が申請して通るものなんでしょうか?
「残念ながら経験がない方の申請が一発で通ることはまずないでしょうね。最初に申請書を送ると早くて4日、長くて3週間ほどのでメールが戻ってきます。これになにかしらの"物言い"がついているものです。役所の担当者はチェックのプロで、記載項目ごとはもちろん、全体を通してみた場合のわずかな矛盾や細かいミスを見落としません。実のところ、私も4回に1回はなにかしらの注文がついて戻ってきますから」
なるほど、どうやら初心者の分際で一発合格したいというのは虫の良すぎる話のようです。前場さんは「現状では試験が存在しないため、その代替としてあえて矛盾を誘うような項目があり、そこを厳しく見ることで試験に代えているのではないか?」と分析。
とはいえ修正が必要な部分は、どういう方向に修正すべきなのか細かく書き込んで戻してくれる親切な面もあるとのこと。つまるところ、一発合格を目論むよりも「当たって砕けろ」精神でまずは挑んでみるのが承認への近道ということのようです。
――・・・・・若干気が遠くなってきました。
「いや、これでも申請書類は当初よりも簡略化されてきたんですよ。以前は自分で作成のうえに、添付が必要だったマニュアルが、国交省の『航空局標準マニュアル』を使用するならそれでOKになりました。また、所有ドローンの性能を証明する資料についても、認可済みの機種についてはかなりの部分が省略できるようになったんです」
――実は編集部が所有するドローン、認可されてない機種だったんです。一応、申請無用のケースについても教えていただけますか。
「たとえば、人気のない山奥で昼間、目視できるなどの条件なら申請は無用ということになりますね。それに200g以下のドローンであればそもそも申請の必要はありません。といっても、これらは航空法の面でのみ。条例などでドローン禁止としたエリアも多く、都立公園は全面的に禁止。国の重要な建物である皇居や国会議事堂なども半径300m以内は禁止です。また、他人やその敷地内を勝手に撮影すればプライバシーの侵害で訴えられることもあります。今後、申請が承認されたからといってフリーパスを手に入れたわけではありません。そこは絶対に勘違いしないでくださいね」
最後に釘を刺しつつも、ユーザーが自力で申請にチャレンジすることについては「ぜひやってみてください」と、全肯定の前場さん。やってみる宣言した以上、実際に申請までやってみようと思います。
ちなみに、前場さんに申請代行を依頼した場合、基本料金は28,000円から。未認可機種の場合、そこに2万円のプラス料金が発生するとのこと。これからドローンを購入する予定の人は、編集部の二の轍を踏まぬよう、事前に確かめておきましょうね。
後編に続きます!
文:のび@び助
写真:OOKAMI★47